着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 200 | 400 | 600 | 800 | 前4F | 1000 | 1200 | 1400 | 1600 | 中前4F | 1800 | 2000 | 2200 | 2400 | 中後4F | 2600 | 2800 | 3000 | 3200 | 後4F | 3100 | Goal |
1着 | 6 | フェノーメノ | 3:14.2 | 13.4 | 12.1 | 11.8 | 11.9 | 49.2 | 11.8 | 12.0 | 12.2 | 12.4 | 48.4 | 12.7 | 11.9 | 12.1 | 12.0 | 48.7 | 11.7 | 11.9 | 11.8 | 12.5 | 47.9 | 6.1 | 6.4 |
2着 | 1 | トーセンラー | 3:14.4 | 13.7 | 12.2 | 11.8 | 11.9 | 49.6 | 11.9 | 11.9 | 12.3 | 12.3 | 48.4 | 12.6 | 11.9 | 12.1 | 12.0 | 48.6 | 11.4 | 12.0 | 11.9 | 12.5 | 47.8 | 6.1 | 6.4 |
3着 | 13 | レッドカドー | 3:14.7 | 13.8 | 12.0 | 12.1 | 11.8 | 49.7 | 11.9 | 12.0 | 12.4 | 12.3 | 48.6 | 12.7 | 11.8 | 12.0 | 12.1 | 48.6 | 11.3 | 12.1 | 11.8 | 12.6 | 47.8 | 6.1 | 6.5 |
4着 | 7 | アドマイヤラクティ | 3:15.0 | 13.6 | 12.2 | 12.1 | 11.9 | 49.8 | 11.9 | 12.0 | 12.4 | 12.2 | 48.5 | 12.5 | 11.9 | 12.2 | 12.2 | 48.8 | 11.5 | 12.2 | 11.8 | 12.4 | 47.9 | 6.0 | 6.4 |
5着 | 8 | ゴールドシップ | 3:15.1 | 14.7 | 12.3 | 12.3 | 11.7 | 51.0 | 11.9 | 11.4 | 12.3 | 12.2 | 47.8 | 12.3 | 11.9 | 12.0 | 11.7 | 47.9 | 11.4 | 12.2 | 12.1 | 12.7 | 48.4 | 6.1 | 6.6 |
6着 | 4 | ジャガーメイル | 3:15.2 | 14.2 | 12.4 | 12.2 | 11.9 | 50.7 | 12.1 | 11.5 | 12.5 | 12.2 | 48.3 | 12.3 | 11.9 | 12.0 | 11.8 | 48.0 | 11.2 | 12.0 | 12.0 | 13.0 | 48.2 | 6.3 | 6.7 |
7着 | 5 | マイネルキッツ | 3:15.6 | 13.4 | 12.1 | 11.8 | 11.9 | 49.2 | 11.9 | 12.1 | 12.2 | 12.3 | 48.5 | 12.8 | 11.9 | 12.2 | 12.0 | 48.9 | 11.6 | 12.4 | 12.2 | 12.8 | 49.0 | 6.2 | 6.6 |
8着 | 16 | トウカイパラダイス | 3:15.6 | 13.2 | 11.8 | 11.6 | 11.5 | 48.1 | 11.5 | 11.6 | 12.3 | 12.3 | 47.7 | 12.5 | 12.7 | 12.7 | 12.3 | 50.2 | 11.9 | 12.1 | 12.2 | 13.4 | 49.6 | 6.5 | 6.9 |
Mahmoud計測RL | 3:14.2 | 12.9 | 11.9 | 11.6 | 11.4 | 47.8 | 11.6 | 11.6 | 11.9 | 12.2 | 47.3 | 12.1 | 12.3 | 12.6 | 12.9 | 49.9 | 12.9 | 12.0 | 11.8 | 12.5 | 49.2 | ||||
公式RL | 3:14.2 | 13.0 | 11.9 | 11.6 | 11.4 | 47.9 | 11.5 | 11.6 | 11.7 | 12.5 | 47.3 | 12.1 | 12.4 | 12.5 | 12.8 | 49.8 | 12.9 | 11.9 | 11.8 | 12.6 | 49.2 |
それではゴールドシップの敗因を中心に、今年の天皇賞・春を振り返ってみます。
敗因は何だったのか、いろんな意見が出ていると思います。ですが期待を大きく裏切るケースというのは、いくつかの事象が負の連鎖的に重なり合ったと考えるべきかと思います。したがってピンポイントで敗因を特定するのは事実と反するような気がしますし、いろいろ挙がっている意見はどれも一理あるんじゃないでしょうか。まあ一つだけそれは違うだろうというのは外を通ったからという点。ジャガーメイルとの整合性が取れなくなりますね。
さて、前走阪神大賞典でも菊花賞同様に上がりの時計が掛かるレースに持ち込んで快勝したわけですが、この天皇賞・春に挑む前にゴールドシップについて前々から思っていたことを改めてじっくり考えていました。大きく分けて次の二つの要素です。
(1)皐月賞の末脚が良くキレている
他馬との比較上、時計の掛かる馬場ゆえ、という面は否定しませんが、やはり上がりのラップが非常に速いと感じるんです。その際のラップはこちら。
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11228251186.html
強引なやり方になりますが、ゴールドシップのラスト1F目のラップを前半5F通過後に入れて、その後のラップを1Fずらしてみましょう。
12.2 - 11.6 - 11.4 - 11.2 - 11.7
4Fのスパートとなりますが、ラスト2F目が11.2となります。中山競馬場で末脚のキレ味豊かな馬のラップに見えますね。ステイヤーっぽくはあまり感じられないと思います。もし、この時点で他馬を凌駕するほどの絶対能力の高さがあるならば別ですが、次走ダービーの結果通り、抜けた存在ではないのは明白です。
数完歩程度の一瞬のスパート能力は他馬に劣っている面があるのは確かですが、1F単位で見れば決して遅い馬ではなく速い馬とも言えるんですね。
(2)ロングスパートの中身
ゴールドシップの持ち味であるロングスパート。昨今の上がり特化型のレースが目立つ中で異彩を放っているわけであり、昔ながらのステイヤー風情を感じるのは私も同様です。また鞍上の意のままスパートの強弱を付けられる点も迫力あるところ。しかし、競合相手がいないからこそ余計に目立っていた形になっていたのも事実。例えば昨年の菊花賞のラップ。
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11388847410.html
このレースはステイヤー戦と言って当然の内容で力強い価値ある勝利だったと思います。で、このラップの中で際立っていたのは1800m通過時の11.5。一気に0.9秒ラップを上げて自分のペースに他馬を引きずり込んでいました。緩⇒急という決め手が真骨頂なのでしょう。違う言い方をすれば、緩く流れるタイミングがあってこそ、ゴールドシップの真価が発揮されるということ。字面上、2段あるいは3段ロケットのようなスパートを見せているのですが、これはある意味凹凸の少ないロングスパートは得意ではないという側面もあるのではと思ったり・・・。
頂いたコメントに対するレスの中で久々に「ヘヴィステイヤー」というフレーズを使いました。現代競馬に於いては既に意味があまりない言葉だと思うものの、ゴールドシップは3000m級レースで最大パフォーマンスを行える馬、例えば刻々とラップを踏んで耐えるタイプの馬とは少し違うんじゃないだろうか、という想いが頭の中でうごめいておりました。したがって道中ペースの緩むシーンが少なければ、つまり厳密に言えばゴールドシップが押し上げる際の目標と成り得る馬、あるいは馬群が、ペースを緩める区間が少なくて淀みなく流れれば、ちょっと苦戦する可能性があるかもと思っていました。ただ、今回のメンバーでそうなる可能性はあまりないのではないか、したがって当面の敵となるフェノーメノもゴールドシップに並ばれてから勝負という形になり、ゴールドシップに分があるだろうと最終的には考えましたが・・・。
ゴールドシップが押し上げを開始する最も早い地点としてはバックストレッチの始まり、前半1800mの少し手前辺りと考えられました。しかしフェノーメノを例にとると1周目2コーナーで12.7とペースを緩めた後、バックストレッチに入って11.9とペースアップしてその後はほぼ同ペースで巡航。この前半1800m地点でゴールドシップとフェノーメノの差は0.8秒。ゴールドシップ鞍上の内田博幸騎手は、前を行く馬達のペースの速さが思ったより速くて少し焦ったのではないかと推測します。
ではゴールドシップのラップをスタートから詳しく見て行きますが、その前に私が算出した馬場差を確認しておきます。超高速馬場となった昨年の天皇賞・春を基準にすると、昨年の菊花賞がマイルで1.2秒程度遅い馬場、今回はマイルで0.8秒程度遅い馬場と見ました。前日土曜日は中間の降雨の影響が若干あったようですが、この日は前週土曜日とほぼ同程度まで回復したと思われます。また、ゴールドシップにとって高速馬場が不利益となったか否かですが、菊花賞と比べると全体の走破時計で1秒近く今回は速い馬場です。これをどう見るかは微妙なところでしょう。私的には大差ない範疇だと思いますが、ゴールドシップが5着に敗れた2レースは自身のキャリア上、馬場の高速度が1、2位だったという側面も付け加えておきます。
ちなみに昨年の天皇賞・春のラップはこちら。
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11245618972.html
まずテンの1Fは14.7。スタート時が既に坂の上りとなっている菊花賞では13.9でしたから、今回は非常に遅いスタートダッシュとなりました。昨年、勝敗を度外視してゆっくり出ることしか頭になかったローズキングダムでさえ14.4でした。いくらテンがズブいゴールドシップとはいえ遅過ぎ感ありありですね。ココも命取りとなった要因の一つでしょう。
次は1周目4コーナー辺りにある前半4F目からのラップ。1F11秒台に上げてホームストレッチ中程では11.4までペースアップ。この辺りでは馬が行く気満々でした。昨年の菊花賞でも同地点のラップは同じ11.4。ただ、菊花賞では他馬もペースアップしていたのでゴールドシップのみ特段負荷が大きかったとは言えませんし、その前後の区間は12秒オーバーでした。しかし今回のゴールドシップは3F続けて11秒台を連発。スタートからここまでの6Fを見ると、極めてスムーズに走っていた上位4頭と比べればギクシャク感が大き過ぎますね。前述のように緩⇒急という決め手を、すでに前半で使ってしまったようなモノかと思います。
1周目のゴール板を通過した辺りからはペースが落ち着きましたが、1~2コーナーの減速幅を少なくしてバックストレッチの入り口で3着レッドカドーとやっと0.1秒差の位置取り。レッドカドーとのラップ推移を比較すればスタミナ消耗度はかなり差があったと思わせる前半の走りだったように感じました。
バックストレッチで先団馬群のペースが緩んだままならまだ挽回の余地があったと思いますが、ゴールドシップはさして息を入れるヒマがないまま押し上げるのが非常にツラい状況。勝負の大半はこの時点で決していたように思います。その後、坂の下りで意地を見せかけましたが、ゴールドシップ以上のスピードで楽々上がっていける馬が他に何頭もいました。何よりもゴールドシップの影響を受けてペースを乱し気味になりながらも、ロスを最小限に食い留めたジャガーメイルに煽られる様子は、少々想像できなかった光景だったと思います。
要はタイムトライアルさながらに加減速幅を小さくしてスムーズに走っていた馬達と、乱高下の大きい走りをしていたゴールドシップとの差は、あまりにも大きなモノとなったレースだと言えるでしょう。もし、一か八か残り3Fまで抑えてラストで一気の勝負に出れば、もう少し前との差を縮めることは可能だったと思いますが、さすがの冷静沈着な内田博幸騎手と言えど、そこまで大胆に臨機応変な戦法変更を望むのは少し酷かとも思います。フェノーメノとゴールドシップの走りの差は、テンの1Fを除いた3F毎のラップを並べるとよりわかりやすいでしょうか。
35.8 - 36.0 - 37.0 - 35.8 - 36.2 ・・・ フェノーメノ
36.3 - 35.6 - 36.4 - 35.1 - 37.0 ・・・ ゴールドシップ
さて、見事に勝利を収めたフェノーメノ。2コーナーで12.7とペースを落とすまでの前半部分は実にキレイなラップを刻んでいます。昨年の同レース追走組の腑抜けたラップ推移とは段違いですね。あくまでも結果論になりますが、ゴールドシップとのマージンを築きつつギリギリのラインでスタミナを温存できる走り。素晴らしいの一言。さらに坂の下りで極力スピードを上げなかったのも大きな勝因の一つでしょう。
この坂の下りはこのレースの大きな見どころの一つで、トーセンラー鞍上の武豊騎手はゴールドシップが後ろから迫ってくるのを振り返って確認した後、即スパートを開始してゴールドシップに決して前に行かせない意地を見せ、そして交わされないと感じた瞬間、また手綱を抑え気味にするというきめ細かい動きを見せました。その影響によりフェノーメノはスパートを急かされることなく、ギリギリまで追い出しを遅らせることができたように見えました。トーセンラーのラストスパートにも楽々対応できた部分だったかと思います。この同期の二人は、実にシビれる緻密な手綱捌きを見せてくれました。
最後になりますが、冒頭で触れたゴールドシップの敗因とは何か。もし一言で済ます場合、「デキが悪かった」と言えば楽なんでしょうが、少なくとも前述のように1周目スタンド前でヤル気を見せていたのは間違いありません。走る気が全くなかったはずはありません。単勝オッズ1.3倍という圧倒的人気を背負っていた馬ですから、もし万が一何かしら不安点があったとしても、今後陣営は「デキ云々」という言葉を安易に使うべきではないと思いますし、そんな表現がどこからも漏れだすことの無いよう、気を付けてもらいたいと思います。真実はトレーナーが引退する時にでも、振り返って頂ければよろしいかと切に願います。
今回はこのあたりで。