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Channel: 上がり3Fのラップタイム検証
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2013 天皇賞・春 回顧 その2

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着順馬番馬名タイム200400600800前4F1000120014001600中前4F1800200022002400中後4F2600280030003200後4F3100Goal
1着6フェノーメノ3:14.213.412.111.811.949.211.812.012.212.448.412.711.912.112.048.711.711.911.812.547.96.16.4
2着1トーセンラー3:14.413.712.211.811.949.611.911.912.312.348.412.611.912.112.048.611.412.011.912.547.86.16.4
3着13レッドカドー3:14.713.812.012.111.849.711.912.012.412.348.612.711.812.012.148.611.312.111.812.647.86.16.5
4着7アドマイヤラクティ3:15.013.612.212.111.949.811.912.012.412.248.512.511.912.212.248.811.512.211.812.447.96.06.4
5着8ゴールドシップ3:15.114.712.312.311.751.011.911.412.312.247.812.311.912.011.747.911.412.212.112.748.46.16.6
6着4ジャガーメイル3:15.214.212.412.211.950.712.111.512.512.248.312.311.912.011.848.011.212.012.013.048.26.36.7
7着5マイネルキッツ3:15.613.412.111.811.949.211.912.112.212.348.512.811.912.212.048.911.612.412.212.849.06.26.6
8着16トウカイパラダイス3:15.613.211.811.611.548.111.511.612.312.347.712.512.712.712.350.211.912.112.213.449.66.56.9


Mahmoud計測RL3:14.212.911.911.611.447.811.611.611.912.247.312.112.312.612.949.912.912.011.812.549.2



公式RL3:14.213.011.911.611.447.911.511.611.712.547.312.112.412.512.849.812.911.911.812.649.2



それではゴールドシップの敗因を中心に、今年の天皇賞・春を振り返ってみます。

敗因は何だったのか、いろんな意見が出ていると思います。ですが期待を大きく裏切るケースというのは、いくつかの事象が負の連鎖的に重なり合ったと考えるべきかと思います。したがってピンポイントで敗因を特定するのは事実と反するような気がしますし、いろいろ挙がっている意見はどれも一理あるんじゃないでしょうか。まあ一つだけそれは違うだろうというのは外を通ったからという点。ジャガーメイルとの整合性が取れなくなりますね。

さて、前走阪神大賞典でも菊花賞同様に上がりの時計が掛かるレースに持ち込んで快勝したわけですが、この天皇賞・春に挑む前にゴールドシップについて前々から思っていたことを改めてじっくり考えていました。大きく分けて次の二つの要素です。

(1)皐月賞の末脚が良くキレている

他馬との比較上、時計の掛かる馬場ゆえ、という面は否定しませんが、やはり上がりのラップが非常に速いと感じるんです。その際のラップはこちら。

http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11228251186.html

強引なやり方になりますが、ゴールドシップのラスト1F目のラップを前半5F通過後に入れて、その後のラップを1Fずらしてみましょう。

12.2 - 11.6 - 11.4 - 11.2 - 11.7

4Fのスパートとなりますが、ラスト2F目が11.2となります。中山競馬場で末脚のキレ味豊かな馬のラップに見えますね。ステイヤーっぽくはあまり感じられないと思います。もし、この時点で他馬を凌駕するほどの絶対能力の高さがあるならば別ですが、次走ダービーの結果通り、抜けた存在ではないのは明白です。

数完歩程度の一瞬のスパート能力は他馬に劣っている面があるのは確かですが、1F単位で見れば決して遅い馬ではなく速い馬とも言えるんですね。


(2)ロングスパートの中身

ゴールドシップの持ち味であるロングスパート。昨今の上がり特化型のレースが目立つ中で異彩を放っているわけであり、昔ながらのステイヤー風情を感じるのは私も同様です。また鞍上の意のままスパートの強弱を付けられる点も迫力あるところ。しかし、競合相手がいないからこそ余計に目立っていた形になっていたのも事実。例えば昨年の菊花賞のラップ。

http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11388847410.html

このレースはステイヤー戦と言って当然の内容で力強い価値ある勝利だったと思います。で、このラップの中で際立っていたのは1800m通過時の11.5。一気に0.9秒ラップを上げて自分のペースに他馬を引きずり込んでいました。緩⇒急という決め手が真骨頂なのでしょう。違う言い方をすれば、緩く流れるタイミングがあってこそ、ゴールドシップの真価が発揮されるということ。字面上、2段あるいは3段ロケットのようなスパートを見せているのですが、これはある意味凹凸の少ないロングスパートは得意ではないという側面もあるのではと思ったり・・・。


頂いたコメントに対するレスの中で久々に「ヘヴィステイヤー」というフレーズを使いました。現代競馬に於いては既に意味があまりない言葉だと思うものの、ゴールドシップは3000m級レースで最大パフォーマンスを行える馬、例えば刻々とラップを踏んで耐えるタイプの馬とは少し違うんじゃないだろうか、という想いが頭の中でうごめいておりました。したがって道中ペースの緩むシーンが少なければ、つまり厳密に言えばゴールドシップが押し上げる際の目標と成り得る馬、あるいは馬群が、ペースを緩める区間が少なくて淀みなく流れれば、ちょっと苦戦する可能性があるかもと思っていました。ただ、今回のメンバーでそうなる可能性はあまりないのではないか、したがって当面の敵となるフェノーメノもゴールドシップに並ばれてから勝負という形になり、ゴールドシップに分があるだろうと最終的には考えましたが・・・。

ゴールドシップが押し上げを開始する最も早い地点としてはバックストレッチの始まり、前半1800mの少し手前辺りと考えられました。しかしフェノーメノを例にとると1周目2コーナーで12.7とペースを緩めた後、バックストレッチに入って11.9とペースアップしてその後はほぼ同ペースで巡航。この前半1800m地点でゴールドシップとフェノーメノの差は0.8秒。ゴールドシップ鞍上の内田博幸騎手は、前を行く馬達のペースの速さが思ったより速くて少し焦ったのではないかと推測します。

ではゴールドシップのラップをスタートから詳しく見て行きますが、その前に私が算出した馬場差を確認しておきます。超高速馬場となった昨年の天皇賞・春を基準にすると、昨年の菊花賞がマイルで1.2秒程度遅い馬場、今回はマイルで0.8秒程度遅い馬場と見ました。前日土曜日は中間の降雨の影響が若干あったようですが、この日は前週土曜日とほぼ同程度まで回復したと思われます。また、ゴールドシップにとって高速馬場が不利益となったか否かですが、菊花賞と比べると全体の走破時計で1秒近く今回は速い馬場です。これをどう見るかは微妙なところでしょう。私的には大差ない範疇だと思いますが、ゴールドシップが5着に敗れた2レースは自身のキャリア上、馬場の高速度が1、2位だったという側面も付け加えておきます。

ちなみに昨年の天皇賞・春のラップはこちら。

http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11245618972.html

まずテンの1Fは14.7。スタート時が既に坂の上りとなっている菊花賞では13.9でしたから、今回は非常に遅いスタートダッシュとなりました。昨年、勝敗を度外視してゆっくり出ることしか頭になかったローズキングダムでさえ14.4でした。いくらテンがズブいゴールドシップとはいえ遅過ぎ感ありありですね。ココも命取りとなった要因の一つでしょう。

次は1周目4コーナー辺りにある前半4F目からのラップ。1F11秒台に上げてホームストレッチ中程では11.4までペースアップ。この辺りでは馬が行く気満々でした。昨年の菊花賞でも同地点のラップは同じ11.4。ただ、菊花賞では他馬もペースアップしていたのでゴールドシップのみ特段負荷が大きかったとは言えませんし、その前後の区間は12秒オーバーでした。しかし今回のゴールドシップは3F続けて11秒台を連発。スタートからここまでの6Fを見ると、極めてスムーズに走っていた上位4頭と比べればギクシャク感が大き過ぎますね。前述のように緩⇒急という決め手を、すでに前半で使ってしまったようなモノかと思います。

1周目のゴール板を通過した辺りからはペースが落ち着きましたが、1~2コーナーの減速幅を少なくしてバックストレッチの入り口で3着レッドカドーとやっと0.1秒差の位置取り。レッドカドーとのラップ推移を比較すればスタミナ消耗度はかなり差があったと思わせる前半の走りだったように感じました。

バックストレッチで先団馬群のペースが緩んだままならまだ挽回の余地があったと思いますが、ゴールドシップはさして息を入れるヒマがないまま押し上げるのが非常にツラい状況。勝負の大半はこの時点で決していたように思います。その後、坂の下りで意地を見せかけましたが、ゴールドシップ以上のスピードで楽々上がっていける馬が他に何頭もいました。何よりもゴールドシップの影響を受けてペースを乱し気味になりながらも、ロスを最小限に食い留めたジャガーメイルに煽られる様子は、少々想像できなかった光景だったと思います。

要はタイムトライアルさながらに加減速幅を小さくしてスムーズに走っていた馬達と、乱高下の大きい走りをしていたゴールドシップとの差は、あまりにも大きなモノとなったレースだと言えるでしょう。もし、一か八か残り3Fまで抑えてラストで一気の勝負に出れば、もう少し前との差を縮めることは可能だったと思いますが、さすがの冷静沈着な内田博幸騎手と言えど、そこまで大胆に臨機応変な戦法変更を望むのは少し酷かとも思います。フェノーメノとゴールドシップの走りの差は、テンの1Fを除いた3F毎のラップを並べるとよりわかりやすいでしょうか。

35.8 - 36.0 - 37.0 - 35.8 - 36.2 ・・・ フェノーメノ
36.3 - 35.6 - 36.4 - 35.1 - 37.0 ・・・ ゴールドシップ


さて、見事に勝利を収めたフェノーメノ。2コーナーで12.7とペースを落とすまでの前半部分は実にキレイなラップを刻んでいます。昨年の同レース追走組の腑抜けたラップ推移とは段違いですね。あくまでも結果論になりますが、ゴールドシップとのマージンを築きつつギリギリのラインでスタミナを温存できる走り。素晴らしいの一言。さらに坂の下りで極力スピードを上げなかったのも大きな勝因の一つでしょう。

この坂の下りはこのレースの大きな見どころの一つで、トーセンラー鞍上の武豊騎手はゴールドシップが後ろから迫ってくるのを振り返って確認した後、即スパートを開始してゴールドシップに決して前に行かせない意地を見せ、そして交わされないと感じた瞬間、また手綱を抑え気味にするというきめ細かい動きを見せました。その影響によりフェノーメノはスパートを急かされることなく、ギリギリまで追い出しを遅らせることができたように見えました。トーセンラーのラストスパートにも楽々対応できた部分だったかと思います。この同期の二人は、実にシビれる緻密な手綱捌きを見せてくれました。

最後になりますが、冒頭で触れたゴールドシップの敗因とは何か。もし一言で済ます場合、「デキが悪かった」と言えば楽なんでしょうが、少なくとも前述のように1周目スタンド前でヤル気を見せていたのは間違いありません。走る気が全くなかったはずはありません。単勝オッズ1.3倍という圧倒的人気を背負っていた馬ですから、もし万が一何かしら不安点があったとしても、今後陣営は「デキ云々」という言葉を安易に使うべきではないと思いますし、そんな表現がどこからも漏れだすことの無いよう、気を付けてもらいたいと思います。真実はトレーナーが引退する時にでも、振り返って頂ければよろしいかと切に願います。

今回はこのあたりで。

想い出のあの馬 ディープインパクト Part 2

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過去の名馬についての解説のリクエストを多く頂いているのですが、なかなか書く余裕がなくて申し訳ありません。実際にお話しする機会でもあればたっぷり喋るのですが・・・。

ディープインパクトについての話もPart1以来滞っているのですが、このタイミングでディープインパクトが天皇賞・春で刻んだラップをゴールドシップと比べてみたくなりました。本来ならPart3か4くらいで書く予定でしたが、急遽繰り上げてエントリーを起こしてみました。至って簡単な内容となりますが少々お付き合いください。

2006年と今年の天皇賞・春の、私が算出した馬場差はほとんどイーブンです。横並びにして比較しやすいと思います。ではディープインパクトとゴールドシップのラップを比べてみましょう。

馬名タイム200400600800前4F1000120014001600中前4F1800200022002400中後4F2600280030003200後4F3100Goal
ディープインパクト3:13.414.712.311.811.850.611.912.012.312.748.912.412.112.812.149.411.011.310.911.344.55.36.0
ゴールドシップ3:15.114.712.312.311.751.011.911.412.312.247.812.311.912.011.747.911.412.212.112.748.46.16.6


何と、スタートからの2Fは全くの同タイムです。レースの入りとしては同じように走っていたんですね。おもしろいでしょう!

しかし、中間点までの走りはかなり違います。ディープインパクトは実に上手に走っています。数多くのレースで見せた、あの爆発的スパートの源はココにあるんだろうと思います。

残り1200mからの坂の上りではグッとペースが落ちていました。ここで12.8を刻んだ後は堪えきれない様子で前進開始。坂の頂上を超えてからは一気にペースアップ。後はご覧の通り・・・。

ラスト4Fのラップ推移はイビツに見えますね。まずはラスト4F目の11.0はただ単に坂を下ったから速くなっただけでしょう。そして残り3F標の少し手前で先頭に立ち、武豊騎手の手が少し動き始めるのですが、残り3F目は11.3程度とスピードダウン。鞍上のアクションとは裏腹な感じがするのですが、実は残り300m手前でムチを入れられるまで、ずっと同じ完歩、ピッチにして約0.433秒 / 完歩ほどで走っていました。実際ムチが入ってからは0.420秒 / 完歩以下までピッチを上げています。また、4コーナーを鋭角的に回ってきましたから、内ラチが途切れる辺りでは自発的にスピードを落としていたようです。

これは鞍上からの全開GOサインを受け取っていないとディープインパクトは感じているのでしょうね。まだトップギアに入れていない状態です。一歩間違えば暴走しそうな感もあったディープインパクトですが、実のところはしっかり訓練されていたのでしょうし、鞍上に従順だったと思いますね。この部分は以前のエントリーでも少し触れたところでもあります。

ラスト2Fが10.9程度に対して、ラスト200~100mが5.3というのも違和感がありますが、これは上記の通り、残り300m近くまでスピードアップしていなかったから、こんなラップ推移になったのだと思います。残り2F区間を100m毎に区切れば、5.7 - 5.2 - 5.3 - 6.0 という内訳で走っていた模様です。要は全開走りを200m少々だけ行ったと言えるでしょう。

やはり素晴らしい名馬ですね。今回はこのあたりで。

2013 桜花賞 回顧

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今週はオークスが開催されますので、遅くなりましたが桜花賞の個別ラップをオークス出走馬に絞った形で書いておきます。当レースの感想も少々。

着順馬番馬名タイム200400600800前4F1000120014001600後4F1500Goal
1着7アユサン1:35.012.611.311.412.247.512.011.711.612.247.56.06.2
2着14レッドオーヴァル1:35.013.011.511.611.948.011.911.711.412.047.05.76.3
3着9プリンセスジャック1:35.412.911.311.312.247.712.111.911.512.247.75.96.3
4着13クロフネサプライズ1:35.412.511.111.312.046.912.011.912.012.648.56.16.5
5着6ローブティサージュ1:35.612.511.311.412.247.412.011.911.912.448.26.06.4
7着12トーセンソレイユ1:35.812.911.311.312.147.612.111.811.912.448.26.06.4
10着18メイショウマンボ1:35.912.711.111.612.047.412.011.912.012.648.56.16.5
16着3クラウンロゼ1:36.712.511.111.512.147.212.112.012.313.149.56.36.8


Mahmoud計測RL1:35.012.411.111.312.146.912.011.912.012.248.1



公式RL1:35.012.411.011.412.146.912.011.911.512.748.1



ホームストレッチでの向かい風が強い中で行われたレースでしたが、クロフネサプライズが公式ラップ通りにラスト2F目で11.5と本当にスパートできるのならば、ある意味間違いなく勝っていたと思いますし、違う言い方をすればラスト1Fで大失速させるほどの無謀なスパートを仕掛ける騎手ならば、クロフネサプライズの鞍上を任される事など決してなかったはずです。

ゴール直前でのアユサンのファイトバック劇は、レッドオーヴァルとの体重差が要因の一つだったりするのかもしれません。レッドオーヴァルは単に運がなかっただけと見ていいでしょう。この2頭の内容はともに良かったですね。

3着のプリンセスジャックはホームストレッチで、スムーズに加速できない不利が少々ありました。マトモならクロフネサプライズを余裕で交わし去っていたかと思います。

向かい風の影響を踏まえて、今回の桜花賞は持久戦というより末脚のキレ味勝負の度合いの方が少し高かったと見ております。レベル的にはまずまず平均並みかと。

今回はこのあたりで。

2013 皐月賞 回顧 その3

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着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F1900Goal
1着7ロゴタイプ1:58.012.311.111.511.612.158.612.112.111.711.611.959.45.86.1
2着14エピファネイア1:58.112.510.911.511.612.158.612.011.911.911.712.059.55.96.1
3着12コディーノ1:58.312.310.911.511.612.258.512.111.912.011.911.959.85.86.1
4着15カミノタサハラ1:58.512.911.211.611.611.759.011.812.011.811.812.159.55.96.2
5着5タマモベストプレイ1:58.512.611.111.511.612.158.912.012.011.811.812.059.65.96.1
6着18テイエムイナズマ1:58.713.411.611.711.711.660.011.511.811.811.811.858.75.86.0
9着1メイケイペガスター1:58.914.111.611.611.811.660.711.211.711.711.612.058.25.96.1


Mahmoud計測RL1:58.012.010.811.311.612.358.012.112.012.111.911.960.0



公式RL1:58.012.010.611.511.612.358.012.112.011.912.012.060.0



遅くなりましたがエピファネイア、コディーノ、そしてもう1頭について振り返っておきます。

予想された通り、エピファネイアが終始折り合いを欠き、福永祐一騎手は懸命に格闘していました。ゲートを出たなりの競馬でしたから内に潜り込むことはさすがに難しかったようです。思い切ってゲートを出して強引に内に行けば勝機はあるかと思っていましたが、それは鞍上のスタイルではありませんね。何とかできる範囲内で苦労しつつもまずまずの競馬をしたと思います。あの引っ掛かり具合なら追い出しを極力我慢するのは常套手段。簡単にロゴタイプに交わされてしまいましたが、それでも最後まで離されずに良く踏ん張っていました。まあ、もうちょっと貪欲にファイトしにいっても良かったかなあと思わなくはありませんが。

前走弥生賞で手変わりする事がなければ、これだけ引っ掛かることは防げたかもしれないという見方があるでしょう。まあ一理ある話だと思いますが、弥生賞では早めのスパートをして耐える競馬をさせたという、もう一つの事象も見逃してはいけないところかと思います。今回の皐月賞での踏ん張りは、弥生賞でのその経験が良く生きていたところだと感じました。溜めに溜めて一気に末脚を爆発させる以外にも、スピードで押し切るようなレースができる面が見えたのは大きな収穫でしょうし、一度の経験をしっかり生かせるのはこの馬の能力の非凡さを現しているところですね。

来るダービーでは折り合い面の不安が付きまとうのは仕方のないところであり、当然鞍上の手綱捌きがカギになりますが、これだけ踏ん張る競馬ができた点についてはプラスと見ていいでしょう。つまり、ある程度自力勝負に出てもそこそこヤレる可能性が見えてきたと言えます。弥生賞に引き続き新たな面を引き出す競馬ができたのは、良い方向性と捉えたいですね。馬の資質的に言っても今年のダービーは鞍上の福永祐一騎手にとってまさに正念場ですから、何とか頑張ってほしいと思います。

それにしても1F12秒を切るペースでこれだけ行きたがるわけですから、本質的に短い距離向きなのだと思います。どこかでガッツリとスピードを生かせるレースで走るところを見てみたいですね。今のところは上手に競馬ができるとは言いずらいものの、走る事だけを見ればこの世代屈指の存在なのは間違いのないところでしょう。



ゴールまで約30秒前、残り500m地点辺りでのコディーノの手応えを見れば「こりゃ突き抜けるな」と思ったモノです。それくらい抜群の手応えに見えました。それが連対すら果たせない3着とは・・・。

鞍上の談話通りに1~2コーナーを上手く走ることができなかったのは確かですね。しかし、エピファネイアと比較すればコディーノがとりわけ引っ掛かっていたとは思いにくいのも確か。やはり目に付くのは4コーナーの攻防。残り3F地点ではエピファネイアとほぼ同じ位置でロゴタイプには約0.3秒のマージンがあったのですが、残り2F地点ではロゴタイプにさえ交わされかけている状態。やっと前方の進路が開けた時は前述2頭に0.3秒ほど水をあけられた形。既にゴールまで300mを切っていました。もうレースの勝ち負けに参加するレベルになっていないわけです。

コディーノの過去走のラップを見れば分かる通り、毎回ラスト2Fで脚を使おうとしていたので今回も鞍上の意図はよくわかりますが、果たしてこの戦略がコディーノの関係者に受け入れられていたかは疑問ですね。勝負の最前線で生きている方達は、朝日杯FS、弥生賞と来て、この本番の皐月賞でも基本的に同じような乗り方をされ、このように馬体を併せるヒマもなく負ければ黙っているはずはないと思うんです。

そもそも藤澤調教師は、全盛期の武豊騎手でさえもデザーモ騎手やペリエ騎手より優先度を低く考えていたと思わせるトレーナーでしたから、ダービーに向けての鞍上変更は至極当然といった話だと思いますし、現場サイドはとにかく勝ち負けが全て。悠長な事を言っていられる時は当の昔に過ぎていたのでしょう。ここまでのコディーノ関係者と横山典弘騎手の詳しいいきさつは知る由もありませんが、取り返しがつかないくらいの下手を打った今回の騎乗だったのは紛れもない事実だと私は思います。

コディーノはマイラーとしての資質がかなりあるんじゃないかと思っていましたが、ロゴタイプに2回敗れた内容からすると、もっとゆったりとしたレースの方が良さが出る感じがします。まあ、クレイグ・ウィリアムズ騎手と鞍が合うかどうかは未知な部分が多いですが、ダービーでの巻き返しは期待しても良いんじゃないかと思います。


最後にもう1頭、別のレースをしていたメイケイペガスターについて書いておきます。

ラスト1Fを11秒台で走破していたら、1F12秒台および13秒台が刻まれないというおもしろいラップ構成だったのですが残念でしたねw また、私はメイケイペガスターが内枠を引いたと思っただけで、前走に引き続き同じ鞍上だったのを気が付いたのはレースが終わった後でした。ある意味、陣営は勝負をしてきましたねえ・・・。

G1皐月賞の舞台で意図的にこれほどゆっくりゲートを出て、勝ち負けを無視したレースをするのはペナルティ物と思えますが、個人的には良いデータが取れたというか、競走馬の深みを感ずることができたのはおもしろかったですね。で、概ね1F11.6で追走しても一向に前との差が詰まらなかったわけで、残り5F手前から鞍上が押し始めたんですね。それにメイケイペガスターは応えてバックストレッチの終盤では1F11.2までスピードアップしました。テンの2F目を除けばメンバー中最速ラップをマークした形となりました。しかも強い向かい風を受けてのモノだったようですから、メイケイペガスターは偉いですね!

更にもうひとつメイケイペガスターが偉いところというか、さすがG1に出走する競走馬だなと言える部分は、この速いラップを刻んだ部分ではゆったりとしたピッチのままでスピードアップしていたという点です。この後ラストスパートではしっかりピッチを上げていたわけで、値上では最速ラップを刻んだものの馬自身は全開スパートではなかったんですね。あくまでもレース中盤に於けるスピードアップという形をメイケイペガスターがわかって走っていたと考えられます。

ところがですよ、3コーナーに入ってからようやく前方のテイエムイナズマに接近できたのですが、しばらくすると再度鞍上が押っ付ける動きになったんです。メイケイペガスターは明らかにスピードを落としていました。この事象はPVをよく見るとわかるのですが、3コーナーを回り始めてこのままだとテイエムイナズマに近付き過ぎるためか、鞍上が手綱を抑えて少し外目に持ち出すような動きをしました。この挙動に応えてメイケイペガスターがスピードを緩めたというか、ある意味走るのを止めちゃうような動きになったと見えました。これは、かの阪神大賞典でのオルフェーヴルの逸走劇と似ているような気が・・・。結局、ゆっくりスタートを出る術しか取れなかった部分と、この3コーナーの出来事を併せて考えると、この鞍上はメイケイペガスターを御する能力を全く持ち合わせていなかったのだろうと思われます。メイケイペガスター自身は「行けと言ってんのか緩めろと言ってんのか、一体どっちやねん」みたいに思っていたのかも。総合的な体内時計感覚といい、これじゃ競馬にならないのも無理はないですね。そしてメイケイペガスターの共同通信杯での鮮やかな走りを導いたジョッキーでさえ、コディーノを降板させられるという現実、いろいろ考えさせられますね。

今回はこのあたりで。

2013 ダービー 参考個別ラップ

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2013 クラシックロード 参考個別ラップ 1/2

2013 クラシックロード 参考個別ラップ 2/2

この二つのエントリーに準じて皐月賞以降の参考レースの個別ラップを書いておきます。

2013/04/27 第20回テレビ東京杯青葉賞(G2) 東京芝2400m 基準タイム 2:26.1 馬場指数 -9

着順馬番馬名タイム200400600800100012001400前7F16001800200022002400後5F2300Goal
1着5ヒラボクディープ2:26.213.111.812.412.612.612.712.988.112.311.811.311.311.458.15.65.8
2着3アポロソニック2:26.212.711.612.312.712.612.812.687.312.311.911.711.511.558.95.75.8
3着7ラストインパクト2:26.213.311.812.512.612.612.712.988.412.211.911.311.211.257.85.55.7
4着10サトノノブレス2:26.413.611.712.712.912.612.712.989.112.211.811.111.011.257.35.55.7
11着15レッドレイヴン2:27.213.311.812.713.012.412.712.988.812.311.611.311.411.858.45.86.0


Mahmoud計測RL2:26.212.711.612.312.712.612.812.687.312.311.911.711.511.558.9



公式RL2:26.212.511.612.512.712.612.912.587.312.311.911.411.611.758.9


昨年の同レースの勝ち馬フェノーメノの走りを今回のレースに当て嵌めれば、逃げたアポロソニックの2、3馬身前の位置から3着ラストインパクトと同等の末脚を使い、10馬身近くぶっちぎるという形になります。今年の馬場状態とペース推移からすれば、1F10秒台に入れる末脚を使えないようならばダービー本番では苦しい戦いになりそうです。


2013/05/04 プリンシパルS(オープン) 東京芝2000m 基準タイム 2:00.2 馬場指数 -10
着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F1900Goal
1着6サムソンズプライド2:01.413.012.412.412.212.562.512.512.311.511.111.558.95.75.8


Mahmoud計測RL2:01.413.012.412.412.212.562.512.512.311.511.111.558.9



公式RL2:01.413.012.612.212.212.562.512.512.311.411.011.758.9




2013/05/04 第61回京都新聞杯(G2) 京都芝2200m 基準タイム 2:13.6 馬場指数 -7
着順馬番馬名タイム20040060080010001200前6F14001600180020002200後5F2100Goal
1着5キズナ2:12.313.811.712.212.211.912.374.112.311.611.711.211.458.25.65.8
2着8ペプチドアマゾン2:12.512.710.912.012.312.112.672.612.412.111.711.712.059.95.96.1
6着4アクションスター2:12.913.311.512.012.312.112.473.612.411.611.811.611.959.35.86.1


Mahmoud計測RL2:12.312.210.811.912.112.212.371.512.612.312.112.011.860.8



公式RL2:12.312.210.412.312.012.312.371.512.612.312.111.812.060.8


キズナは前2走に比べるとパフォーマンスを落としていますが、これはラスト2F特化型のレースをしたためと言えるでしょう。ダービー前の一叩きとしては大きな負荷をかけることもなく余裕残しの理想的なレースだったかと。ただ、外目を通っても京都外回りの4コーナーをデビューからの2戦同様克服できず。この馬にとっては4コーナーのRが緩やかな阪神外回りがベストでしょう。右回りも左回りも変わらず走れるとしたら、最後の直線の長い東京コースは合う舞台だと言えます。


2013/05/05 第18回NHKマイルカップ(G1) 東京芝1600m 基準タイム 1:34.1 馬場指数 -11
着順馬番馬名タイム200400600前3F8001000120014001600後5F1500Goal
1着8マイネルホウオウ1:32.713.311.311.335.911.411.611.011.211.656.85.75.9
2着17インパルスヒーロー1:32.712.911.011.735.611.511.611.211.211.657.15.75.9
3着12フラムドグロワール1:32.812.610.811.434.811.611.811.311.611.758.05.85.9
4着6レッドアリオン1:33.013.211.311.536.011.511.811.111.111.557.05.65.9
5着10ガイヤースヴェルト1:33.012.311.011.334.611.611.611.411.612.258.45.96.3


Mahmoud計測RL1:32.712.210.811.434.411.711.711.411.611.958.3



公式RL1:32.712.310.811.334.411.711.711.311.612.058.3


距離が延びて更にパフォーマンスを上げられるならば、ダービーで好走する可能性はあるかもしれません。

2013 日本ダービー 展望

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個人的にはレッドルーラーの回避により、早々と馬券勝負の興味が薄れた今年のダービーになってしまいましたが、上位人気馬4頭の戦いはそれぞれの特性を踏まえると非常に楽しみであるのは確かです。どんなレースになるのか少し考えてみましょう。

まずは馬場状態。前日土曜日の結果を見る限り、大体予想されたレベルの高速馬場かと思います。もしロゴタイプが皐月賞と同等レベルの末脚を使って同等のスピード指数を叩き出すとしたら、走破タイムが2:22.6、上がり3Fが35.2くらいになるかと思います。ダービーレコードが出ても何ら不思議じゃないでしょう。ただ、この推測値だとロゴタイプは1F平均12秒を切るペースで追走する形となりますから、今年の出走馬を考えると少々現実的ではないとも言えるでしょうか。また、皐月賞組で言えば12F戦でパフォーマンスを維持するのも結構難しいような気もしますし、そもそも今年のメンバーは距離伸びてこそ、と言える馬はかなり少ないと思います。

先手を取りそうな馬はアポロソニックとサムソンズプライド。この2頭は逃げ実績こそしっかりあるものの、刻んできたラップはあまりにも遅いですね。皐月賞の上位3頭とは大きな力量差があるだけでなく、その3頭は前走皐月賞で楽々刻んだラップは相当速かったわけで、もしアポロソニックかサムソンズプライドが自己に見合ったペースを作ってしまうと、有力馬達は全く噛み合わない追走ペースになってしまいます。早ければ2コーナーから、少なくともバックストレッチ中盤辺りから先頭に躍り出るような形になる可能性もあります。無理筋的に波乱の要素があるとしたら、こんな乱ペースになった時でしょうか。まあ、先行2頭が後方からのプレッシャーを受けて、自分のペースに落とすヒマを与えられなければガチンコの争いになるかとは思いますが。

さて、上位人気馬4頭はどんな位置取りでレースを進めるつもりなのでしょうか。勿論ゲートの出具合で状況は変わりますが、各馬スンナリとスタートを決めたとしたら、大方の予想通りコディーノが一番前に居る形が濃厚かもしれません。しかし私は案外エピファネイアが馬の行く気を過度に抑えず、コディーノと併走するくらいの位置に居る可能性もあるかなあと思っていますし、コディーノも先行ありきではない競馬をするような気もしています。

ロゴタイプはトレーナーがある程度スタートダッシュで出させるというコメントを発しているようですが、C.デムーロ騎手のスタイルからするとキッチリ差しに回るように思います。例えペースが遅くてもインに潜り込んで中団待機となるんじゃないかと。そして最内枠のキズナ。隣がコディーノ、更にアポロソニックと居ますから、上手くゲートを出させたらコディーノのすぐ後ろに付けるケースもあるんじゃないでしょうか。序盤はレースをし易い枠順の組み合わせになったように思います。

枠順なりにアポロソニック⇒サムソンズプライドという隊列でこの2頭がスンナリと1コーナーに突入すれば、2コーナーでガクンとペースダウンするんじゃないかと思うんです。こうなると折り合いに難がある馬達は非常に厳しくなりますね。エピファネイアにとっての最初の試練はこの辺りでしょう。また、折り合い云々に関係なくペースが緩めばC.ウィリアムズ騎手は黙っていないでしょう。で、何かの拍子にコディーノとエピファネイアが同期してしまえば、バックストレッチに入った辺りでどちらかが先頭に躍り出るシーンがあったりするかも・・・、というイレギュラーなレース展開をちょっと期待しています。したがって走破時計がそれほど速くなく、前後半のラップ差を見て前傾っぽい感じがしなくても、ギクシャクした流れに乗じて中団、あるいは後方待機組が得をするような競馬を前提に馬券を買ってみようと思っています。

◎キズナ
○ロゴタイプ
△テイエムイナズマ
△ペプチドアマゾン

前日土曜日の馬場の速さではちょっとしんどいかなとは思いますが、キズナは何かと運が味方するんじゃないかと感じています。それにつられてロゴタイプも自身に合う競馬になるのかなあと。3着候補は無欲の追い込みのテイエムイナズマと乱ペースに強そうなペプチドアマゾンとします。人気がないから買うだけなんですけどね。

まあ自分の馬券はさておき、コディーノ、ロゴタイプ、エピファネイアがホームストレッチでガチンコの競り合いとなり、そこにラスト1Fを過ぎてからキズナが襲い掛かり、ゴール板まで手に汗を握るような迫力あるレースを見てみたいですね。第80回日本ダービーを大いに楽しみましょう!

今回はこのあたりで。

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2013 日本ダービー 回顧 その1

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レースの感想は後日書くとして、とりあえず全頭個別ラップを表にしておきます。

着順馬番馬名タイム200400600800100012001400前7F16001800200022002400後5F2300Goal
1着1キズナ2:24.313.411.912.112.212.312.512.787.111.911.811.311.011.257.25.555.65
2着9エピファネイア2:24.413.211.212.112.412.512.612.686.612.111.811.211.111.657.85.75.9
3着3アポロソニック2:24.612.410.612.012.512.612.312.685.012.311.811.811.712.059.65.96.1
4着16ペプチドアマゾン2:24.612.711.112.212.512.212.312.585.512.412.011.411.411.959.15.86.1
5着8ロゴタイプ2:24.612.711.412.012.612.312.512.586.012.311.811.411.311.858.65.86.0
6着11テイエムイナズマ2:24.713.411.712.112.412.312.612.787.212.011.711.211.111.557.55.75.8
7着6ラブリーデイ2:24.713.111.612.112.412.512.612.787.012.011.811.211.111.657.75.75.9
8着10タマモベストプレイ2:24.712.911.512.212.512.412.512.686.612.111.811.411.211.658.15.75.9
9着2コディーノ2:24.812.911.512.012.512.412.612.586.412.211.711.411.311.858.45.76.1
10着15フラムドグロワール2:24.812.911.211.912.412.312.612.685.912.411.811.511.511.758.95.85.9
11着5メイケイペガスター2:24.913.311.512.311.911.311.812.884.912.311.911.911.712.260.06.06.2
12着17レッドレイヴン2:24.913.911.812.212.112.212.412.787.312.111.611.111.211.657.65.75.9
13着7ヒラボクディープ2:25.013.311.512.012.312.412.612.686.712.011.811.411.311.858.35.86.0
14着14アクションスター2:25.113.711.912.212.112.212.712.787.512.011.711.211.111.657.65.75.9
15着13マイネルホウオウ2:25.213.211.412.212.612.312.612.686.912.111.711.211.312.058.35.96.1
16着4クラウンレガーロ2:25.812.811.412.112.512.412.612.586.312.211.811.511.812.259.55.96.3
17着12サムソンズプライド2:25.812.310.812.312.712.312.412.685.412.411.811.811.912.560.46.16.4
18着18ミヤジタイガ2:26.313.111.212.012.612.312.612.586.312.311.711.511.912.660.06.26.4


Mahmoud計測RL2:24.312.310.712.012.512.612.012.884.912.311.911.811.711.759.4



公式RL2:24.312.310.512.212.512.811.912.784.912.311.911.611.711.959.4



1000m通過の公式ラップは1:00.3。GC映像上でリアルタイム表示されたラップなので自動計測だと思うのですが、CX、NHK等の複数の映像を見る限り、この地点の電光管はメイケイペガスターで反応したんじゃないかと考えられます。実際にはおそらく1:00.1~1:00.2で通過したと思われ、この辺りのラップのギクシャク感は多少薄まる形となります。

また、Twitterで暫定版としてキズナとエピファネイアのラップを書きましたが、その後再計測して修正しました。したがってキズナの末脚の「ナタの切れ味」感は、一層濃くなっています。ラスト600~200mの2F区間に於いて、キズナと同ラップとなる22.3を刻んだ馬が他に5頭存在します。

回顧その2はもう少々お待ちください。

2013 安田記念 スピード指数出馬表

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$上がり3Fのラップタイム検証

斤量調整なし、地方・海外は減戦扱いとしています。

ロードカナロアはまだ1200m戦で指数100オーバーを記録したことがなく、スプリンターとしてはサクラバクシンオーには到底敵わないレベルだと思いますが、大きなポイントとしてはスプリント的スピードを生かして勝ってきたわけではないという点。要は生粋のスプリンターではないだろうとデビュー時から考えてきました。まあ、今回は60秒近く走ってからスパートする時間的慣れという辺りは少々厄介だと思われますが、資質的には2000m戦でも問題なく走れる器だと思いますし、マイル戦以上に於いてスプリント戦よりパフォーマンスアップできる可能性は結構大きいんじゃないかと期待しています。今回の結果に関わらず、今後は天皇賞・秋を目指すくらいのスタンスでいて欲しいと思います。

2013 日本ダービー 回顧 その2 ~キズナ、321完歩の軌跡~

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それでは第80回日本ダービーを私なりに振り返ってみましょう。文字数の関係上、全頭個別ラップはこちらのエントリーをご覧ください。

2013 日本ダービー 回顧 その1

予想された通りに、アポロソニックとサムソンズプライドが先行。ほぼ通常通りの助走距離が取られていましたので、テンの1Fの12.3はそこそこ速い入りといった感じでしょう。外枠のサムソンズプライドの方がスタートダッシュは上でしたが、結局内枠のアポロソニックが2F目で10.6というかなり速い脚を使ってハナに立ちました。前半2F通過23.0は昨年比0.8秒速いモノ。これだけ序盤でペースが上がれば各馬折り合いやすいかと思いきや、コディーノ辺りはかなり折り合いに苦労していました。皐月賞の余韻がまだ冷めやらぬような感じと言えるでしょうか。

2コーナーにあたる前半4F目はペースが落ち着くケースが多いのですが、後方待機組にとっては序盤のキーポイントとなる地点。昨年、ワールドエースとゴールドシップが差し届かなかったのは、ここでペースを落とし過ぎて前方の有力馬との差を開けすぎたのが一番の要因。ワールドエースは自発的にペースを緩めたので自業自得、ゴールドシップはその煽りを受けた形でありましたが、今年はサムソンズプライドがハナを譲ってからグッとペースを落としましたから、逃げるアポロソニックがペースを緩めながらも大逃げとなる可能性があり、また、サムソンズプライドへ玉突き状態になることによって、折り合いに難がある馬達が大きく影響を受ける可能性もあり、レースが半ば壊れ気味になる場面でしたが、その流れを断ち切る動きに出たのが前走皐月賞で別のレースをしていたメイケイペガスター。1コーナー侵入時では最内に潜り込んでいたのに前半3F辺りから外に持ち出していました。明らかな確信犯的行動。馬は気分良く1F11.3でスイスイ進んでいきました。このメイケイペガスターの押し上げで、3番手以降の馬達は多少なりとも減速幅が小さくなり、折り合いが破綻するまでにならなかったのは幸いだったと思います。

とはいえ、メイケイペガスターもグイグイ引っ張っていく意志はありませんでしたから、先頭馬の前後半はほぼイーブン。中団馬群は先行馬と少し間隔を開いての追走であり、全体的な流れとしてはスローの上がり3F勝負というレースだったかと思います。

では、上位人気馬について触れていきましょう。

まずは5着と敗れた皐月賞馬ロゴタイプ。いわゆる王道的なレースをして伸び切れずといった印象でしょうか。もう少し序盤で脚を溜めたレースをしてくるかと個人的には思っていましたが、C.デムーロ騎手は至ってオーソドックスな戦い方を選択したようです。もし兄ミルコ鞍上ならば、より後方のインで脚を溜め、ペースが緩んだ辺りで前方に進出するとか、何かしら主導権を握る戦いをしたんじゃないかと思います。

まあ、端的に言えばユッタリとした2400m戦特有のレースに於ける距離のカベが存在したという見方となるでしょうか。この馬には追走ペースがマッチしなかったと思います。一応自身キャリア最高レベルの末脚を使いましたが、不完全燃焼的といった感じの残念なレース運びとなりました。

これはダービーの結果を受けての完全な後付論になりますが、皐月賞の回顧エントリーで触れた強風の影響が、実は私の想像以上に大きかったのかなあと改めて考えたりする部分があります。要は皐月賞のパフォーマンスレベルをもう少し低く見るべきだったのかということです。というのは、皐月賞回顧3で書いたメイケイペガスターの6F目の11.2というラップ。ココはバックストレッチの終盤の区間ですが、メイケイペガスターはポツンと最後方でしたから向かい風をモロに受けていて当然だったと思うんです。しかしながら大きな完歩で11.2を叩き出したのが、私はなかなか解せないでいました。なので実は皐月賞のレース中に於けるバックストレッチの向かい風が、一時的にホームストレッチの追い風に比べて弱まっていたのではないかと想像するところが少々ありました。したがって、ホームストレッチでは強風の追い風の恩恵をかなり受けた結果、純粋な馬場状態の速さを遥かに上回ることが可能なレース環境であったからこそ、あのような快時計決着になったと解釈するべきだったのかと。ホントに「何を今さら」というしかありませんが・・・。

展望エントリーでコディーノとエピファネイアが同期して云々、ということを書きましたが、やはりこの2頭は折り合いという部分で皐月賞同様かなり苦労していました。で、実際には2頭が暴走するシーンまではありませんでしたが、何かとシンクロする部分があったのは確かですね。PVを見た方は気付いていらっしゃると思いますが、ポイントとなる箇所のスクリーンショットを見ながら、この2頭の序盤の走りを見て行きましょう

$上がり3Fのラップタイム検証
前半1F通過時。コディーノは枠順なりの進路を通り黒帽クラウンレガーロの真後ろに付けています。エピファネイアはできる限り内目に行こうという姿勢。


$上がり3Fのラップタイム検証
前半1F通過の1秒後には、コディーノは「もう我慢ならん」という感じで黒帽クラウンレガーロの外に進路を求め始めます。


$上がり3Fのラップタイム検証
ココでのコディーノは黄帽タマモベストプレイを外に追いやるくらいの勢い。エピファネイア鞍上の福永祐一騎手は何かを狙っている雰囲気。


$上がり3Fのラップタイム検証
コディーノが外に寄せたことによって黒帽クラウンレガーロの後ろにできたスペースを、福永祐一騎手が狙い始めます。馬の向きを内へと導いています。


$上がり3Fのラップタイム検証
福永祐一騎手は内ラチ沿いにいる赤帽ラブリーデイを横目でチラリと確認しながら、1コーナーのインを取りに行きます。


$上がり3Fのラップタイム検証
赤帽ラブリーデイがエピファネイアの煽りを受けブレーキを掛けるシーン(過怠金10,000円)。少々強引ながらも黒帽クラウンレガーロの後ろの内ラチ沿いのインを確保。

今回のエピファネイアの末脚は、まだまだこんな程度のモノではない気がしますが、皐月賞に比べれば明らかにこの馬本来なりの末脚を使えた最大のポイントが、このシーンだったかと思います。ビュイック騎手鞍上を挟んだ皐月賞では、とにかく何とか折り合いを付けようとすることに精一杯で内に馬を入れる余裕はありませんでしたが、このダービーでの福永祐一騎手は少し余裕を持てていたのか、僅かなスキを逃さない冷静さがあったかと思います。過怠金を喰らっているので手放しで褒めるわけにはいきませんが、見事なファインプレーだったと感じました。

もう1枚画像を見てみましょう。

$上がり3Fのラップタイム検証
前半4Fの少し手前の辺りです。ペースがグッと緩んでこの2頭がまた折り合いに苦労するシーン。特にコディーノ鞍上のC.ウィリアムズ騎手は立ち上がらんばかりの態勢になっています。この危機を救ったのが前述の通り、コディーノの外目に見えるメイケイペガスターの押し上げ。馬群はメイケイペガスターにつられる形でペースが緩むのを食い止める形となりました。まあ実力的に致し方ないとはいえ、1F10.8から2F過ぎて2秒近くペースを落とされては、後続馬の折り合いは非常に厳しくなりますね。以前から何度か書いていますが、このような序盤の緩急の落差が大きいのはねえ・・・、競馬の醍醐味を少しスポイルしているように感じます。

さて、コディーノは惨敗と言える結果となりました。良くも悪くも「横山典弘色」に染まり切っていたようなモノなのでしょう。C.ウィリアムズ騎手の手腕でさえ歯が立ちませんでした。もしダービーで是が非でも結果を追い求めるならば、トレーナーが語っていた「自分の中で調教も競馬もイメージとは違ってきた」だとすると、ローテーションが苦しくなる覚悟で鞍上変更の上、トライアル戦を使う選択肢もあったように思います。まあ、私達外野はこうやってレース選択だの騎手選択を、あーだのこーだのと、ついついエラそうに語ってしまいますが、マトモなレースをさせるだけでも相当な苦労があるものだなあと、改めて考えさせられた今回のコディーノの走りでした。

エピファネイアの走りについてはこの後も少し触れますが、デビュー戦から見せていたこの馬自身のカラーをまずまず発揮した良い走りだったと思います。そして福永祐一騎手は前述のファインプレー以外にも、最後の直線での進路選択の素晴らしさは特筆すべきモノだったと思います。多少左右に動くシーンはありましたが、真一文字に走るのと比べても距離損など数センチにも満たないレベルでしょう。PVをじっくり見れば、彼が冷戦沈着にエピファネイアを導いていたのが良くわかるかと思います。



競走馬の命名は、人間のように生まれたばかりの時に名付けられるのではなく、ある程度馬の資質を感じられる頃に名付けられるわけで、その名前から期待度の大きさが何となく感じられることがしばしばあります。ノースヒルズ軍団の中では明らかに異彩を放つ「キズナ」という馬名。ダービー馬となるべく運命を背負っている雰囲気を感じ取っていた方は多かったのではないでしょうか。実にドラマティックで鮮やかな勝利を飾った、キズナの321完歩の軌跡をだとっていきましょう。

ラップ13.411.912.112.212.312.512.711.911.811.311.011.2
完歩計320310300290280270260250240230220210200190180170160150140130120110100908070605040302010
秒/完歩0.4300.4270.4340.4340.4430.4510.4570.4570.4540.4600.4670.4710.4570.4540.4570.4670.4710.4630.4610.4600.4610.4570.4570.4440.4440.4400.4300.4310.4300.4310.4330.438


ダービーの舞台である東京芝2400mをキズナは321完歩で駆け抜けました。2完歩目からゴールまでの320完歩を10完歩ずつ分割して、その平均完歩ピッチを1F毎のラップと共に表にしてみました。過去エントリーで何回かこの完歩ピッチを取り上げていますが、改めて具体例を挙げながら説明していきましょう。

競走馬はスタミナ負荷の少ない状態で全開走行を行うと、その馬自身が持つ能力の中で最も速い脚の回転を見せます。例えばこのダービーで見事3着に粘り通したアポロソニックは、ゴール間近では約0.450秒 / 完歩 というピッチで走っていましたが、テンの2F目で10.6を刻んだ辺りでは約0.407秒 / 完歩 という高回転のピッチを繰り出していました。また、現役馬の中で高回転ピッチ走法の代表的存在であるオルフェーヴルは、ロンシャンでのラストスパート時に0.393秒 / 完歩 をマークしています。このオルフェーヴルでもペースが緩んで楽に走っている際は、概ね0.450秒 / 完歩 程度で走るわけです。

人間のランナーと同様、競走馬も体格、特に脚の長さや脚の可動域の違いにより、ピッチ走法タイプとストライド走法タイプに分かれます。過去に強烈な印象が残る超ピッチ走法馬といえば、あのブロさんことブロードアピールですね。伝説の2000年根岸Sのラスト1Fは11.4程度で駆け抜けたのですが、その1Fを29完歩、つまり0.393秒 / 完歩 で走破していました。最後の直線の中程の、最もピッチが上がった際は0.375秒 / 完歩 くらいの猛ピッチで走っていました。一方、超ストライド走法ならクロフネ。2001年NHKマイルCではラスト1Fが上記のブロードアピール同様11.4程度のラップを刻んでいますが、それに要した完歩数は25。0.456秒 / 完歩 ほどの大きな走り。ピッチをかなり上げても 0.450秒 / 完歩 を切るのはほとんど見られない馬でした。

こちらのエントリー、

2013 クラシックロード コディーノ・エピファネイア・キズナの巻

で、キズナとエピファネイアの新馬戦の完歩ピッチを比較しましたが、ラジオNIKKEI2歳Sでのキズナとエピファネイアの比較も先日Tweetしました。ラスト200完歩、距離にして約1400m程度にわたるピッチ推移はこんな様子でした。


200190180170160150140130120110100908070605040302010
エピファネイア0.4440.4530.4540.4470.4440.4470.4470.4510.4400.4410.4400.4340.4270.4070.3970.4000.4040.4070.4170.424
キズナ0.4540.4600.4680.4700.4740.4740.4700.4570.4540.4470.4440.4370.4370.4240.4100.4110.4170.4270.4300.444


ゆったりと走っている段階でこの2頭のピッチ差は歴然としているのですが、4コーナーでピッチが上がったところがポイント。キズナは意外に速いピッチを繰り出していました。ペース的に余力十分だったとはいえ、苦手なコーナーで外からエピファネイアに被され気味になり、慣れない低速ギアでスパートを掛ける形になりました。ココで過度にスタミナを使ってしまったようなのです。それはラスト10完歩のピッチの落ち込みが物語っていますね。いわゆる「ストライドロス」の典型例だったかと思われます。

では今回のダービーに於けるエピファネイアのラスト200完歩を見てみましょう。

ラップ12.512.612.612.111.811.211.111.6
完歩計200190180170160150140130120110100908070605040302010
秒/完歩0.4540.4510.4500.4540.4440.4300.4370.4470.4440.4440.4300.4210.4200.4100.4070.4180.4170.4170.4270.430


最高ピッチは本来のモノより落ちていますが、まずまず同馬らしいスパートができたのではないかと思います。引っ掛かった分も含めて距離のカベがあったのだろうと感じます。ちなみに残り150完歩部分のピッチが上がっているのは躓いた影響です。

このエピファネイアの完歩推移はおそらく一般的な形であるかと思います。例えばラスト100mを切ってから1頭抜け出した際に、鞍上が追うのを止め、かつ余力がまだ残っているせいで自らピッチを落とす場合もありますが、ダービーでのエピファネイアのケースは余力を振り絞り何とか懸命に脚を動かしていると考えてよさそうです。

というわけで改めてキズナの完歩推移を見るとエピファネイアとの違いがハッキリわかるかと思います。そしてキズナのラストスパートを詳しく見て行くと、4コーナーを左手前で回ってきてからゴールまで残り66完歩目(映像ではハッキリ確認できませんが)で右手前に変え、その後65完歩を右手前で走り武豊騎手が追うのを止めた最後の1完歩で左手前に変えました。その最後の1完歩は約0.47秒。つまり、その右手前で走った65完歩、ゴールまで残り約518mからの510m区間で、1完歩平均0.430~0.434秒という、ほぼ変わることのないピッチでキズナは駆け抜けていたのです。残り200m辺りで「キズナはまだ伸びて来ない!」と実況されつつも、怒涛の末脚でエピファネイアをゴール前で差し切った走りの源は、この一定したストライド走法にあったわけです。新馬戦で見せた「どこまでも伸びていく」と感じさせる末脚の完成形を、この大一番のダービーでキズナは披露してくれました。

キズナ陣営は弥生賞敗戦後、早々と皐月賞のスキップを決めていたそうです。後日談として、その時点では武豊騎手に知らされていなかったとのコメントもありましたが、キズナの長所・短所を考えれば、実に的確な判断だったのは言うまでもありません。人も馬も、長所をしっかりと伸ばしてやってこそ光り輝くモノですよね。実にドラマティックな結末を迎えた今回のダービーでしたが、その結末は偶然起こったのではなく、陣営のじっくり腰を据えた戦略による必然の結末だったかと私は思います。今後もこのキズナの長所を最大限生かしたレースを続けて行って欲しいと願います。


この日の東京競馬場は、さぞかし感動に満ち溢れた雰囲気だったかと思います。キズナの関係者の皆様、素晴らしいレースを見せていただき、誠にありがとうございました。

今回はこのあたりで。



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2013 安田記念 回顧

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もう2週間前の事となりましたが、安田記念のレース後に上位2頭の暫定版レースラップをTweetしました。ショウナンマイティは当然としてロードカナロアもラスト1Fが良く伸びているなあと思ったのですが、正面からのパトロールビデオを見ると、ヨレるわ手前も2回変えるわで、これでラスト1Fも伸びているとはちょっとおかしいなと思い始めました。で、よくよく見るとレース後即座に私が使用したラップ計測用のバーチャルライン、これ前週ダービーで使ったモノだったんですね。ダービーデーはバーチャルラインありのGC映像だったので、通常のカメラ位置とは違いますからいつも私が使用するバーチャルラインとは別角度となるモノだったのです。それを引き続き使ってしまい、安田記念での計測ポイントがズレてしまいました。ショウナンマイティのラスト1Fは驚異的だと喜んでいましたが、もう少し常識的なラップを刻んでいたようです。というわけで上位3頭とレースの流れのキーとなった数頭のラップをご覧ください。

着順馬番馬名タイム200400600前3F8001000120014001600後5F1500Goal
1着10ロードカナロア1:31.512.910.911.535.311.511.411.110.911.356.25.555.75
2着2ショウナンマイティ1:31.513.311.111.435.811.411.511.110.711.055.75.45.6
3着16ダノンシャーク1:31.612.811.211.535.511.511.411.110.811.356.15.55.8
8着15ヴィルシーナ1:32.012.310.711.534.511.711.511.311.411.657.55.75.9
10着7グランプリボス1:32.212.910.911.535.311.511.411.411.211.456.95.65.8
14着1カレンブラックヒル1:32.412.410.911.534.811.511.511.311.511.857.65.86.0


Mahmoud計測RL1:31.512.210.511.233.911.411.711.511.711.357.6



公式RL1:31.512.010.711.233.911.411.711.511.311.757.6



例によってシルポートはハイラップで飛ばしていきましたが、当然それに乗っかる馬などいません。そして実質的ペースメーカーは巷で「番手おじさん」と呼ばれているC.ウィリアムズ騎手騎乗のヴィルシーナという形になりました。まあ私自身、使うことがあるかもしれませんが、この「番手おじさん」という表現はあまり妥当ではないなあと言うのが本心です。で、ヴィルシーナも2番手ながら上がり勝負に備えるという動きでした。この流れに付き合ったのがカレンブラックヒルとエーシントップ。エーシントップは能力的に百歩譲って良しとしましょう。しかしカレンブラックヒルはねえ・・・。今回の着順なりの実力ならどの道ダメなのかもしれませんし、昨年の天皇賞・秋からの戦績を踏まえて鞍上がネガティブ思考になるのがわからんでもないのですが、同馬のデビューからのレースぶりというか、ラップの踏み方を考えると未だに同じ鞍上でレースを行うのが信じられない感じがしますね。折角マイペースで単騎2番手の競馬ができる絶好のチャンスだったと思いますが、予想通りこんなレースをしていました。

この2頭にしてやられた格好となったのがグランプリボス。休養明けの前走マイラーズCよりペースが緩めば引っ掛かるのも無理はないところだったでしょうか。また道中引っ掛かればスパートを遅らせようという気持ちに流されやすい面があったのか、最後の直線では進路が全く見付けられずにマトモなレースとなりませんでした。

いつもならこの後で上位3頭についてあれこれ書くパターンですが、今回は違う視点で振り返ることにしますので、この3頭のレースぶりは割愛することにします。ただ、2着ショウナンマイティだけは少し書いておきましょう。

予想の段階で、グランプリボスが1:31.7で走破するだろうと私は考えていました。勿論これが通常の勝ちタイムになるだろうとの読みです。このタイムを上回る可能性がある馬はロードカナロアとショウナンマイティの2頭。ショウナンマイティは後半超特化型のレースで実績を上げてきた馬であり、それがラップ的に非効率であってもショウナンマイティのベストな形なのです。で、ショウナンマイティの過去走と今回の馬場の速さから、上がり5FのMAX値は55.5程度だろうと予測しました。したがって勝ち負けに加わることが可能な前半3Fのボーダーラインは36.2。これより遅く入れば物理的に勝ち負け不能。鞍上浜中俊騎手のラップ的センスというか、広義的な意味での体内時計が問われるレースだったかと思います。

上がりで1F10秒台に平気で入れてくるショウナンマイティですから、前述のボーダーライン内でテンを走らせるのは全く問題がありません。ただ、その気にさせて行き過ぎるといつものレースパターンが崩れてしまいますから、自らレースを壊してしまう可能性も十分ありました。そして実際にはスタートダッシュでモタついたものの、極めてスムーズに前半3Fを35.8で走破。実に見事な手綱捌きだったと思います。この3コーナーの時点で好走が約束されたと言ってもいいでしょう。

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リアルタイムで最後の直線のシーンを見た瞬間、遠い記憶の影響から「ダノンシャークからオブジェクションされると危ないかも」という感覚が一瞬頭を過ったのですが、ダノンシャークの挙動を見る限り現行の降着ルールには全く該当しない事象であり、旧ルールでも審議の青ランプが付くものの、ほぼノータイムで着順が確定する形になるだろうなあと感じました。ところが夜になってTwitterをいろいろ見て回ると事が大きくなっていて・・・。

今より10歳若い私なら、ショウナンマイティの頭で馬券勝負をしていて問題のシーンを目の当たりにし、その後「HOWEVER」を見せられた日にゃ、怒髪天を衝く形相になるのは容易に想像がつきます。「岩田この野郎!」という気持ちは良くわかります。というわけで問題のシーンの動画をアップしてありますので、今一度ご覧になってください。後半は超スロー再生となっております。



そしてもう一つ動画をアップしました。冒頭は今回の安田記念の最後の直線区間での正面からのパトロールビデオ。その後は参考として計4レース分の岩田騎手の手綱捌きを見てください。



参考4レースの1つ目。ゴールまでヨレヨレですが少しずつ外へ向かっているところは安田記念のロードカナロアと類似点があると思います。重心を左右にずらしながら左ムチを入れていますね。どちらかと言えば左側に重心を置いている時間が長いかもしれません。

参考4レースの2つ目では、外に進路を求める際は左ムチを使っていますが、その後右ムチに持ち替えています。ロードカナロアがダノンシャークに接触する際、右ムチに持ち替えようとしていない意見がありましたが、岩田騎手がムチの持ち替えができないわけでないのはこのレースが証明していると思います。

参考4レースの3つ目では、右側に重心をずらして左ムチを入れながら真っ直ぐ走らせています。

参考4レースの4つ目は右回りコース。最内から大外へ持ち出して豪快に追い込みを決めましたが、馬が走る向きを変えるためのムチならば、大外に出した後は左ムチを入れても良さそうな場面。しかし岩田騎手は右ムチを入れて最後は真っ直ぐに駆け抜けました。

以上の事から、岩田騎手は手綱操作に加えて重心をずらしたりしながら馬の進路を御するのがメインであり、操舵的なムチというのは二の次である騎手なんだと思います。重心をずらす点はスミヨン騎手と似ているところだと感じます。したがってムチの持ち替えの是非を論ずるのは問題のシーンに関して妥当な見方ではないと思うんです。

一応基本的なパターンとしては、最後の直線において右回りなら右ムチ、左回りなら左ムチ、という組立なのかと感じるところがあります。岩田騎手は最後の直線の中程で一気に差し切るパターンが多いと思うのですが、先頭に立った後、ゴール板まで凌ぎ切る事が要求されます。とすると、更に外から追撃してくる馬をターゲットとするケースが多いんじゃないでしょうか。この安田記念は彼の想定に近いレースをしたように思います。


では改めて問題のシーンを幾つか振り返ってみましょう。

$上がり3Fのラップタイム検証
ここで岩田騎手は右後方にいる馬の動向を伺っています。おそらく内の馬は眼中になく、外から迫りくる馬をターゲットとして、馬体を併せた勝負に持ち込む腹積もりなのでしょう。


$上がり3Fのラップタイム検証
この時点で岩田騎手の視界にダノンシャークが入りました。


$上がり3Fのラップタイム検証
岩田騎手の視線は何度も外へと向けられていますが、ここでようやく左ムチを打つ態勢に入ったところ。この時点まではダノンシャークの方がロードカナロアに近付いてる形。


$上がり3Fのラップタイム検証
1発目の左ムチが入ったロードカナロアはついに外へ動きました。一方ダノンシャークの鞍上C.デムーロ騎手は馬の口向きを外へと進路変更に入っています。


$上がり3Fのラップタイム検証
ほぼ真っ直ぐ走っているロードカナロアと外に向けて走っているダノンシャークとの間隔はこれだけ広がりました。


$上がり3Fのラップタイム検証
ロードカナロアの馬体が外向きに傾いています。鞍上の動きを考えるとロードカナロア自身がバランスを崩したと言えるかもしれません。その結果、次の1完歩で外にヨレました。


$上がり3Fのラップタイム検証
外向きに傾いたロードカナロアの馬体を立て直す意味だと思いますが、岩田騎手は左側に重心をずらして左ムチを入れています。


$上がり3Fのラップタイム検証
このシーンが一番のポイントとなるでしょうか。ロードカナロアの馬体ははどちらかと言えば内に向いていると思うのですが、一方岩田騎手の重心が右側に移っているように見えます。ここから再び外へモタれ始めます。岩田騎手自身の意識も外へと向いているのかもしれません。


$上がり3Fのラップタイム検証
一つ前の画像とは違ってロードカナロアの馬体は外に向いています。このままならダノンシャークと接触してしまうのは必然。


$上がり3Fのラップタイム検証
岩田騎手は進路修正をする意図がないまま左ムチを入れようとしています。



$上がり3Fのラップタイム検証
一つ前の画像から2完歩後。ロードカナロアの馬体は更に外へ向いています。ロードカナロアとダノンシャークの2頭は外ラチにブッ飛んで行きそうな勢いに見えるくらいに斜めになっています。


$上がり3Fのラップタイム検証
岩田騎手は立て直そうとして激しく口向きを変えています。ロードカナロアの首がかなり傾いています。


$上がり3Fのラップタイム検証
ロードカナロアは内方向へ完全に進路変更。二つ前の画像と両極端な馬体の向きとなりました。また、ショウナンマイティは再度外に進路を求めざるを得ない状態になっていますが、その斜行度合をロードカナロアのモノと比べてみてください。

問題のシーンに至るまでの区間は、岩田騎手が執拗にダノンシャークへ馬体を併せに行こうとした雰囲気はあまり感じられません。どちらかと言えばダノンシャークが近付き離れて行ったという感じ。で、一番のポイントと書いた画像。ここからロードカナロアはダノンシャークと接触するまで外に向かったわけですが、岩田騎手は外に向かっているのが実はうまく体感できていなかったような気がするんです。というのも昨年のJCでの「ボクは真っ直ぐ走っていた」という池添騎手の名言。これと同類なんじゃないかと思うのです。まあ、池添騎手は大きなアクションで追う騎乗フォームではありませんから根本的な部分は違いますが、岩田騎手ほどの動きであれば平衡感覚が多少失われても致し方ないのかなあと思ったり・・・。良い悪いを抜きにした意味において、彼は真っ直ぐ走る事が最善とは思っていないのでしょう。これは以前外国人騎手について書いた話と同じスタンスなんだろうと思います。

結果的にダノンシャークを邪魔したのは事実であり、何らかの形で非難されるのは致し方ないのは確かです。まあ岩田騎手の馬に対する御法がどうなのかはジョッキーでなければ論ずるレベルではありませんが、外野的意見とすれば単純に岩田騎手が下手だったと考えるのが妥当かなと思えます。ただ、瞬時に対応したC.デムーロ騎手の技量込みではありますが、岩田騎手はダノンシャークの進路をカットしたわけではありません。旧ルールでも降着・失格処分となったケースとはかなり差がある事象です。したがって今回の事象を、シゲルスダチを落馬させる事に繋がった昨年のNHKマイルCの事象と同列に扱って、岩田騎手を非難するのは筋違いだと思います。また過去エントリーで書いた昨年のJCとも全く違うものです。「岩田騎手は危険な騎乗をする」というのは昨年のNHKマイルCだけを取り上げて語れば良いのだと私は考えます。

そもそも論として、ロードカナロアがこれだけ左や右に動いてメリットがあるのでしょうか。そりゃ対ダノンシャークだけならメリットがあると見ていいかもしれませんが、その隙に他馬にやられては本末転倒もいいところです。ぶつけるまでもが確信犯的な行動だとするならば、その後一気に進路を立て直すことなどしないと考えるのが物事の捉え方としては自然な形かと思います。内に向かずに真っ直ぐ走ろうとするはずですから。

また、ショウナンマイティが減速したとは、私の眼にはほとんど映りません。馬が外に向かって走ると通常映像では画面上の左右の動きが少なく見えてしまいます。その錯覚が減速していると思わせている部分かと思います。ちなみにロードカナロアがゴール前で再度伸びているように見えるのは、内方向に走り出したからそう見えるだけなのです。まあショウナンマイティが一切減速しなかったとは言いませんが、Trakusやハイスピードカメラで分析しない限りわかることのないレベルであったかと思います。

やはりというか、ショウナンマイティが不利を受けずに走れば差し切っていたという見方がありますが、それは「ショウナンマイティが不利を受けない」=「ロードカナロアが斜行せずに」という事になります。もしショウナンマイティの進路変更のロスが大きいとするのなら、ロードカナロアの走行ラインもそれなりに大きなロスがあったと見るのが妥当じゃないでしょうか。それは上記の画像からもわかるかと思います。したがって、「本来ならショウナンマイティが勝っていた」というのは、私にはいささか暴論に聞こえてしまうモノです。もし逆転があったとするのなら、アンカツおじさんがTweetしていたようにロードカナロアの内に進路を取った時でしょう。ただ、ほぼ毎回大外に持ち出して広々とした状況下で末脚を爆発させて勝負してきた馬ですから、ロードカナロアの内の進路を狙うまで待つというのも現実味はありません。そりゃアンカツおじさんならできる芸当だと思いますが、もしアンカツおじさんのお手馬ならここまで違う戦績を積み重ねてきただろうとも言えるでしょう。


最後に先頭馬のラスト1F通過シーンがこちら。

$上がり3Fのラップタイム検証

先頭はロードカナロア。ラスト1Fは11.3と見ていいでしょう。ちなみに後方寄りのバーチャルラインは公式ラスト1F11.7での通過時のモノとなります。その差0.4秒。大きいですね。もしショウナンマイティの不利が如何なるものかを考える際、ラスト1Fが11.3か11.7では大きく変わってきますね。また同時に、ロードカナロアとショウナンマイティのパフォーマンスの評価も大きく変わります。この2頭は素晴らしい走りをしたと私は解釈したいですし、そう判断できるモノとなる形で記録が残らないのは残念極まりない気持ちで一杯です。

今回はこのあたりで。

2013 宝塚記念 展望

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宝塚記念の展望というか、願望をちょっと書いてみます。

前日土曜日の阪神競馬場は、やはり中間の雨量の影響が大きい状態。今開催2週目までの高速馬場と比べるとマイルで1秒ちょっと掛かる程度と言えるでしょうか。少ない例しかありませんが過去の同時期開催を参考にすると、土曜日より0.5秒近く速くなる可能性があるでしょう。今回のメンバーでタイムトライアル的要素の高いレースになれば、最も速く駆け抜ける馬はフェノーメノかと思いますが、2:11.2くらいの勝ちタイムを見込めるかもしれません。ただ、これは前走天皇賞・春と同じように、平均的に緩みのないラップを刻んだ場合でこそのタイム。当然シルポートが逃げますが、2番手を走る馬も道中緩めずに追走するのが条件になるでしょう。

2番手で走る馬は、実質ハナに立つような形になる公算が高いわけで、フェノーメノ自身がそんな位置取りをするのは大変勇気がいること。トーセンラーの藤原調教師の言葉通りならスンナリ流れそうですが、武豊騎手がそんな戦法を取るとは少々考えずらいところもあるような気がします。序盤は2番手以降が少し遅く入り、想定タイムより遅い決着となるような流れになるんじゃないかと予想しています。

昨年は2F目から中間点まで、1F12秒台半ばで走る馬はいませんでしたが、今年はもう少し遅いラップを刻む馬が出てくるシーンがあるように思います。そうなるとゴールドシップには有利に働く流れとなりそうです。そして後半は5Fないしは6Fのロングスパート勝負。もし残り4Fまでの区間でグッとペースが緩むとジェンティルドンナには向く形となるでしょうが、有力馬の始動はもっと早くなるように思います。前半は緩いものの先に動いた者がラスト1Fで苦しくなるような展開を想定しています。

フェノーメノも前走の内容通りに古馬になってからパワーアップしていますし、ジェンティルドンナの直前追い切りも素晴らしい動きでしたから、こちらもパワーアップしていると感じます。しかし、私の気持ち的にはゴールドシップの復権という形となるのが一番しっくり来るというか、そうなるためにはどんな流れのレースとなるのかを考えてみました。内田博幸騎手が勝負処で我慢を重ねて直線一気に差し切る展開です。そして各馬効率の悪いラップを刻む中、淡々とタイムトライアル的な走りをするシルポートが3着に粘ってくれないかなあと・・・。

今回はこのあたりで。

2013 宝塚記念 回顧 その1

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取り急ぎ全頭個別ラップを書いておきます。レース感想については明日にでも。

着順馬番馬名タイム20040060080010001200前6F14001600180020002200後5F2100Goal
1着10ゴールドシップ2:13.213.211.412.412.512.312.274.012.311.711.411.512.359.25.86.5
2着4ダノンバラード2:13.813.011.511.912.412.312.473.512.411.711.511.812.960.36.16.8
3着11ジェンティルドンナ2:13.813.011.512.412.412.412.374.012.211.711.511.812.659.86.06.6
4着3フェノーメノ2:13.913.511.412.212.612.412.274.312.211.611.411.712.759.66.06.7
5着6トーセンラー2:14.213.211.612.312.512.412.374.312.211.611.711.712.759.96.06.7
6着8ナカヤマナイト2:14.413.211.612.512.612.612.174.612.111.711.611.812.659.86.06.6
7着9ローゼンケーニッヒ2:14.514.111.512.112.712.612.275.211.911.611.511.812.559.36.06.5
8着7スマートギア2:14.813.711.512.212.812.512.174.812.111.911.711.712.660.06.06.6
9着2タニノエポレット2:15.413.811.412.212.712.512.274.812.011.911.911.912.960.66.16.8
10着5シルポート2:15.412.711.111.311.611.812.070.512.312.412.913.114.264.96.77.5
11着1ヒットザターゲット2:15.613.711.512.112.612.412.374.612.111.811.812.113.261.06.27.0


Mahmoud計測RL2:13.212.711.111.311.611.812.070.512.312.412.912.812.362.7



公式RL2:13.212.711.011.011.911.912.070.512.312.412.712.712.662.7

2013 宝塚記念 回顧 その2

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それでは今年の宝塚記念の感想をちょっと書いてみます。前エントリーに書いた全頭個別ラップをこちらにも記しておきます。

着順馬番馬名タイム20040060080010001200前6F14001600180020002200後5F2100Goal
1着10ゴールドシップ2:13.213.211.412.412.512.312.274.012.311.711.411.512.359.25.86.5
2着4ダノンバラード2:13.813.011.511.912.412.312.473.512.411.711.511.812.960.36.16.8
3着11ジェンティルドンナ2:13.813.011.512.412.412.412.374.012.211.711.511.812.659.86.06.6
4着3フェノーメノ2:13.913.511.412.212.612.412.274.312.211.611.411.712.759.66.06.7
5着6トーセンラー2:14.213.211.612.312.512.412.374.312.211.611.711.712.759.96.06.7
6着8ナカヤマナイト2:14.413.211.612.512.612.612.174.612.111.711.611.812.659.86.06.6
7着9ローゼンケーニッヒ2:14.514.111.512.112.712.612.275.211.911.611.511.812.559.36.06.5
8着7スマートギア2:14.813.711.512.212.812.512.174.812.111.911.711.712.660.06.06.6
9着2タニノエポレット2:15.413.811.412.212.712.512.274.812.011.911.911.912.960.66.16.8
10着5シルポート2:15.412.711.111.311.611.812.070.512.312.412.913.114.264.96.77.5
11着1ヒットザターゲット2:15.613.711.512.112.612.412.374.612.111.811.812.113.261.06.27.0


Mahmoud計測RL2:13.212.711.111.311.611.812.070.512.312.412.912.812.362.7



公式RL2:13.212.711.011.011.911.912.070.512.312.412.712.712.662.7



毎度の恒例行事的なシルポートの逃げ。2番手との差は前半3F地点で既に1秒以上、前半4F地点ではもう2秒以上の差となりました。残り4F地点ではMAXの3.1秒差。この差がその後の550mほどでゼロになりました。まあネタとして見る分にはいいと思いますが、全くレースの体をなしていませんね。酒井騎手の体内時計のブッ壊れぶりは相変わらずといったところ。

前半5F58.5というのは、今開催の開幕週なら悪くはないラップですが、この宝塚記念時の馬場的には相当速いモノになります。でも馬場発表は良。まあ私は馬場差がどうなのか注視する関係上、馬場状態の発表はあまり気にしないのですが、この馬場が良というのは違和感ありありなんじゃないかと思います。未だに旧態依然とした4段階の馬場状態の定義。この定義を頑なに変えようとしないJRAの意図は何なのでしょうか。

言葉の表現で通したいのならフランスのように8段階くらいにするとか、データ的に表現するなら含水率と硬度の値を発表すべきでしょう。この問題は競馬ファンのみならずレースに出走させる競馬関係者に対しても失礼極まりないことだと思います。

さて、最も注目された2番手、言い換えれば実質的にハナを切ったのはダノンバラードでした。ペース的にはスローの範疇でしょうが、過度にペースを落とすことなくスムーズな流れ。そのためか残り4Fまでペースは上がりませんでした。要は捲ろうとする馬を誘発しない流れとも言うべきでしょうか。実際、2着に粘ったように非常に良い「逃げ」を打ったと思います。

勝負のポイントは3コーナーに入ってからの残り4Fから。有力馬はそれまでペースを全く上げずに余力を溜め込んでいましたから、スピードの上げ幅が一気に大きくなった感があります。まず最初に動きを見せたのはゴールドシップ。これは毎度おなじみのスパートの前段階ですね。それに即座に呼応したのがゴールドシップの後方に位置していたフェノーメノ。勝負処ですからある意味当然ではありますが、残り3F辺りから各馬全開のスパートとなった要因は、このフェノーメノが一気に捲ろうとするかのような動きによるモノだったかと思います。コーナー区間であるにもかかわらず残り3~2Fで各馬軒並み最速ラップをマークするという、かなりシビアな4Fのスパート勝負となりました。全体的に見ればスローの上がり勝負ですが、その中味は十分ハードなモノと言えるでしょう。

4着のフェノーメノ。スタートで後手を踏んだ後は少しずつ外に持ち出していきました。まるで内枠の利を廃棄するかのような進路取り。鞍上はフェノーメノにとってよほど馬場状態が悪いと感じたのでしょうか。唯1頭の動きでしたから余計目立った上、目下の標的となるジェンティルドンナとゴールドシップが自発的に好位置を取りにいったこともあり、このシーンは不可解なモノと感じました。また、細かな部分になりますがライバル2頭との比較では1~2コーナーの走りのスムーズさを欠く内容。レースの前半部分で勝機を逸したとも言えるように感じました。

前走天皇賞・春では素晴らしい騎乗ぶりを見せてくれましたが、フェノーメノの前にいる馬達のペースに助けられた面もあるのかなあと少々思うところもありました。要は運が向いてフェノーメノの良さを引き出したとも言える結果だったのかなと。で、今回のレースでは鞍上自らフェノーメノの良さを打ち消すかのようなレースぶり。まあゴールドシップとフェノーメノはここ2走で交互にヘタを打ったと単純に言って良いかもしれませんが・・・。

前述の捲ろうとしたところについては、G1らしく厳しいレースとなった立役者ですから評価したい部分もあります。しかし、それまでの後手後手に回ったレースぶりのダメージをさらに増加させるような行動とも感じるわけで・・・。もう20年ほど、彼のこんな騎乗を何度も見てきましたから今更言ってもしょうがないんですが・・・。もうお読みになった方々は感じていらっしゃるでしょうが、ええ、今回は馬券的私怨たっぷりで書いています。3着を取れないとは蛯名のバカヤロー!

3着のジェンティルドンナは4Fのスパート勝負でもギリギリ対応できるかと思いましたが、コーナー部分で最も速くなる展開はツラかったようです。秋華賞の苦戦ぶりもそうでしたがストライドロスに泣いた形かと思います。まあ馬には全く非がないことなのでジェンティルドンナに対しては失礼な物言いになりますが、今回は「HOWEVER」を見なくて済んだのは幸いだったかと。

圧勝と言えるレースを見せてくれたゴールドシップについては何も言うことがありません。誰もが見た通りの、「やっぱり強いな」という感想に他ありません。この馬らしい素晴らしい走りだったと思います。

このレース結果を受けて現時点では登録のない凱旋門賞のオッズに名を連ねていますね。是非出て欲しいというファンの声は大きいと思います。勿論私にもロンシャンの舞台で大仕事をやってくれそうな期待感が十分あります。しかし、もし海外参戦するのなら日本馬にとって難攻不落のアスコットの舞台を選んで欲しいとも思っています。来年のキングジョージを目標にするのはいかがでしょうか?

今回はこのあたりで。

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ロードカナロア VS サクラバクシンオー、タイキシャトル 1/2

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ロードカナロアは昨年の香港スプリントを勝ったことにより、スプリンターとしてサクラバクシンオーと比較される地位まで登り詰めましたが、先日の安田記念を勝ったことで、とうとうタイキシャトルと比較されるまでになりました。マイルG1をも制覇したロードカナロアは、これで歴史に名を残す偉大な名馬という存在になったと言っていいでしょう。というわけでロードカナロア対サクラバクシンオー、およびタイキシャトルについてちょっと考えてみたいと思います。要はそれぞれの走りのレベル差はどんなモノかという、いわゆる最強馬論争に関する話となります。まあ、この手の話は結論が出るわけではありませんが・・・。

マイル戦での走りにおいては、この3頭ではサクラバクシンオーが1枚落ちるイメージを持っている方がほとんどかと思います。したがって各々の1200m戦スプリンターズSを比較してみましょう。1200m戦ですから走破タイムの違いでパフォーマンスレベルを比べるのが妥当なところですが、馬場差をどう捉えるか、これが最も大きな問題であり、各人の考え方には相違があると思われます。まずは3頭の走破タイムを再確認しておきましょう。

1994年12月 : 1.07.1 ( 32.7 - 34.4 ) ・・・ サクラバクシンオー57kg

1997年12月 : 1.07.8 ( 32.9 - 34.9 ) ・・・ タイキシャトル55kg

2012年09月 : 1.06.7 ( 33.3 - 33.4 ) ・・・ ロードカナロア57kg

1999年までのスプリンターズSは冬開催の3週目、それ以後は秋開催の4週目となっています。

では、1986年以降の中山競馬場芝1200、1600、2000mの走破タイムの変遷を見て行きましょう。表の値は良馬場、3歳(4歳)以上1000万下(2001年4月までは900万下)での1~3位入線馬の平均走破タイムとなります。また、『上がり3F比率』は、スタートから残り3Fまでの1F平均ラップを、上がり3Fの1F平均ラップで割った値です。値が1以上なら、上がり3Fの方が速く走ったということになります。スロー度合いを比較する上で付け加えてみました。

中山芝1200m良中山芝1600m良中山芝2000m良
R数平均走破タイム平均上がり3F上がり3F比率R数平均走破タイム平均上がり3F上がり3F比率R数平均走破タイム平均上がり3F上がり3F比率
198641:09.8335.55 0.964 41:35.2436.52 0.965 82:02.8836.60 1.010
198741:09.3335.70 0.942 51:35.5635.95 0.995 42:02.4536.11 1.025
198831:09.4135.41 0.960 21:35.2836.13 0.982 22:02.1236.37 1.011
198931:09.4735.44 0.960 81:35.3536.36 0.973 52:02.1236.30 1.013
199021:08.8235.10 0.961 71:35.4036.17 0.983 52:02.2935.95 1.029
199131:09.2235.31 0.960 51:34.9035.96 0.983 32:00.9435.63 1.026
199231:09.7635.52 0.964 61:35.0235.97 0.985 32:01.8635.79 1.031
199341:09.5835.58 0.956 51:35.5435.82 1.000 72:02.3535.91 1.032
199431:09.5135.58 0.954 51:34.9535.74 0.994 42:01.3835.98 1.017
199531:09.3035.43 0.956 31:34.8236.40 0.963 42:01.3936.23 1.008
199641:10.0735.68 0.964 61:35.7636.21 0.987 62:02.4236.66 1.003
199731:09.5735.39 0.966 61:35.6836.24 0.984 22:03.9036.23 1.037
199831:09.7235.36 0.972 61:35.6235.94 0.996 32:02.1736.97 0.988
199951:09.7135.60 0.958 61:34.6935.98 0.979 42:02.2236.06 1.024
200071:09.3535.35 0.962 81:35.2335.57 1.006 72:03.5036.08 1.039
200161:08.3134.73 0.967 71:34.5435.89 0.980 42:01.3036.61 0.991
200271:08.4334.60 0.978 81:33.8035.16 1.001 52:00.1635.31 1.030
200361:08.7634.98 0.966 81:34.3335.38 1.000 72:01.5636.01 1.018
200481:08.1334.36 0.983 71:33.8434.73 1.021 42:00.4034.91 1.050
200571:08.4834.26 0.999 101:34.4334.62 1.037 42:01.2935.20 1.048
200681:08.5734.57 0.984 91:34.7734.96 1.027 42:01.9835.08 1.062
200761:08.7334.34 1.001 81:34.6535.05 1.020 32:01.7335.33 1.048
200881:08.7834.65 0.985 101:34.8335.29 1.012 52:02.2935.32 1.055
200961:08.4134.22 0.999 81:34.8035.17 1.017 22:01.9835.42 1.048
201071:08.5034.40 0.991 101:34.2234.88 1.021 42:00.6335.63 1.023
201151:08.4934.37 0.992 81:34.2734.76 1.027 42:00.6735.24 1.039
201251:08.4034.17 1.002 51:33.6634.57 1.026 32:00.2235.29 1.031
201351:08.5534.35 0.996 31:35.2134.69 1.047 32:00.6035.18 1.041

1600、2000mだと少々わかりにくいかもしれませんが、1200mなら一目瞭然。2001年から一気に速くなっています。細かく言えばその2001年も速くなったのは秋開催から。次の2レースはともに1分7秒台前半の決着。

http://db.netkeiba.com/race/200106040110/

http://db.netkeiba.com/race/200106040810/

ちなみに2000年までの最速レースはこちら。

http://db.netkeiba.com/race/199006040110/

表中の計138レース中36番目のタイムです。上記の2レースとは1秒近くも差があります。同じ秋開催でもこれほど差が付いているのです。というわけで2001年の春・秋開催の境目を区切りにするとこのような値となります。

1986年~2001年春(計56R)
1:09.52 - 35.47 - 0.960

2001年秋~2013年(計82R)
1:08.49 - 34.46 - 0.988

走破タイムと上がり3Fはともに約1秒速くなっています。そしてもう一つ大事なことは、前半3Fはほとんど変わっていないという点。実質的に走破タイムが1秒以上速くなる馬場に変貌を遂げたと表現しても問題ないかと思います。この中山競馬場の芝コースに関しては、一気に変化した明らかな線引きがあるものとして話を進めて行きましょう。

参考までにダート戦のデータも貼っておきましょう。抽出条件は芝と同様です。

中山ダート1200m良中山ダート1800m良
R数平均走破タイム平均上がり3F上がり3F比率R数平均走破タイム平均上がり3F上がり3F比率
198661:11.9137.48 0.918 131:53.7238.82 0.965
198751:11.5837.23 0.922 161:53.0038.55 0.966
198841:11.9137.48 0.919 91:54.0239.09 0.959
198971:12.3937.68 0.921 121:53.5138.73 0.966
1990101:12.3637.66 0.921 101:53.9738.87 0.966
199191:12.0337.42 0.925 151:53.7038.67 0.970
199291:12.4637.71 0.922 111:54.1539.25 0.954
1993101:12.1237.41 0.928 111:53.9638.72 0.972
1994111:12.4237.64 0.924 111:54.1738.79 0.972
1995101:12.2538.01 0.901 101:54.9439.47 0.956
1996111:12.3337.80 0.914 71:54.7039.00 0.971
1997111:12.0837.50 0.922 141:54.6439.15 0.964
199891:11.8637.40 0.921 91:53.6338.66 0.970
1999141:11.7337.22 0.927 151:53.6438.40 0.980
2000141:11.7537.24 0.926 161:53.8638.38 0.983
2001151:11.5537.08 0.930 131:53.5338.11 0.989
2002171:12.1037.41 0.927 161:54.5238.63 0.982
2003141:12.2237.64 0.919 181:54.8939.08 0.970
2004171:12.2737.56 0.924 161:54.9838.81 0.981
2005161:12.0037.25 0.933 151:54.5838.76 0.978
2006111:11.9937.24 0.933 101:54.5438.73 0.979
2007111:11.8537.49 0.916 131:54.3538.78 0.974
2008111:11.5837.22 0.923 121:54.1838.50 0.983
2009111:11.6037.00 0.935 101:54.1038.18 0.994
201091:11.6337.10 0.931 131:54.2338.44 0.986
2011101:11.2836.73 0.941 121:53.5637.78 1.003
201281:11.7037.04 0.936 51:54.7838.38 0.995
201371:11.9836.95 0.948 51:54.4937.93 1.009

発表されている砂圧の違いはありますが、この28年間そう大きな変化は感じられません。まあ強いて言うなら近年上がり3F比率が高くなりつつあるのは確かでしょう。末脚重視、あるいは前半ペースを上げない傾向は芝戦同様と言えます。

それでは個々の年について見て行きましょう。まずはサクラバクシンオーの1994年。この年の秋開催はなかなかの高速馬場でした。京王杯オータムハンデはレコード決着。

http://db.netkeiba.com/race/199406040211/


この日は中山競馬場に出向いておりました。ホッカイセレスが最後差されてガックリしたのを覚えています。そして冬開催開幕週もまずまず速い馬場。

http://db.netkeiba.com/race/199406050111/

初芝のホクトフィーバスが圧勝したレースです。その後のホクトフィーバスの走りを覚えている方なら、準オープン戦とはいえこのレースのレベルの高さは想像付くことだろうと思います。ちなみにこのレース3着のアルファルドは当時の追い込みスプリンターとして有名な存在。確か西田式スピード指数における上がり指数のモデルになった馬だったかと記憶しています。

この開催は2週目まで何とか高速状態といった風情でしたが、スプリンターズSが行われる3週目は少し高速度が落ちたと思います。また、秋開催と冬開催の馬場差を考える上での物差し馬として格好の存在がナカミアンデス。次の2レースを比較してみてください。

http://db.netkeiba.com/race/199406040111/

http://db.netkeiba.com/race/199406050511/

前半のペースの違いによる影響がありますが、それを差し引いても秋開催でレコード勝ちした時より時計が掛かっているのは確かだと思います。そんな中でサクラバクシンオーが叩き出した1:07.1というタイム。前日900万下の勝ちタイムが1:09.0ですから、とんでもなく速いモノだというのは誰もがわかる話ではないでしょうか。

昨年のスプリンターズS前日、2歳未勝利戦の勝ちタイムが1:08.5、当日の1000万下の勝ちタイムが1:07.6。1994年と2012年のスプリンターズSでは、1200mでの馬場差は少なくとも1秒あったと考えるのが妥当かと思います。あくまでも走破タイム面に限定して言えば、サクラバクシンオーとロードカナロアとの間には、それ相当の大きな差があると考えるべきでしょう。

次にタイキシャトルが勝った1997年を見て行きましょう。この年の秋開催は開幕週のみそこそこ速いだけで、かなりタフな馬場コンディションだったかと思います。1週毎徐々に時計が掛かっていくという、いかにもオールドスタイル的な馬場でした。

http://db.netkeiba.com/race/199706040210/


http://db.netkeiba.com/race/199706040312/

冬開催も同様で有馬記念の走破タイム、ラップを見ればどんな状況だったか良くわかるかと思います。スプリンターズS前日の900万下の勝ちタイムが1:09.7でしたから、初の芝1200m戦ながらもタイキシャトルが1分8秒を切ってくるとは少々ビックリしたのを覚えています。サクラバクシンオーの1994年より力の要る馬場だったのは間違いのないところでしょう。


※文字数の関係でエントリーを分けることになりました。続きはコチラ。

ロードカナロア VS サクラバクシンオー、タイキシャトル 2/2
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11565606600.html

ロードカナロア VS サクラバクシンオー、タイキシャトル 2/2

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※こちらは続きのエントリーとなります。前エントリーをまだご覧になっていない方は下記リンクを先にお読みください。

ロードカナロア VS サクラバクシンオー、タイキシャトル 1/2
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11565057354.html

では、この3頭のスプリンターズS制覇時の個別レースラップを書いておきましょう。

11.9 - 10.2 - 10.6 - 11.3 - 11.5 - 11.6 [ 5.7 - 5.9 ] ・・・ サクラバクシンオー

12.1 - 10.1 - 10.7 - 11.4 - 11.6 - 11.9 [ 5.9 - 6.0 ] ・・・ タイキシャトル

12.3 - 10.3 - 10.8 - 11.2 - 10.9 - 11.2 [ 5.5 - 5.7 ] ・・・ ロードカナロア

脚質の違いがラップの刻み方にモロに出ています。これだけを見てもサクラバクシンオーとタイキシャトルはスプリンター、ロードカナロアは非スプリンターと言える部分があるかと思います。昨今の日本のスプリント界のレベルが落ちているのは、私なりの表現ならば1200m戦でのスタミナが要求されないレースを繰り返しているから、ということになります。

サクラバクシンオーはテンで少し押して追走していたものの、ハイスピードでの巡航能力が極めて高いです。そういった能力はおそらく日本競馬史上ナンバーワンだと思います。この引退レースでは競走馬として完成し切った姿となっていましたから、追われてからもガツンと反応していました。この時のサクラバクシンオーの影を踏める可能性を持つ馬はたった1頭だけかと思います。

タイキシャトルは私のスピード指数上だと、芝1200mだろうが芝1600mだろうがダート1600mであっても、ほぼ同レベルの高指数を叩き出すオールマイティさが良くわかる馬でした。そのタイキシャトルが勝った1997年のレースでは、逃げたエーシンバーリンの前半3Fが32.6。馬場差を考慮すれば、第1回のダイワダグラス、第2回のトモエリージェントと並んで史上最速のペースだったと言えるでしょう。ちなみに史上最速のペースを昨年のスプリンターズSに当て嵌めれば、前半3F31.8程度になるかと思われます。そんな猛ペースを楽々追走して持ったまま最後の直線に向いてきたタイキシャトルは、スプリンターとしての資質が相当高かったと私は思うのです。世間一般の見方よりも、実はスプリント色が濃い馬だったのではないかと見ています。つまり、前述の「たった1頭」はこのタイキシャトルだと思っています。

福永祐一騎手が乗っていた頃のロードカナロアは、そのレースぶりからしてマイル戦あるいはそれ以上の距離を意識されているものだと感じていました。ところが陣営には一向に距離延長の素振りが見られません。昨年の高松宮記念、函館SSと結果が出せず、岩田騎手に乗り替わってスタートから出していくようになると、ようやくスプリント戦に沿った走りができるようになり、香港スプリントを完勝できる姿にまでなりました。ただ、現在の香港スプリント界も、一時期に比べるとレベルはかなり落ちています。したがってスプリント能力が優れているからではなく、端的に競走馬の資質が明らかに格上の存在だからこそ、現在のロードカナロアがあるという捉え方を私はしています。

もし、ロードカナロアがサクラバクシンオーやタイキシャトルと1200m戦を戦ったのなら、今の経験値上からは苦戦必至だと思います。しかし一度戦えば2戦目は差をグッと縮めてくる可能性はかなり大きいでしょう。また、私の判定上では先日の安田記念の走りが自身の最高パフォーマンスだったと見ていますので、再度マイル戦に使えば、あるいは2000m戦でも、もうワンランク上の走りができる可能性も十分あるかと思っています。1200m戦では分が悪くとも、それ以上の距離でタイキシャトルに肩を並べる日はそう遠くないかもしれません。


さて、ここまで書いてきた内容は明確な馬場差があると考えての物ですが、これはここ20数年間、1000万下(900万下)のレベルが変わらないと仮定した上での話になります。海外G1で日本馬が好走するのがもはや当たり前となった今、日本馬がレベルアップしたという声はたくさん聞かれますね。そのレベルアップしたという根拠で良く目にするのは次の2点かと思います。

・血統レベルの向上

・調教技術の進歩

前エントリーの芝の平均走破タイム表での、私が線引きした2001年春開催までの該当馬は延べ631頭。その内訳は種牡馬総数が274頭でトップ3はノーザンテーストおよびサンデーサイレンスの20頭、トウショウボーイ16頭でした。2001年秋開催以降の該当馬は延べ692頭。その内訳は種牡馬総数が199頭でトップ3はサンデーサイレンス58頭、サクラバクシンオー26頭、フジキセキおよびキングカメハメハの23頭でした。

2001年秋開催以降は種牡馬の偏りが顕著と言えますね。「サンデーサイレンスが日本競馬をレベルアップさせた」とよく言われますが、確かにサンデーサイレンス産駒およびその2世種牡馬の占める割合が増えてはいます。しかし、じゃあサクラバクシンオーもそうなんじゃない?という面もあるわけです。もうちょっと突っ込めばサクラバクシンオーの血統表に存在するテスコボーイ、ノーザンテーストは?とも言えるわけです。平均走破タイムを押し上げた要因を血統面に多く求めるのは筋違いだろうと私は思うのです。

次は調教技術の進歩についてですが、時々聞かれる話として、昔活躍した名馬を今の調教技術で育てたのなら、現在の馬と遜色ないくらいに戦えるだろうという意見。昔というのがどの時代を指すかにもよりますし、私自身何かしらの論拠を持って言えるわけではありませんが、いくらなんでもそんな話はあり得ないでしょう。昔の馬が全て潜在能力をフルに開花できなかったことなんかないんです。まあ、調教技術の進歩によって昔なら育成できない何かしらの要因を抱えた馬が、現代だからこそモノになるケースは確かにあると思いますが、トップレベルの馬達も含め、全馬の能力の底上げができるということは、即ち競馬の歴史を否定するような考えだと私には思えてなりません。いつの時代であろうが、その時代で強かった馬というのは持てる力を最大限に発揮したからこそ、強かったのです。

ですから、走破タイムが速くなった最大の要因は、馬場に尽きるとしか言いようがないと思うんです。例えば人間の陸上競技の場合、確実に記録の進歩が見られるのはトラック種目が主だなあという印象を持ちます。1歩1歩トラックやシューズの技術革新の恩恵を受けられる側面があるわけで、その恩恵のほとんどを踏み切り時にしか受けられない跳躍競技は記録の進歩が少ないと感じるわけです。人も馬も、20年や30年くらいのスパンでは、明らかに違いが分かるほど進化することなど、ないんじゃないでしょうか。


というわけでズラズラと書いてきました。異論、反論はいろいろあろうかと思います。このエントリーに関しては逐一レスを付けませんが、「私はこう思う」というコメントを書いて頂ければ幸いです。

今回はこのあたりで。

世代別出世率

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前回のエントリーではいろいろ多くのご意見を頂き感謝しております。その書いて頂いたコメントに関連する事や、前回書き切れなかった部分について少々述べたいと思います。

種牡馬目線で考えると、その産駒の99%以上は自身の「劣化コピー」という形になりますね。数年に1頭、数百分の一の確率で同等レベルの産駒が誕生するのが関の山だと思うんです。コメントを頂いた中に「品種改良」という、こういった議論をする上での格好のキーワードがありましたが、最強馬論争的な意味において「進化」という現象はまず起こり得ないだろうと私は考えています。

相対的なレベルの比較では、前述の「劣化コピー」の劣化度がポイントになってくるでしょう。種牡馬によってブレが非常に大きいのが現実ですが、サンデーサイレンスという種牡馬が評価される所以は、その劣化度の少ない産駒が多かったからだと言っていいかと思います。まあ、それが即ち競走馬のレベルアップとイコールだと端的に考えていいのだろうかとも・・・。

次に調教技術の進歩についてですが、コメントを頂いたように東西格差が逆転したのは、まさにそれが理由なのは間違いのないところでしょう。感覚的な物言いに過ぎませんが、西が強くなった時点ではおそらく東西の馬質の違いの変化はなかったように思われます。要は馬の潜在能力を限りなく100%近く引き出せるケースが増えたのだと思います。

スピード指数を計算する上でのクラス格差は、500万下→1000万下→1600万下の間にはマイルで0.5~0.6秒くらいあります。つまり1Fないしは2Fで0.1秒速く走れるくらいに、調教技術が上がったと考えていいかもしれません。


今回、競走馬がレベルアップしたか否かに関して、少々参考になると思い世代別出世率(2013/07/08現在)というデータを作ってみました。対象馬は1984~2010年産のサラブレッド(サラ系含む)、500万下(旧400万下)、1000万下(旧900万下)、1600万下(旧1400万下、1500万下)、そしてオープンにおけるクラス別頭数を生産頭数で割ってみました。まずはご覧ください。

生年総計生産数○外500万下1000万下1600万下オープン小計占有率主な活躍馬
頭数占有率○外○地□地頭数占有率○外○地□地頭数占有率○外○地□地頭数占有率○外○地□地
198477037694985011.03%23203114.04%04701321.71%0242821.06%1110137517.85%タマモクロス
198576387629987711.48%33603033.97%04101592.08%1260901.18%051142918.71%オグリキャップ
1986767376492489611.68%82402843.70%25011521.98%2120921.20%030142418.56%オサイチジョージ
1987782277655793511.95%172102523.22%23011592.03%2222951.21%321144118.42%メジロマックイーン
1988838183117093611.17%192322893.45%03711491.78%8811211.44%382149517.84%トウカイテイオー
1989883387518293810.62%231612803.17%42921481.68%10731111.26%763147716.72%ミホノブルボン
1990940893198996210.23%251802853.03%122401521.62%8911081.15%963150716.02%ビワハヤヒデ
199110205100541519319.12%441603093.03%162701761.72%101201081.06%1763152414.93%ナリタブライアン
199210620104072139448.89%651113182.99%281711761.66%2191990.93%1136153714.47%マヤノトップガン
199310497101883099719.25%1051742992.85%501331881.79%231041141.09%3024157214.98%エアグルーヴ
19941037299873859839.48%12619143313.19%481611641.58%38521111.07%3219158915.32%サイレンススズカ
199596369212424102110.60%12029273743.88%691541561.62%31851211.26%2814167217.35%グラスワンダー
199694139045368104211.07%12221444024.27%582261381.47%21741031.09%2415168517.90%テイエムオペラオー
199789638668295105311.75%9154463794.23%552251271.42%15661331.48%2666169218.88%アグネスデジタル
199887968493303111812.71%128146583964.50%394051081.23%19721221.39%1676174419.83%クロフネ
199988148527287114613.00%98222363754.25%424331121.27%221031411.60%17100177420.13%シンボリクリスエス
200088908624266118013.27%106230253594.04%394121171.32%131121201.35%1957177619.98%ゼンノロブロイ
200190688807261113112.47%90252283704.08%334811541.70%141531351.49%2069179019.74%キングカメハメハ
200289808747233105911.79%83209263914.35%335231751.95%131801531.70%1155177819.80%ディープインパクト
200387858555230105211.97%71213223914.45%295431862.12%241511311.49%1043176020.03%アドマイヤムーン
200485248261263103912.19%8823763844.50%416531892.22%151411722.02%2084178420.93%ウオッカ
200581997981218106512.99%6324263944.81%297101982.41%181801682.05%14102182522.26%スマートファルコン
200678307669161103213.18%3822474085.21%214601922.45%141401501.92%1081178222.76%ブエナビスタ
200776517523128101213.23%3422163905.10%164911592.08%51201802.35%991174122.76%ヴィクトワールピサ
200875027370132110614.74%4222463504.67%154301602.13%6901241.65%420174023.19%オルフェーヴル
200975947464130132517.45%5717562082.74%9110700.92%220490.65%410165221.75%ゴールドシップ
20107255712013599413.70%32551702.34%740340.47%401560.77%500125417.28%キズナ
Total23505222982052322759811.74%1700293737690023.83%6979574640301.71%3593104431891.36%350136854381918.64%

「総計」は生産数と○外登録馬を合算した値になりますが、この「生産数」の中に○外登録馬が含まれているケースがあるかもしれません。詳しく数字を追えなかったのでご了承ください。仮に重複していても100頭には満たないはずだと思います。

また、各クラス別頭数には○外、○地、□地が含まれています。○地、□地に関しては本賞金がない馬は除外してあります。そして平地競走限定のクラスとなっていますので、1997年天皇賞・春に出走したポレールは、平地競走だと勝ったのは新馬戦のみですから、500万下に属する形となっています。

まあ、この表の数字を見てあれやこれやと言うのは、なかなか一筋縄ではいきませんね。例えばオープン出世率。1991~1993年産は1%前後しかないのに対し、2004年産以降は倍の2%前後になっています。その一方、生産頭数には大きな差があり、○地、□地を含めて未勝利を脱出した形となる割合も大きな差があります。地方と中央との差が開き始めた要因はこの辺りにあるかもしれません。

確かに言える内容としては2007年産のレベルが高い点。相対する前後の世代よりオープン出世率が高い上に、1600万下出世率は逆に低くなっています。

何かしらの推論が思い付いた方にはコメントを頂ければ幸いです。

今回はこのあたりで。

種牡馬目線で競走馬のレベルの推移を考えてみる 1/2

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前回のエントリーで書いた世代別出世率は、3年前に書いたIK血統評価ランク別出世率を元に追加、修正した物だったのですが、今回は種牡馬目線での出世率を考えてみたいと思います。

TARGETで種牡馬別の各クラス出世率を調べることができますが、例えば準オープンが1400万下、1500万下の時代のオープン馬で、収得賞金が1600万以下ならば準オープン馬の扱いになってしまうようなので、その辺りを調整した種牡馬別オープン出世率をまず見てみましょう。オープン馬を3頭以上輩出している種牡馬が対象で、産駒は前回と同様、1984~2010年産馬となります。データは2013/07/08時点。日本で供用された種牡馬はカタカナ表記となっています。

種牡馬名OP馬登録数出世率種牡馬名OP馬登録数出世率種牡馬名OP馬登録数出世率
Nijinsky31030.00%ナイスダンサー113962.78%カジユン32431.23%
Victory Gallop31323.08%リアルシヤダイ2810102.77%ナグルスキー86541.22%
Broad Brush31520.00%ネオユニヴァース217652.75%アサティス97381.22%
Rubiano42020.00%デュランダル93292.74%ノーアテンシヨン86561.22%
Boundary42119.05%ノノアルコ62232.69%ブラックホーク54101.22%
エンパイアメーカー32015.00%ジャングルポケット217822.69%ノーザンデイクテイター86571.22%
Silver Deputy53414.71%ファルブラヴ83032.64%テリオス32471.21%
Mt. Livermore53613.89%ゴーマーチング31142.63%ノーザリー32601.15%
サンデーサイレンス206151413.61%タマモクロス218082.60%ロージズインメイ43521.14%
Cozzene118413.10%ミルジヨージ238902.58%ランズダーン32651.13%
Machiavellian53912.82%バゴ41562.56%リズム32681.12%
Green Desert43212.50%モガミ176692.54%ファンタスティックライト32681.12%
Seeking the Gold86612.12%ハードツービート72782.52%アーテイアス54481.12%
Mr. Prospector32611.54%ロックオブジブラルタル31202.50%スルーザドラゴン43591.11%
Crafty Prospector65510.91%クリスタルグリツターズ114492.45%ラシアンルーブル87191.11%
Danzig6629.68%タイキシャトル239432.44%トワイニング54501.11%
Diesis4439.30%ラストタイクーン104112.43%ステイールハート54501.11%
Storm Cat5549.26%ブレイヴエストローマン145782.42%サクラチトセオー65461.10%
デインヒル161739.25%ボストンハーバー104132.42%ノーリユート65491.09%
Caerleon141588.86%スペシャルウィーク2510332.42%ホリスキー98411.07%
Silver Hawk6688.82%ジェイドロバリー2811752.38%ジョリーズヘイロー65671.06%
Kingmambo91038.74%ホワイトマズル197982.38%スキャン1110551.04%
ウォーエンブレム91048.65%パーソナリテイ41682.38%ダンスホール32891.04%
ディープインパクト344238.04%インターグシケン31262.38%ラムタラ65791.04%
Wild Again4517.84%グラスワンダー219172.29%ダイナコスモス43861.04%
Giant's Causeway5647.81%タニノギムレット167192.23%サウスヴィグラス54841.03%
ヘネシー6787.69%アレミロード104532.21%スウェプトオーヴァーボード65831.03%
エンドスウィープ162097.66%ペンタイア62732.20%モーニングフローリツク43931.02%
Fusaichi Pegasus81117.21%コロナドズクエスト41842.17%タヤスツヨシ87901.01%
Capote3427.14%ヤマニンスキー125542.17%エブロス76951.01%
ノーザンテースト507186.96%シンボリルドルフ156982.15%エリシオ54971.01%
Rahy4586.90%マグニテユード115172.13%オジジアン54981.00%
エルコンドルパサー233396.78%ダイワメジャー62872.09%バブルガムフェロー109971.00%
Seattle Slew4596.78%キングヘイロー178312.05%ミホシンザン43991.00%
Nureyev3456.67%ストラヴィンスキー52452.04%サクラローレル66070.99%
Deputy Minister3456.67%チーフベアハート115701.93%リードワンダー66120.98%
Red Ransom4616.56%スターオブコジーン115721.92%パラダイスクリーク77150.98%
キングカメハメハ527946.55%デイカードレム31571.91%ティンバーカントリー1111490.96%
Gulch4636.35%ニホンピロウイナー168391.91%パークリージエント1010470.96%
Devil's Bag3486.25%メジロライアン168421.90%シアトルダンサー233150.95%
Singspiel6966.25%アドマイヤマックス42161.85%ミシル33300.91%
トニービン549285.82%テンビー73801.84%シービークロス33310.91%
フアバージ5875.75%ダンサーズイメージ73811.84%パーフライト33310.91%
ロイヤルアカデミー261055.71%マヤノトップガン189941.81%サクラチヨノオー44450.90%
Gone West4705.71%マルゼンスキー137441.75%サンシー33370.89%
ダンシングブレーヴ152635.70%コマンダーインチーフ2011451.75%ディアブロ33370.89%
ブライアンズタイム8014325.59%ロイヤルニジンスキー31721.74%コインドシルバー44510.89%
Unbridled's Song3575.26%アグネスデジタル95211.73%サンシヤインボーイ44510.89%
A.P. Indy3575.26%ターゴワイス63491.72%キャロルハウス33410.88%
Sadler's Wells3614.92%イルドブルボン52931.71%ブラックタイアフェアー33410.88%
ハーツクライ132684.85%デヒア52981.68%リンドシェーバー89130.88%
アドマイヤベガ214364.82%ホスピタリテイ84791.67%ラグビーボール33490.86%
フォーティナイナー306234.82%バンブーアトラス127331.64%マイネルラヴ66990.86%
トウシヨウボーイ255334.69%ロドリゴデトリアーノ106141.63%ハイセイコー33590.84%
Miswaki3684.41%プルラリズム84931.62%ウインザーノツト33610.83%
クロフネ429574.39%メイショウオウドウ31851.62%スリルシヨー56100.82%
フレンチデピュティ347924.29%トウシヨウペガサス31861.61%ロイヤルスキー56120.82%
Woodman71644.27%メジロテイターン42511.59%グリーングラス33680.82%
サウスアトランテイツク102474.05%アドマイヤコジーン63771.59%クリスタルパレス33730.80%
ステイゴールド276744.01%トウカイテイオー138251.58%ミスターシービー56510.77%
フジキセキ7017514.00%ノーザンアンサー42541.57%タイテエム33950.76%
リヴリア82023.96%ヘクタープロテクター149111.54%シャーディー33950.76%
アグネスタキオン4611633.96%キンググローリアス149171.53%ニューイングランド34010.75%
アフリート4210793.89%マーベラスサンデー138561.52%アジュディケーティング1013390.75%
サクラユタカオー225733.84%マークオブディスティンクション31991.51%サクラシンゲキ45440.74%
ゼンノロブロイ153973.78%ワツスルタツチ74671.50%プリサイスエンド34150.72%
マンハッタンカフェ349013.77%パドスール53351.49%トレボロ34160.72%
Theatrical41133.54%サツカーボーイ1610781.48%サクラトウコウ34210.71%
パーソロン41143.51%サクラプレジデント53391.47%メンデス34230.71%
デイクタス92663.38%テイエムオペラオー42741.46%ダイナガリバー57210.69%
シンボリクリスエス298643.36%ヒツタイトグローリー32081.44%フオテイテン45780.69%
サクラバクシンオー4714563.23%ドクターデヴィアス42781.44%ワカオライデン45940.67%
ゴールドアリュール206203.23%エアジハード53491.43%ギヤロツプダイナ34540.66%
カリズマティック61903.16%タツプオンウツド42841.41%ジェニュイン46200.65%
ワイルドラッシュ134123.16%ラツキーソブリン85841.37%フサイチコンコルド69440.64%
ダンスインザダーク4715243.08%メジロマックイーン96641.36%マジックマイルズ34930.61%
シーホーク62042.94%ビゼンニシキ75171.35%スイフトスワロー35190.58%
サーペンフロ62082.88%ナリタトップロード32261.33%エイシンサンディ35280.57%
アンバーシヤダイ289752.87%アドマイヤムーン32281.32%カツラギエース35800.52%
ウォーニング82802.86%マイニング32301.30%シャンハイ37450.40%
タバスコキャット62142.80%アスワン118521.29%カコイーシーズ38630.35%
オペラハウス248602.79%タケシバオー32391.26%




「劣化コピー」というワードを前回のエントリーで使いましたが、後継種牡馬という観点から見ても「劣化コピー」という構図になっているのが感じ取れるのではないかと思います。○外を入れるのはちょっと反則気味で強引なやり方になりますが、表中の種牡馬の具体例を列記してみましょう。

・ノーザンテースト > アンバーシヤダイ > メジロライアン

・パーソロン > シンボリルドルフ > トウカイテイオー

・デイクタス > サツカーボーイ > ナリタトップロード

・Nijinsky > Caerleon > テンビー

・Nijinsky > マルゼンスキー > ホリスキー、サクラチヨノオー、サクラトウコウ

・Mr. Prospector > Crafty Prospector > アグネスデジタル

・Mr. Prospector > Kingmambo > エルコンドルパサー、キングカメハメハ

・Mr. Prospector > フォーティナイナー > コロナドズクエスト、トワイニング

・Mr. Prospector > Miswaki > ブラックタイアフェアー

・Mr. Prospector > Woodman > ヘクタープロテクター

・Danzig > デインヒル > ロックオブジブラルタル

・Sadler's Wells > オペラハウス > テイエムオペラオー


オープン出世率という視点においては、上記の父系3代は代を経るごとに成績が悪くなっています。父系2代なら更に多くの劣化具合が見て取れます。このように代々父系が繋がっていくのは大変難しいことですね。つまり、年々レベルが下がっていく方向性にある方が基本であり、サンデーサイレンスのような種牡馬は、そのレベルの低下を食い止める救世主的な存在とも言える側面があるんじゃないかというのが、種牡馬目線での私的な見方となります。

では個別の数字を見ていきましょう。○外のオープン出世率が高いのは当然ですが、現在日本で供用されているエンパイアメーカーの表中の値は○外時のモノとなります。したがって国内供用種牡馬ではサンデーサイレンスが断トツの存在。前述のようなレベルの低下を食い止めるという表現は妥当ではない数字でしょう。続くデインヒルは日本供用時代のみでも7.84%とまずまず。ウォーエンブレムはマトモならと思わせる値であり、サンデーサイレンス系種牡馬に立ちはだかる壁の存在になっていたかもしれません。また、父フォーティナイナー以上の成績を残していたエンドスウィープは日本での供用は3年のみでしたが、毎年チャンピオン級に近いG1ホースを輩出していただけに早逝は残念なところでしょう。

サンデーサイレンス2世種牡馬ではディープインパクトが抜けた存在。今後2010年世代がどんどんオープンに昇格していくでしょうから、出世率はもうちょっと上がってくるでしょう。父サンデーサイレンスの数字にどこまで迫っていけるか楽しみです。父の劣化コピーとは断じて言えないサンデーサイレンス産駒はサイレンススズカとディープインパクトの2頭だと私は思うのですが、サイレンススズカの分までディープインパクトには多くの優秀な仔を輩出してもらいたいものです。

古い時代ではノーザンテーストがやはり良い数字を残しています。現在ディープインパクトとリーディング争いを繰り広げているキングカメハメハは、このノーザンテーストに迫る数字を残していますが、ディープインパクトと同様に今後オープン昇格馬が増えていくでしょうから、ノーザンテーストと同等レベルになるのは時間の問題かもしれません。というわけで、ノーザンテーストとキングカメハメハをちょっと比べてみたいと思います。

近年の中では強い世代と思われる、キングカメハメハの供用2年目にあたる2007年世代と、ノーザンテーストの種牡馬現役時である1985年オグリキャップ世代は、国内生産数が7500~7700頭の間であり○外を含めれば似たような総数となります。この1985年と2007年の、種牡馬別血統登録頭数上位50位タイを見比べてみましょう。

ここからは文字数の関係で次エントリーとなります。

種牡馬目線で競走馬のレベルの推移を考えてみる 2/2
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11576292413.html
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