こちらは続きのエントリーとなります。
種牡馬目線で競走馬のレベルの推移を考えてみる 1/2
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11575912826.html
1985年 | 2007年 | ||||
種牡馬名 | 登録数 | OP馬 | 種牡馬名 | 登録数 | OP馬 |
ハードツービート | 68 | 2 | キングカメハメハ | 185 | 22 |
サンシー | 64 | 1 | フジキセキ | 163 | 7 |
ミルジヨージ | 64 | 4 | クロフネ | 160 | 14 |
モンテプリンス | 63 | 1 | ネオユニヴァース | 144 | 8 |
マルゼンスキー | 61 | 4 | ダンスインザダーク | 143 | 1 |
タイテエム | 60 | - | マンハッタンカフェ | 131 | 8 |
ダンサーズイメージ | 60 | 2 | スペシャルウィーク | 125 | 5 |
ノーザンテースト | 59 | 1 | キングヘイロー | 124 | 3 |
ホスピタリテイ | 57 | 1 | グラスワンダー | 123 | 5 |
イエローゴツド | 56 | - | シンボリクリスエス | 123 | 4 |
サーペンフロ | 56 | - | ゼンノロブロイ | 121 | 11 |
ダンシングキヤツプ | 56 | 1 | サクラバクシンオー | 119 | 8 |
ノーザンデイクテイター | 56 | 2 | アルカセット | 114 | - |
ブレイヴエストローマン | 56 | 1 | ロージズインメイ | 108 | 3 |
ノーアテンシヨン | 55 | 3 | タップダンスシチー | 107 | - |
ノーザリー | 55 | 1 | アグネスタキオン | 106 | 6 |
アローエクスプレス | 53 | - | スウェプトオーヴァーボード | 106 | 3 |
サクラシンゲキ | 53 | 2 | プリサイスエンド | 100 | - |
トウシヨウボーイ | 53 | 6 | オペラハウス | 99 | 1 |
サンシヤインボーイ | 52 | 2 | マーベラスサンデー | 98 | 1 |
ノノアルコ | 52 | 2 | ストラヴィンスキー | 95 | 1 |
ブライトフイニツシユ | 52 | - | デュランダル | 95 | 7 |
モーニングフローリツク | 52 | 1 | ジャングルポケット | 94 | 2 |
デイクタス | 51 | 3 | フサイチコンコルド | 88 | 1 |
トウシヨウルチエー | 51 | 1 | アグネスデジタル | 85 | 2 |
マンオブビイジヨン | 51 | - | タイキシャトル | 85 | - |
ラツキーソブリン | 51 | - | フレンチデピュティ | 85 | 6 |
アスワン | 49 | 3 | ゴールドアリュール | 80 | 3 |
ハイセイコー | 49 | - | アジュディケーティング | 79 | - |
ホープフリーオン | 49 | - | マヤノトップガン | 78 | - |
コインドシルバー | 48 | 1 | タニノギムレット | 76 | - |
バンブーアトラス | 48 | 1 | バゴ | 76 | 4 |
タケシバオー | 47 | 1 | イーグルカフェ | 73 | - |
ナイスダンサー | 47 | 2 | コマンダーインチーフ | 68 | - |
アンバーシヤダイ | 46 | 3 | サクラプレジデント | 66 | 1 |
ノーザンアンサー | 46 | - | ティンバーカントリー | 65 | - |
ロイヤルスキー | 46 | - | ファルブラヴ | 65 | 3 |
ハギノカムイオー | 45 | - | アドマイヤボス | 64 | 1 |
クラウンドプリンス | 44 | - | アフリート | 64 | 2 |
グリーングラス | 44 | - | ステイゴールド | 62 | 3 |
シービークロス | 44 | 1 | ブライアンズタイム | 62 | 2 |
ターゴワイス | 44 | 3 | マリエンバード | 62 | - |
リアルシヤダイ | 44 | 3 | ワイルドラッシュ | 61 | - |
サクラシヨウリ | 43 | - | サウスヴィグラス | 59 | 2 |
ミシシツピアン | 43 | - | ホワイトマズル | 57 | 2 |
クルセダーキヤツスル | 42 | - | アグネスフライト | 56 | - |
パーソナリテイ | 42 | 2 | スキャン | 53 | - |
ヒツタイトグローリー | 42 | 1 | ニューイングランド | 53 | - |
ピツトカーン | 42 | - | ムーンバラッド | 53 | - |
モガミ | 42 | 4 | アドマイヤマックス | 51 | 2 |
ラデイガ | 42 | - | ゴールドヘイロー | 51 | - |
ロジンスキー | 42 | - | マイネルラヴ | 51 | 1 |
1985年では産駒の血統登録数最多はハードツービートの68頭でしたが、2007年はキングカメハメハの185頭を初めとして産駒が100頭をオーバーしている種牡馬は何と18頭もいます。表中にはない産駒30頭以上の血統登録数で見れば、種牡馬数は1985年の方が多くなります。総生産頭数は同じくらいの規模でも、種牡馬の偏りが大きくなったというか、種牡馬を取り巻く環境が激変していると言えますね。また、この両世代の4歳時に該当する1989年、2011年の準オープンレース数は、前者が93レース、後者は171レースという違いもあります。オープン出世率のパーセンテージを同じ土俵で見るのはあまり妥当ではない感じがしますね。
オープンに昇格する際、現在の方が容易い環境下にあるのは間違いのないところでしょう。後は種牡馬の偏りが大きくなった、そして内国産種牡馬が占める割合が大きくなったのをどう見るか、ここがポイントかと思います。
特定の種牡馬に偏っているという点は、以前に比べて種牡馬がより厳選されているという言い方ができるかもしれません。しかしこれは血統の多様性を否定する方向性にあるという側面も考えられるところでしょう。まあ、数にモノを言わせている印象は多少なりとも感じられますね。
ちなみにサンデーサイレンスの初年度産駒は1992年産。この頃は総生産頭数が1万頭を超える時代でした。そのサンデーサイレンス産駒の血統登録数は1992年産が67頭、1993年産が66頭。ほぼ同時期に日本で供用されていたライバル種牡馬であるブライアンズタイム産駒は53頭と48頭、トニービン産駒は57頭、49頭でした。元々の占有率が低い中でこの3頭の種牡馬は戦っていたわけです。この2年間のオープン出世率はサンデーサイレンスが19.55%、ブライアンズタイムが3.96%、トニービンが5.66%でした。種牡馬サンデーサイレンスの凄さが良くわかる一例でしょう。
やはり私としては、例えオープン出世率が同等であっても、キングカメハメハよりノーザンテーストの方が少々価値が高いんじゃないかなあと思います。それは毎年多くの産駒が誕生するサンデーサイレンス2世種牡馬も同じことかと感じます。まあ、これはあくまでもオープン出世率という視点での話であり、産駒の大物ぶりで考えればロードカナロアというチャンピオンホースを輩出したキングカメハメハに軍配が上がると言えるでしょう。父系が繋がっていくという面においては期待できそうです。
母父サンデーサイレンスであるキングカメハメハ産駒の活躍馬が目立ちますが、2010年度産までのJRA-VAN上のキングカメハメハ産駒登録馬は計714頭。その内、母父がサンデーサイレンスであるのは218頭。占有率は30.53%にもなります。オープン馬は16頭。オープン馬内での占有率は30.77%。母父サンデーサイレンスというメリットはさほど感じられない数字となります。総数が多い分、それなりにオープン馬を輩出しているというのが現状ですね。前述のロードカナロアはサンデーサイレンスの血が含まれていませんから、種牡馬となった時は父同様、サンデーサイレンスの血を含む繁殖牝馬との配合が大変多くなりそうです。で、いくつか仮想配合をしてみましたが、キングカメハメハと同じように可も不可もないという印象です。単純にサンデーサイレンスの血を使うだけなら、数での勝負なりの結果となりそうな気がしています。おそらくディープインパクト牝馬との配合が繰り返されると予想されますが、あくまでも母母がポイントとなるでしょう。
ロードカナロアにジャストフィットする繁殖牝馬を見付けるのはなかなか難しそうですが、質の高い血統構成をしていますので、何とか自身並みの大物を誕生させられる種牡馬となって欲しいです。ちょっと変わり種的な意味でこんな配合もありでしょうか。
ロードカナロア X ショウナンアヤカ
http://www.jbis.or.jp/topics/simulation/result/?sire=0001089850&broodmare=0000886138&x=51&y=21
さて、供用当初は産駒が60頭台だったサンデーサイレンスも、1996年度産駒でとうとう100頭の大台を突破しました。そして1998年度産ではサンデーサイレンス2世種牡馬のフジキセキ、タヤスツヨシ、ダンスインザダークの産駒も100頭オーバーという状況。内国産種牡馬の占める割合もどんどん増えていきました。その産駒たちが競走デビューする頃は、先のエントリーで書いたように馬場の高速化が一気に進んだ時代でもあります。日本の競馬が明らかに変化したタイミングですね。
この概ね2000年以降、よりスピードが求められる競馬になったわけで、スピードを伝えることに難のあるタイプの種牡馬が淘汰されゆく傾向になったのは確かなのでしょう。それが即ち競走馬のレベルアップによるものと見るのは一理ありますが、ラップを細かく見る私にとっては、レベル云々よりも競馬の質が変わった印象の方が圧倒的に強いです。そもそも、このblogのタイトルは「上がり3Fのラップタイム検証」。上がり3Fのトータルタイムで競走馬の質を考える時代はとっくに過ぎているからこそ、こんなblogタイトルにした経緯もあります。ですから、「質」の違う競馬のレベルをどっちが上か下かを論ずるのは大変難しいことであり、競馬観の違いによって様々な意見があるのは当然のことでしょう。今回は種牡馬視点でいくつか書いてきましたが、種牡馬成績は各々の種牡馬のイメージを下回るのが基本的であると思います。その辺りを踏まえて競走馬の移り変わりを考えていけば、また新たな見方が生まれるかもしれません。
いろいろ集計してみたい方のためにこんなモノを。
http://ux.getuploader.com/Mahmoud1933/download/14/20130726.xlsx
今回はこのあたりで。