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Channel: 上がり3Fのラップタイム検証
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2012 クラシックロード エロイカの巻

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エントリーを起こすネタなど全然用意してないんですが、すいません、どうしてもエロイカをピックアップしておきたくなりました。

・母父Danzig全開型で、マイル~2000m型のディープインパクト産駒の中では文句なくトップクラスの配合馬。

・追われてからの完歩ピッチの上がり方は、ブエナビスタを彷彿させる超高速回転型。

2009年のセレクトセールでディープインパクト産駒の配合をいろいろ見ていたのですが、こんな良配合なのに2000万はちょっと安いなあ、と思ったのがこのエロイカとなっていました。今年のNHKマイルC、天皇賞・秋での本命候補なんですが、いきなり2戦目で毎日杯はちょっと荷が重いかもですねえ。アドマイヤブルーやヒストリカルと言った相手の指数レベルは数段上です。まあいずれにせよ、この馬が高速馬場で走るところを早く見たいモノです。

そういえば、とうの昔「エロイカ」というオーデコロンが流行ったような、自分もつけてみたような、そんな記憶があるのは気のせい???

今回はこのあたりで。


2012 ドバイワールドカップデー

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いろいろ書きたいのはヤマヤマなのですが、ちょっとヒマがございません。というわけで私がよくチェックさせてもらっているサイトを紹介しておきます。

競走馬カジノドライヴ、ベルモントS.に至る
http://casinodrive-usa.blogspot.jp/

いなりわんの競馬・徒然草~海外競馬情報と名牝・牝系~
http://ameblo.jp/inarione89/


そしてもう一つリンクを貼っておきます。ドバイワールドカップで1番人気に推されているSo You Thinkが2010年コックスプレートのResultです。

http://www.racingnetwork.com.au/tatts-cox-plate/tabid/87/date/2010-10-23/race/8/trackid/33/default.aspx

画面下部に各馬の1F毎のラップが載っています。このラップの刻み方を見れば欧州でも実に力強いレースを行っているSo You Thinkの謎解きが出来るんじゃないかと思います。参考までにどうぞ。

2012 ドバイワールドカップ直前!

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枠順の関係からスマートファルコンは簡単にハナに立てると思いますが、問題は大外Game On Dudeの出方。米ダート界の逃げ・先行馬は基本的にペースを緩めませんから、外からのプレッシャーがどの程度の物になるんでしょうか。

当然の如くポイントは10番枠のトランセンド。あえてこの枠を選んだからには、内のスマートファルコンは逃げさせる半面、外にいる先行馬は前に出させないレースをする可能性があります。Game On Dudeをコーナーで外に張るようなレースを期待したいですね。藤田騎手がどこまで根性を入れて騎乗できるか、それによって結果は大きく変わってくるかと思います。まあGame On Dudeは相当厳しいラップを踏んできていますから、昨年とは打って変わった猛ペースの戦いになるかもしれません。

3/10の前哨戦を見る限りは昨年より速い馬場っぽいのですが、当日はどんな状態になるかは何とも言えませんね。で、AWコース(タペタ)を考えると日本ダービー馬エイシンフラッシュには結構ピッタリなのではと思っています。追い出しを我慢できるような展開になれば一発の可能性は一番高いかも。相手の外国馬は昨年よりちょっと強力だと思いますが、日本勢3頭も相当強力ですね。まあ理想は前2頭でブッチ切ってエイシンフラッシュだけが後方から伸びてくる、というシーンでしょう。今年も感動を!

中山競馬場や調教のラップタイムの話など・・・

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第3回中山3日目(2012年3月31日)は相当強い風が吹く中レースが行われました。特に8R山吹賞ではラスト2Fの公式ラップが10.8-10.5というとてつもなく速いラップが計測されました。これはレースラップとしては史上最速じゃないかと思います。

この日の、中山競馬場に程近い船橋の気象観測データはこちらです。

http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/10min_a1.php?prec_no=45&prec_ch=%E5%8D%83%E8%91%89%E7%9C%8C&block_no=1236&block_ch=%E8%88%B9%E6%A9%8B&year=2012&month=3&day=31&elm=minutes&view=

そして中山競馬場の方角はこちら。

http://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&safe=off&q=%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E7%AB%B6%E9%A6%AC%E5%A0%B4&psj=1&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.r_qf.,cf.osb&biw=1027&bih=926&um=1&ie=UTF-8&ei=fzOGT8GbMOKjmQXh-qDNBw&sa=X&oi=mode_link&ct=mode&cd=3&ved=0CCUQ_AUoAg

風向きは南南西ですから最後の直線ではモロ追い風になります。平均風速が7m/s前後、瞬間最大値は20m/sを越す時もあったようです。

風速は分速で表されます。私なんぞは小さい頃から台風に興味を持っておりました関係上、風速の感覚は子どもの頃から持っておるのですが、時速に直した方がピンとくる方が多いかもしれませんね。風速20m/sは時速だと72km/hとなります。競馬的に言えば1F10秒で駆け抜けるスピードです。ということは、もしこんな風を後ろから受ければ、前からの風の抵抗はありませんから、未知なるスピードの領域へ突入できるでしょうね。1F9.5秒とか・・・。

この日は確かに例外的な日だと思います。芝のレースで言えば5、8、11Rで公式ラップ上、ラスト2F目よりラスト1F目の方が速い加速ラップとなる形でした。で、このようにレースラップが加速ラップとなるレースは中山競馬場の芝戦限定で言えば、2010年で16レース、2011年で14レースありました。ところが今年2012年は現時点で既に13レースが加速ラップとなっています。また昨年は変則開催だったとはいえ、3/6までの開催期間では一度も加速ラップレースはありませんでした。ここ1年弱の間、加速ラップレースが一気に増えたように思います。

ラップ分析を行う方々は、おそらくこの異変に気付いている事でしょう。じゃあその理由は何なのだろうと、いろいろ考察されているのだろうと思います。少し前のエントリー、

東京競馬場ラスト200mのラップ検証

ココで書いたようにレースラップは先頭が入れ替わるタイミングの違いで如何様にも変化しますから、ブレの範囲内で結論付けするのも悪くはないと思いますが、カンの良い方は薄々分かっているんじゃないかと・・・。そうです、JRAのラップ計測がこの中山競馬場に於いて変化してきているのです。昨年の有馬記念で、最後の直線での公式ラップがピタリだったように、ラスト1Fの公式ラップが明らかに変わってきているのです。

ではこの日の芝戦4レースの上がり3Fを私が計測した値と比べてみましょう。

5R3歳未勝利
11.7 - 11.3 - 11.2 ・・・ 公式ラップ
11.8 - 11.0 - 11.4 ・・・ Mahmoud計測ラップ

8R山吹賞
12.0 - 10.8 - 10.5 ・・・ 公式ラップ
11.9 - 10.7 - 10.7 ・・・ Mahmoud計測ラップ

10R千葉日報杯
11.8 - 11.7 - 12.0 ・・・ 公式ラップ
11.9 - 11.5 - 12.1 ・・・ Mahmoud計測ラップ

11R船橋S
11.7 - 12.1 - 11.9 ・・・ 公式ラップ
11.8 - 11.8 - 12.1 ・・・ Mahmoud計測ラップ

私が計測した値のブレを考慮しても、ラスト1Fが実際より速く計時されているのは間違いないと思います。かなり昔のレースでは時々ありましたが、おそらく2000年以降では、こんな事初めてじゃないかと思います。本来あるべき方向に進んで行ったのは評価すべきですが、行き過ぎちゃうのもねえ・・・。まあリアルタイムでハロン棒通過を斜めに見ながら正確なタイム計測をしろ、というのが無理あるんですけどね。結局この日の芝戦では加速ラップレースはなかったと思います。

もともと中山競馬場ではラスト1Fが0.2秒遅く、その差分がラスト3F目で速くなるというケースが一般的でした。比較的他場に比べてブレの少ない公式ラップではありました。どうやらストップウォッチを押すポイントを変化させたのでしょう。というわけで、加速ラップレースが増えたのは馬場の影響だとか、そんな類の考察は意味が無いと思われます。

ちなみにダート戦の6R3歳500万下でも公式ラップは加速ラップとなっていました。

12.6 - 12.4 - 12.2 ・・・ 公式ラップ
12.6 - 12.5 - 12.1 ・・・ Mahmoud計測ラップ

こちらは正真正銘の加速ラップレースでした。勝ったイジゲンは名の通り素晴らしい末脚を使いました。同馬の上がり3Fはこんな感じです。

36.7 : 12.4 - 12.2 - 12.1 [ 6.0 - 6.1 ]

最後の数完歩は緩めており0.1秒はロスしています。したがってラスト1Fはひたすら伸びていた状態。かなりの活躍が見込めそうですね。


さて、私はblogの中で時折「常識的なラップ」という表現を使います。これは詳しく説明するのが難しいのですが、例えばレース後半で追われてトップスピードに到達してから、ゴール地点までどのように減速していくのが普通なのか、という物理的な感覚の事です。そんな部分を人間の競走と比較したりしながら、いろいろ書いてみます。

ではこちらのリンク先をご覧ください(pdf注意)。

http://berlin.iaaf.org/mm/Document/Development/Research/05/38/64/20090822101135_httppostedfile_wch09_m400_final_15665.pdf

2009年世界陸上男子400m決勝のスプリットタイムです。最初の100mが遅いのは当然として次の100~200m区間が全選手最速ラップを記録しています。その後のラップ推移は選手毎に特徴がありますが、2、5位の選手は少し前傾度合いが強過ぎる感じがしますね。これは競馬に例えると残り3F目で最速ラップを叩き出しているのと同じラップ推移でしょう。先日もちょっと紹介しましたが、So You Think型とでもいいましょうか。So You Thinkのラップも幾つかリンクしておきましょう。

http://www.racingnetwork.com.au/longines-mackinnon-stakes/tabid/87/date/2010-10-30/race/5/trackid/22/default.aspx

http://www.racingnetwork.com.au/tatts-cox-plate/tabid/87/date/2010-10-23/race/8/trackid/33/default.aspx

http://www.racingnetwork.com.au/yalumba-stakes/tabid/87/date/2010-10-09/race/5/trackid/16/default.aspx

http://www.racingnetwork.com.au/tatts-cox-plate/tabid/87/date/2009-10-24/race/8/trackid/33/default.aspx

So You Thinkが刻む上がりラップは男子400mの選手と似ていると思いませんか?

一方、日本の競馬だと残り2F目で最速ラップとなるケースが圧倒的に多いですね。と言う事は、ラスト2F目と1F目のラップダウンする幅が必然的に小さくなる事を意味します。大きくラップダウンしながらも勝ち負けに加わる事が出来る馬は、より大きなマージンを築いていた為とか、後続馬もなし崩し的に脚を使わせていた為とか、そんな理由が必ずあります。そもそも、最後の直線が400mに満たないコースで直線まで追い出しを我慢していれば、ラスト1Fのラップが大きく落ち込む事などそうそうあり得ないわけです。中山競馬場の坂も急坂と呼ばれるわりにはラップの落ち込みはさほど酷くありませんね。

過日Tweetした内容とダブりますが、調教タイムも常識的にアレっ?って思う事多くありますよね。例として考えるのは美浦南Wコースです。

http://www.jra.go.jp/miho/guide/index.html

1周1600m、幅員20mのコースです。JRAのホームページには記載がありませんが、おそらく400mずつの直線、コーナーを繋いだコースだと思います。ハロン棒設置位置をGoogle Mapで判断すると、残り700~300mがコーナー区間、最後の直線は300mだと思われます。

調教に於いてほとんどの馬は外目を走っています。例えば南Wコースを馬場の5分目、内ラチから10m離れたコースを走ったとしたら、3、4コーナーでは約31.4mの距離ロスが発生します。上がり3Fからならその3/4、約23.6mの距離ロスとなります。もし60km/h、1F12秒のイーブンペースなら上がり3Fは計算上37.4:12.9-12.5-12.0というラップ推移になります。

ちなみに皐月賞に出走するアーデントが直前追い切りをこのコースで行いました。グリーンチャンネルの映像上の上がり3Fは37.3-12.0でした。上記の通り馬場の真ん中を通っていたのならほぼイーブンペースで上がりを纏めた事になりますが、映像を見る限り馬場の7分目辺りを通っていますし、鞍上は残り1Fを切ってから一杯に追い出していましたので、37.3-12.0というのはちょっとおかしい、と考えざるを得ないですね。ましてや馬三郎が発表しているタイムは36.9-12.6です。これだと例え内ラチぴったり通ったとしても12.2-12.1-12.6みたいなラップ推移になるわけで、「末を行かす調教が全然できていないだろう!」と調教師が怒り出す内容ですよね。こんな調教タイムが当たり前の物としてまかり通るのは、それはそれで凄い事だと、多くの人々は何年も前から思っていた事でしょう。

坂路調教コースのラップは自動計測ですから正しい値がわかるわけです。常識的なラップ推移の元データとしては栗東坂路コースのラップなんかは実に有用ですよね。あれだけの急坂であっても、ラスト1Fの落ち込みはこの程度なんだとか、きっちり抑えていけば加速ラップも刻めるんだとか、いろいろ科学的な検証が誰にでも出来るのは良い事なんですがねえ・・・。

グリーンチャンネルの調教映像はいささかアップ過ぎるのでキッチリ測定できませんが、今回のアーデントのラスト2Fは12.6-11.5程度だったと思います。おそらく残り3Fから1F12秒のスピードに上げていき、残り1F弱を一杯に追われて末を伸ばす、という陣営が思い描く理想的な調教だったと思われます。とにかくこの南Wコースに於いては、ラスト1Fの計時方法に何らかの誤りがあるだろうと推測します。まあレースラップを計時するより遥かに骨の折れる作業だと思いますが、情報の質としてはあまりにも低い。調教タイムの精度は栗東と美浦、馬の格差以上に開きがあるようです。

今回はこのあたりで。

2012 皐月賞 回顧

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上位5頭のレースラップといつもの動画をご覧ください。ちなみに上がり3FのタイムはJRAの推定ラップとかなり値が違っています。元々0.2秒程、中段以降の馬達は実際より速いタイムで発表されるケースが多いのは中山競馬場の特徴ですが、今回の皐月賞はあまりにも酷かったですね。JRA-VANのデータを今からでもいいので訂正してくださいよ、JRAさん。

着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F後3F1900Goal
1着14ゴールドシップ 2:01.313.811.812.612.612.463.211.611.411.211.712.258.135.15.96.3
2着9ワールドエース 2:01.713.811.612.612.612.463.011.711.711.911.611.858.735.35.86.0
3着6ディープブリランテ 2:01.812.711.512.512.412.261.311.711.912.412.112.460.536.96.16.3
4着15コスモオオゾラ 2:01.812.611.712.512.612.161.511.811.812.412.112.260.336.76.06.2
5着18グランデッツァ2:02.013.611.512.712.612.362.711.711.911.911.612.259.335.76.06.2


Mahmoud計測RL2:01.312.311.312.012.011.559.111.612.212.613.612.262.238.4



公式RL2:01.312.411.112.311.911.459.111.612.212.713.612.162.238.4





M.デムーロ騎手は何を考えながら乗ろうとしていたのかとか、若駒S回顧で書いたように川田騎手は体内時計がぶっ壊れ過ぎているとか、いろいろ見所が多かった今年の皐月賞でしたが、やはり一番の注目ポイントは共に最後方からのレースながら、内外大きく進路を分ける事となったゴールドシップ、ワールドエースのレースぶりでしょう。ということで、この2頭はどの程度距離ロスの差があったのかを考えてみましょう。尤も、内ラチからどれくらい離れて走っていたのかを正確に弾き出すのは不可能ですから、話半分で読んで頂きたいと思います。

まずは中山競馬場芝内回りコースの3、4コーナーの形状を見ていきましょう。こちらの画像をご覧ください。
$上がり3Fのラップタイム検証

残り4Fを過ぎる辺りからコーナー部分が始まり、残り3F標でおよそ64度曲がります。そこから残り2F標まで80度、そして36度曲がって最後の直線という感じでしょうか。もし10m外のコース取りをしたのなら、残り4~3F区間で10 x 3.14 x 64 ÷ 180という計算で約11.2m、残り3~2F区間で約13.9m、残り2~1F区間で約6.3mの距離ロスという事になります。皐月賞当日はBコース開催であり、この画像はAコースの物ですから若干ハロン棒の位置が変わってしまいますが、まあその辺りは無視して話を進めていきます。

次に問題の2頭がどれくらい内ラチから離れて走ったかを見ていきましょう。


$上がり3Fのラップタイム検証
こちらは3コーナー手前の画像です。この部分の幅員はBコースで最も狭い17mとなっています。後方から2番手を進んでいるワールドエースは内ラチから大体3分の1辺りを走っているので、6mほど外のコース取りをしているのですが、元々内ラチから1m離れた地点でコースの距離が測られていますから、この場合は5mほど外を通っていると見ればいいでしょう。そしてゴールドシップは4m弱外を通り3コーナーに突入していきます。


$上がり3Fのラップタイム検証
ココは残り700m辺りです。ゴールドシップは内に切れ込み始めています。というか、ペースを上げるためには前方のシルバーウエイブとグランデッツァが邪魔ですから、内に行くしかない状況とも言えますね。一方ワールドエースはこの後前述2頭の外へ進路を取っていきます。そもそも、1番人気のグランデッツァがここにいる事自体、自身の結果も含め、今回の皐月賞の結果を大きく左右する要因だったかもしれません。


$上がり3Fのラップタイム検証
こちらは残り3F。ワールドエースは外に持ち出し始めていますが、ここまで平均4.5mくらい外を通って来たと判断して残り4~3F区間の距離ロスは5.0mとします。ゴールドシップは2mちょっと膨らんでいる形でしょうか。この区間の距離ロスは2.4mとします。


$上がり3Fのラップタイム検証
こちらは残り2F地点。ワールドエースは更に外へ膨れています。残り3F地点で6mほど外だったのが、ここでは9mほど膨れているでしょうか。平均7.5mとして残り3~2F区間の距離ロスは10.5mとします。ゴールドシップはほぼ2m辺りを進み続けているようです。この区間の距離ロスは2.8mとします。


$上がり3Fのラップタイム検証
こちらは4コーナーを曲がり切った辺りです。さすがにゴールドシップも4mほど外に行っているでしょうか。平均3m外へ膨れていたとして残り2~1F区間の距離ロスは1.9mとします。そしてワールドエースですが、かなり外にぶっ飛んでいます。というわけでもう1枚画像を見て下さい。


$上がり3Fのラップタイム検証
一つ前の画像に於けるワールドエースの位置取りの延長線を赤線で表してみました。このホームストレッチの幅員は29m。真ん中より少し外に出ているように見えますので、コーナー出口では15mほど外に膨れたでしょうか。平均12m外に行ったとして距離ロスは7.5mとします。最終的にゴールドシップは7.1m、ワールドエースは23.0m距離ロスがあった物と推定します。

さて、ここからが本題です。上位2頭の3、4コーナーを含む残り4~1F区間のラップを抜き出してみましょう。

34.3 : 11.4 - 11.2 - 11.7 ・・・ ゴールドシップ
35.2 : 11.7 - 11.9 - 11.6 ・・・ ワールドエース

例えばワールドエースは上記の通り残り4~3F区間を11.7で走破していますが、これは距離ロスを含めた205mでのラップとなります。というわけで、距離ロスなく走ったと仮定した際のラップタイムはこちらになります。

33.90 : 11.26 - 11.05 - 11.59 ・・・ ゴールドシップ
33.90 : 11.41 - 11.31 - 11.18 ・・・ ワールドエース

何と!2頭は同タイムとなりました。つまりこの600mを同じスピードで走っていたわけです。何という偶然でしょうか!(今回の回顧はこれが言いたかっただけw)

しかし各区間はラップタイムに差があります。レース映像を見ても分かる通り、ゴールドシップの方が明らかにスパートのタイミングが早いです。3コーナーに入るや否や、「我が道を進む」ような強い意志を持って内からどんどん先行勢を交わして行きました。戦前、ゴールドシップはズブいという見方があり、前走共同通信杯を見てもそんなイメージはあったのですが、3コーナーからのスピードのノリは見事なモノだと言えるのではないでしょうか。残り3F目で最速ラップをマークするというのは前回のエントリーで紹介したような、まさにSo You Think型と言える内容であり、非常に力強く感じさせるレースぶりでありました。折り合い選手権に没頭し末脚のキレ具合ばかりを気にする騎手達に鉄槌を下すかのような、真の名騎乗だったと思います。また、それに応えたゴールドシップも立派でしたが、アンカツさんが騎乗したラジオNIKKEI杯2歳Sでは4角で一旦息を入れた2段階ロングスパート、内田博幸騎手が騎乗した共同通信杯では残り3Fびっしりエンジン全開という、前2走の内容も今回のレースぶりの伏線となっていたように思います。要は今回たまたま上手く事が運んだわけでは決してなく、ここ3戦はキッチリ線で繋がっていました。皐月賞を勝つ為に名手がしっかりとした教育を施した賜物だと私は思います。どこかの陣営の教育とは質がまるで違うレベルだったようです。

一方、ワールドエースは徐々にスピードを上げていった形ですが、これは自らが刻んだラップというよりも、グランデッツァに付き合わされたラップという表現の方がしっくり来ますね。残り3F標の僅か手前でグランデッツァの外に進路変更しましたが、M.デムーロ騎手は外からワールドエースに交わされる隙を作らなかったわけで、結局この2頭の差は残り1Fまでずっと同じ状態でした。レース全体の動きとして考えるならばM.デムーロ騎手は駄騎乗そのものだったと思いますが、ワールドエース対グランデッツァとして考えるならば、明らかにM.デムーロ騎手がイニシアティヴを取っていました。300m近くの間、角度にすれば116度曲がる間、終始グランデッツァの外を廻るのは非常に意味が無い事。勿論ゴールドシップとの距離ロスを埋めるには程遠い差ではありますが、非効率で無駄な大外ブン廻しの典型的例だったと思います。

私もレース前にTweetしたのですが、多くのジョッキーが馬場の良いところを求めて外に持ち出すのがミエミエの場合、後方勢にとって結局必要以上に外に振られる可能性が高まるのはサルでもわかる事です。で、前述の通りゴールドシップはここ3戦が線で繋がっていると書きましたが、ワールドエースも同様に考えるのならば、このような大外ブン廻しで乗ってくるだろうというのも容易に考え付く事でした。馬場が重ければ絶対的なスピード差を生かして何とかなるのかもしれないが、馬場が乾けば乾くほど、そのスピード差が少なくなる可能性が高まりますから、苦しい戦いになるだろうなと思っていました。まあ2着に来れるだけの馬場状態だったとも言えますが、このようなレースぶりでも何とかしてしまう馬の底力は評価すべきモノですね。しかし、予想通りのコース取りでレースを行ったというのに、この失望感は何なのでしょうか・・・。

ワールドエースの、この中山競馬場内回りコースの適性と言えば、若駒Sでグルっと廻るコーナー区間で加速にもたついていたのが全て。ただ、この特性が普遍的な物なのか、ジョッキーによっては克服可能なのかは私にはわかりません。また1走毎パフォーマンスを上げているのは言うまでもありませんが、特に末脚の耐久性がグングンと磨かれており更に強くなっていく軌道にしっかり乗っかっていると思います。次走は是非ゴールドシップと終始馬体を併せるようなレースをして欲しいと思いますし、直線での末脚を過信しないよう気を付けてもらいたいとも思います。ちなみにワールドエースは手前を変えるとフォームも大きく変わってしまうような気がするんですが、これはひょっとすると・・・。

あっ、そうそう、本題でもう一つ書く事を忘れていました。ワールドエースは残り1Fでゴールドシップを0.4秒上まわるラップをマークしています。2頭の差は最終的に0.4秒差でしたから、コーナー区間で0.4秒分、距離ロスを防げていれば差し届いていた可能性があったわけです。で、その為のコース取りとはおそらくトリップが走っていたラインだったんじゃないかと推定されます。果して、そのライン取りでも上記同様のスピードを出せたのかどうかが、タラレバ論でワールドエースが勝利できるボーダーラインになりますね。みなさんはどう思われますか?

今回はこのあたりで。

訃報

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IK血統研究所の久米裕氏が逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。

昨年のジャパンカップに出走した凱旋門賞馬デインドリームは、I理論的に久しぶりに登場した極めて優れた配合馬でした。結局デインドリームについて久米さんとお話しする機会はありませんでしたが、ジャパンカップでは胸躍る思いでデインドリームの走りを見つめていらっしゃった事と思います。久米さんが病気を吹っ飛ばす為にも、ジャパンカップではデインドリームに是が非でも勝って欲しいと私は願っておりました。

素晴らしい血統観を与えて下さり誠にありがとうございました。空の上からワールドエースの活躍を見守っていてください。安らかに・・・。

2012 天皇賞・春 回顧

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G1で単勝1.3倍の人気に推された馬が、アクシデントが無いにも関わらず11着に敗退するという、前代未聞の結果となった今年の天皇賞・春。昨年の同レースは変態ラップで賑わいましたが、今年も大いに話題を呼ぶレースとなりました。私もいっぱいTweetしましたし、もうあらゆる意見は出し尽くされているかと思いますが、一応振り返って行きましょう。何かと参考になると思いましたので全頭ラップも弾き出しました。そしてMultivision動画をどうぞ。

着順馬番馬名タイム20040060080010001200前6F1400160018002000220024002600280030003200後6F3100Goal
1着1ビートブラック 3:13.8 12.911.511.512.112.411.972.312.112.312.712.512.012.011.411.912.212.471.96.16.3
2着16トーセンジョーダン 3:14.5 13.512.412.612.212.511.875.012.512.813.112.512.211.610.811.111.311.668.65.75.9
3着11ウインバリアシオン 3:14.8 13.712.612.712.412.412.175.912.412.913.012.412.111.710.911.211.011.368.25.65.7
4着5ジャガーメイル 3:14.9 13.912.712.712.312.511.976.012.512.812.912.412.111.810.811.111.011.568.35.65.9
5着8ギュスターヴクライ 3:15.1 13.612.412.512.312.511.975.212.512.813.012.612.011.611.011.111.411.969.05.96.0
6着7ユニバーサルバンク 3:15.3 13.312.112.212.312.511.974.312.613.012.912.512.011.811.011.111.712.470.06.16.3
7着6ゴールデンハインド 3:15.3 13.011.411.212.112.311.971.912.212.412.712.612.112.011.612.112.812.973.56.46.5
8着2トウカイトリック 3:15.4 13.412.312.412.312.611.874.812.512.913.012.211.911.811.311.411.711.970.05.96.0
9着3ナムラクレセント 3:15.6 13.011.911.612.112.311.972.812.612.713.012.312.412.511.711.611.912.172.26.06.1
10着17トウカイパラダイス 3:15.6 13.612.512.712.412.411.975.512.512.913.112.412.211.710.811.311.511.769.25.76.0
11着15ヒルノダムール 3:15.6 13.712.912.812.412.511.876.112.512.912.912.412.111.711.011.111.211.768.85.85.9
12着18オルフェーヴル 3:15.6 14.212.712.712.412.412.176.512.312.912.912.312.311.610.811.311.211.568.75.75.8
13着13フェイトフルウォー 3:15.7 13.612.512.612.312.411.875.212.512.913.112.512.211.610.911.211.711.969.55.96.0
14着9コスモロビン 3:15.7 14.012.912.712.412.612.176.712.312.812.812.312.111.710.811.311.411.568.85.75.8
15着14ローズキングダム 3:15.9 14.413.112.712.312.312.076.812.412.812.812.512.111.710.811.111.411.568.65.75.8
16着10ケイアイドウソジン 3:16.4 13.412.312.312.212.311.974.412.613.113.012.312.112.011.111.412.112.371.06.16.2
17着4モンテクリスエス 3:16.5 13.712.512.712.412.312.075.612.512.813.012.412.111.910.811.411.612.470.25.96.5
18着12クレスコグランド 3:18.6 13.812.612.712.512.412.076.012.513.012.912.312.311.811.212.312.112.271.96.16.1


Mahmoud計測RL3:13.812.911.511.212.112.311.971.912.212.412.712.612.112.011.411.912.212.472.0



公式RL3:13.813.011.611.311.712.411.971.911.912.712.712.712.111.911.411.712.312.571.9





動画に載っけてある勝ち馬以外のラスト1Fは少し甘い値ですね。ウインバリアシオンの値は11.2じゃなく11.3と見た方が良さそうです。京都で外を通られると非常にラップを調べるのが難儀になります。また、このレースも上がり3Fのタイムがレース評でいろいろ語られていましたが、ラップ上のポイントはその前の4~3Fのラップ。各馬一気にペースアップしたので上がり3Fがそれほど速くない点を留意すべきです。そしてこの坂の下り区間ですが、先行3頭以外の馬達は余力タップリだったので、スパート後に大きく差が付く事はまずあり得ません。それを以って陣営が「伸びが無かった」と感じるのは親バカ的な発想以外何物でもありません。

このラップ表はコピーしてExcelにテキストで貼れば、自分なりにいろいろ集計できます。特定区間のラップを集計するとか、上がりラップを区間毎で見たりするのもおもしろいです。で、通報してくれた人がいたので書いておきますが、私がいつもアップしているラップは当然公式の物ではありませんし、JRA公式より正確性はあると思うもののアバウトな値でもあります。そういった点を踏まえつつ、当たり前のモラルを持って頂ければ転載等ご自由にどうぞ。ちなみに値を少し細工をしていますので「転載してくれているなあ」と分かる仕掛けになっているレースが幾つかあります。

まずはあまり話題になっていない勝者について書いておきましょう。結果として2着に4馬身差を付けていますから圧勝と言えるのですが、その2着のトーセンジョーダンとの脚色の違いはさほど目立ったわけではなく、決してバテバテにはならないギリギリのところまでスタミナを引っ張り上げ、前掛かり気味でラップを刻み続けた石橋脩騎手会心の騎乗だったと思います。特に向こう正面で逃げていたゴールデンハインドがペースを落とし始めた際、じりじりと差を詰め再び1F12.0ペースに持ち込んで行った辺りは「これぞプロ!」と唸らされる内容でした。

ちなみのこのレースに於ける後半3000mの最速馬はこのビートブラックだったのですが、そのラップは3:00.9。1F平均12.06でした。馬場状態、馬の能力を元に、この1F12秒そこそこのペースで行けると石橋脩騎手は戦前考えていたんじゃないでしょうか。そしてそのペースにピタリ当て嵌まった体感スピードを駆使しビートブラックを操ったようです。今回どんな経緯で石橋脩騎手に騎乗依頼があったのか存じませんが、最高の形でその期待に応えました。人馬一体で掴んだ勝利だったと思います。

今開催の京都競馬場は開幕週こそ雨の影響で目立ちませんでしたが、前日土曜日では各レースで相当速いタイムがマークされていました。昨年アドマイヤコスモスが2000m戦でレコードを出した時並みの速い馬場と考えて良さそうです。当週が飛び抜けているわけではありませんが、史上最速タイといった感じの超高速馬場であり、ペース次第とはいえ3分13秒を切るレコード更新の可能性はかなり高いだろうと予想していました。ところがタイムトライアル的なペースを刻んだビートブラックの勝ちタイムは3:13.8。レベル的には少々物足らない勝ちタイムだったと思われます。前述のようにラップコントロールは実に巧みだったと思いますが、中間点過ぎで12.7というラップを刻んでおり「1F13秒台に入らない厳しいペース」と評するのはいささか見当違いでしょう。1F平均0.3秒以上遅い馬場状態の頃と同列にラップを比較してもあまり意味はありません。ちなみに2006年にディープインパクトがレコードを叩き出した時と比べると、私の計算上の馬場差は3200m戦で約1.6秒速い馬場。つまり、今年の馬場ならディープインパクトは3:11.8で走ったであろうと推測します。

さて、力量的に3:13.8というタイムをマークできる馬は、このメンバー中かなり居ただろうと思われます。しかし、実際に3分15秒を切った馬さえ僅か4頭だけ。ラップを見れば一目瞭然、ビートブラックとは別のレースを行っていたかと思えるほどでした。もう少し詳しく言えば、ビートブラック、ゴールデンハインド、ナムラクレセントの3頭である一つのレースを、他15頭でもう一つ別のレースを行っていた、といったイメージですね。ですから15頭のレースでハナを切っているのはユニバーサルバンク。そういった視点でラップを見るといいかもしれません。前半1000m1:02.4の通過。2000m通過が2:05.3。1F12.5のペースで先頭が引っ張っているような感じです。ちなみに昨秋の菊花賞で最後方を追走していたウインバリアシオンは前半1000m通過が1:03.2、2000m通過が2:04.6でした。馬場差を抜きにして考えても、この15頭レースでの先頭馬のペースは相当遅い事が分かると思います。

実際のレースではユニバーサルバンクは前の馬を追っかけ始めましたから、残り4Fから一気にペースを上げた為ラストで失速していますが、もしユニバーサルバンクがホントにハナを切っていたら、スパートはもっと緩やかだったと思います。例えば走破タイムは同じだとして残り4Fが11.5-11.5-11.3-11.9みたいな感じとか。とすると後続馬も少しスピードを落として坂を下り、直線に入ってから1F10秒台のラップを刻むような展開になるでしょうか。上がり3F33秒台を叩き出す馬が多数出て、中には32秒台突入なんて馬も。それくらい危うい流れで後方15頭はレースをしていたと思います。まあ実質先頭だったユニバーサルバンクが出来る限りスローに落としたいのは百歩譲っていいとしても、この集団の騎手達のペース感覚は一体何なのでしょうか。先頭馬が見える見えないという問題以前に、あまりにも遅いペースだからマズイという感性も全くなかったようです。前半1000mの入りが既にかなり遅い状態なのに、ご丁寧にも2周目1~2コーナーで定番のように再度ペースダウンをしていたのはホントにどうしようもないですね。

この後方馬群がどれだけのんびり追走していたかを、ディープインパクトを例に考えてみましょう。勝ち馬に1.0~1.1秒離された3、4着のウインバリアシオン、ジャガーメイルの2頭はラスト2000mをメンバー中最速の1:58.9で走破しています。相当速いのですが、何とこの1:58.9というラップは2006年ディープインパクトと同じ値でした。上がり5Fだとディープインパクトよりも更に速かったのです。まあ前述の通り馬場差がありますからタイムを同列に考えてはいけません。で、ラスト2000mの馬場差を計算すれば約1.2秒。ディープインパクトが残り2000mの地点でウインバリアシオンと同じ位置取りなら何とか0.2秒ビートブラックを差せる計算になりますが、ヒルノダムールの位置取りなら微妙な差。当然オルフェーヴルの位置取りではノーチャンスとなります。残り2000m、前半1200m地点というのは1周目のゴール板手前です。まだレースを3分の1程度経過した段階で、既に勝てる見込みが限りなく薄い位置取りでレースを進めていた馬が数多くいたという現実がこのレースには確かにありました。多くの騎手達は自らが跨っている馬をディープインパクトと勘違いしており、更には何人かの騎手に至っては『スーパーディープインパクト』に跨っている気分だったようです。

「騎手の体内時計は優れている・・・」みたいな表現をよく目にします。騎手に例えば20秒で時計をピタリ止めさせるというようなバカなTV番組も見た事がありますが、こんな事はハッキリ言って何の価値もないわけで、騎手に求められているのは調教で5F65秒で走らせるというような能力です。要はスピードがどれくらい出ているか、これが一番重要な事でしょう。それを元に馬場状態や個々の馬の能力、施行距離を鑑みて適性ペースが導き出されるのですが、いろんな要素が複雑に絡み合うので毎回良い塩梅で馬を走らせるなんて極めて困難だと思います。だから・・・、細かな事はどうでも良くて、前に居る馬と無駄な間隔を開けずにどうしてレースができないのか、という事に尽きるんじゃないかと思うのです。そもそも18頭も居れば先頭と最後方の差は2秒くらいどうしても付いてしまうんです。それだけでも結構な差です。ましてや強い馬なら少々のハイペースに巻き込まれたところで優位性は揺らがないでしょう。

新馬戦やキャリアの少ない馬に『教育』と呼ばれるレースをよく見かけますよね。でも散々キャリアを積んだところで今回のようなレースをしてしまうという事は、結局『教育』的レースから抜け出せないままなんじゃないですか?とすれば、その『教育』と呼ばれるレースの存在価値って一体・・・。

過日、Twitterで後藤騎手が調教でメトロノームを使用しているのが話題となりました。「体内時計を鍛えているなあ」って思った方が居るかもしれませんが、メトロノームの利用価値は馬の完歩のタイミングを測る事に繋がります。当blogをご覧の方はすぐわかると思いますが、メトロノームを150bpmで鳴らせばMAXと言える完歩ピッチに合わせられるわけです。140bpmのビートより遅い完歩ピッチなら馬が全力で走っていないとか、そんな目安になりますね。ただ、これは1F何秒で走っているかには直接結び付きません。馬によってトビの大きさが違いますし、馬場状態によって歩幅も変わってきます。で、こんな事やっているこのジョッキーも今回の天皇賞では昨年の有馬記念同様、勝つ見込みが100%ないレースをスタート後早々とやっていました。ただ単に最後方ありきの競馬。超高速馬場であるとか、それによってどの程度のペースになるのかとか、そんな事は彼にはどうでも良かったようです。

ちなみにローズキングダムの次走は安田記念との事。コメントのリプライ代わりで書きますが、NHKマイルカップのような緩い流れだと頑張れる可能性はあると思います。それにしても繰り上がりとはいえジャパンカップを勝ち、2400mのG2戦を二つ勝っている馬がマイル戦に挑戦とは・・・。昔のタケシバオーみたいなオールラウンダーを目指す目的ならまだしも、この臨戦過程からは明らかに都落ち的な参戦ですね。安田記念を視野に入れているのなら、何故今回こんなレースをさせたのか、トレーナーの姿勢には尚更首を傾げてしまいます。それとも疲労を(ry

さて、ここまで「オルフェーヴル」の文字は1箇所だけ。改めてどうのこうの言う事はあまりないでしょうが、一応触れておきましょう。同馬が踏んだラップを見ると少々物足らない部分もあるのですが、4コーナーで外に膨れたロスはかなりあったかなと思います。タイムスタンプで言うと2:47.50辺りで躓いているのですが、そこから大きく外へ膨れてしまいました。アクシデント的な物とも見えますが、その直前にウインバリアシオンの外に持ち出しており、そこからコーナーをクリアするため一気に内に舵を切った矢先のタイミングでもあったようです。鞍上の操縦力にもその要因があった可能性は捨てきれません。まあ、ココを上手くクリアしたところで良くてジャガーメイルに追い付いたくらいの結果だったとは思いますが。

詰まる所、何人かの方からコメントを頂いた通り、昨年のきさらぎ賞と似たレースをしただけ。前走のあの出来事から馬群の後ろに付けるのが至上命題だったわけで、その馬群のペース次第で勝ち負けが左右されるレースになるだろうと予想された方も多かったのではないでしょうか。もし、その馬群のペースがあまりにも緩ければ、有馬記念のように早い段階で外に持ち出し追撃態勢に入らなければならないのですが、それは相当勇気がいる事。やはりそんな勇気はこの鞍上にはありませんでした。まあ無理もないですわな。

で、ジョッキーのレース談話とかをよく見たら、「馬場が合わない」とか書いてあるんです。

もうね、アホかと。馬鹿かと。


で、調教師のレース談話とかをよく見たら、「まだ敗因はハッキリしていません」とか書いてあるんです。

もうね、アホかと。馬鹿かと。

今回はこのあたりで。

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2012 日本ダービー 参考レースラップ 1/2

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日本ダービーの参考レースラップを幾つか貼っておきます。勿論公式の値ではありませんので、その点は留意してください。

また、レース名の後にある『△0.8』というのは私が算出した1600m戦に於ける基準タイムとの馬場差です。

2011/12/24 ラジオNIKKEI杯2歳S 阪神2000m +0.6

着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F1900Goal
2着3ゴールドシップ2:02.613.912.212.612.412.463.512.211.612.111.511.759.15.76.0
3着13グランデッツァ2:02.613.011.912.312.712.562.412.512.211.911.512.160.25.86.3
4着12トリップ2:02.913.211.912.512.512.562.612.512.211.811.512.360.35.96.4
5着10ブライトライン2:02.913.112.012.412.612.562.612.712.212.011.511.960.35.76.2
8着1エタンダール2:03.113.512.112.412.412.663.012.512.212.011.611.860.15.76.1


Mahmoud計測RL2:02.612.811.712.312.712.662.112.612.312.011.511.960.3



公式RL2:02.612.811.212.712.812.662.112.612.311.811.412.260.3



2012/01/21 若駒S 京都2000m +0.9
着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F1900Goal
1着3ゼロス 2:05.313.512.512.813.413.165.313.612.511.610.811.560.05.56.0
2着2ワールドエース 2:05.714.212.713.213.413.066.513.112.511.610.811.259.25.55.7


Mahmoud計測RL2:05.313.512.512.813.413.165.313.612.511.610.811.560.0



公式RL2:05.313.512.213.213.313.265.413.512.511.710.711.559.9



2012/02/05 きさらぎ賞(G3) 京都1800m △0.5
着順馬番馬名タイム200400600800前4F10001200140016001800後5F1700Goal
1着9ワールドエース 1:47.013.611.611.812.549.513.011.511.310.810.957.55.35.6
2着4ヒストリカル 1:47.213.611.711.912.749.912.911.611.210.710.957.35.35.6
3着13ベールドインパクト 1:47.713.111.711.812.549.112.711.611.511.311.558.65.65.9
4着8ジャスタウェイ 1:47.913.211.511.812.549.013.011.711.411.311.558.95.65.9


Mahmoud計測RL1:47.012.911.511.912.548.812.911.611.611.210.958.2



公式RL1:47.013.111.511.912.549.012.711.611.311.311.158.0



2012/02/12 共同通信杯(G3) 東京1800m △0.3
着順馬番馬名タイム200400600800前4F10001200140016001800後5F1700Goal
1着3ゴールドシップ 1:48.313.311.812.712.750.512.412.111.111.011.257.85.55.7
2着2ディープブリランテ 1:48.613.011.812.512.850.112.512.111.011.111.858.55.86.0
3着8スピルバーグ 1:48.613.611.912.712.750.912.512.011.011.011.257.75.65.6
5着9コスモオオゾラ 1:48.913.211.912.712.650.412.512.011.111.211.758.55.76.0


Mahmoud計測RL1:48.313.011.812.512.850.112.512.111.011.111.558.2



公式RL1:48.312.911.912.512.850.112.512.110.911.011.758.2



2012/03/04 弥生賞(G2) 中山2000m +0.8
着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F1900Goal
1着5コスモオオゾラ2:03.912.811.312.513.513.663.713.012.211.811.511.760.25.76.0
2着2トリップ2:04.112.411.412.613.513.663.513.012.311.811.412.160.65.96.2
6着8フェノーメノ2:04.312.711.712.513.513.664.013.112.311.711.811.460.35.65.8
12着13クラレント2:04.713.311.712.413.413.664.413.012.211.511.612.060.35.86.2


Mahmoud計測RL2:03.912.411.112.713.413.563.113.112.311.911.611.960.8



公式RL2:03.912.511.012.713.513.463.113.112.311.911.512.060.8



2012/03/17 若葉S 阪神2000m +2.1
着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F1900Goal
1着11ワールドエース2:04.413.812.112.912.912.564.212.812.111.711.612.060.25.86.2


Mahmoud計測RL2:04.412.612.112.612.812.862.912.812.312.211.912.361.5



公式RL2:04.412.611.813.112.712.863.012.712.311.911.912.661.4



2012/03/18 スプリングS(G1) 中山1800m +2.2
着順馬番馬名タイム200400600800前4F10001200140016001800後5F1700Goal
1着14グランデッツァ1:50.713.512.212.812.651.112.111.811.611.912.259.65.96.3
2着9ディープブリランテ1:50.913.312.112.912.550.812.211.911.711.712.660.16.16.5
6着1モンストール1:52.014.011.913.212.451.512.312.111.611.812.760.56.26.5
10着13ゼロス1:52.613.312.012.412.550.212.112.112.112.513.662.46.67.0
12着11アルフレード1:52.813.512.313.012.651.412.111.811.812.513.261.46.46.8


Mahmoud計測RL1:50.713.012.012.512.449.912.212.212.211.812.460.8



公式RL1:50.712.912.112.512.449.912.212.212.211.812.460.8



次のエントリーに続きます。

2012 日本ダービー 参考レースラップ 2/2

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2012/03/24 毎日杯(G3) 阪神1800m +2.6

着順馬番馬名タイム200400600800前4F10001200140016001800後5F1700Goal
1着6ヒストリカル1:49.613.111.612.412.549.612.512.112.011.511.960.05.86.1
3着4スピルバーグ1:49.813.411.612.112.549.612.512.011.811.712.260.26.06.2


Mahmoud計測RL1:49.612.711.211.912.648.412.912.311.811.812.461.2



公式RL1:49.612.911.211.712.948.712.612.312.011.312.760.9



2012/04/15 皐月賞(G1) 中山2000m +0.7
着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F1900Goal
1着14ゴールドシップ 2:01.313.811.812.612.612.463.211.611.411.211.712.258.15.96.3
2着9ワールドエース 2:01.713.811.612.612.612.463.011.711.711.911.611.858.75.86.0
3着6ディープブリランテ 2:01.812.711.512.512.412.261.311.711.912.412.112.460.56.16.3
4着15コスモオオゾラ 2:01.812.611.712.512.612.161.511.811.812.412.112.260.36.06.2
5着18グランデッツァ2:02.013.611.512.712.612.362.711.711.911.911.612.259.36.06.2
7着7ベールドインパクト2:02.112.811.712.812.512.362.112.011.512.112.012.460.06.16.3
9着1モンストール2:02.212.911.612.512.212.561.712.211.612.212.012.560.56.16.4
12着3トリップ2:02.412.811.612.612.412.161.511.911.712.412.212.760.96.16.6
17着16ゼロス2:03.512.311.412.011.911.559.111.612.212.613.814.264.46.97.3


Mahmoud計測RL2:01.312.311.312.012.011.559.111.612.212.613.612.262.2



公式RL2:01.312.411.112.311.911.459.111.612.212.713.612.162.2


2012 皐月賞 回顧
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-11228251186.html



2012/04/28 青葉賞(G2) 東京2400m △0.5
着順馬番馬名タイム200400600800100012001400前7F16001800200022002400後5F2300Goal
1着7フェノーメノ2:25.713.111.311.813.012.612.812.887.412.311.911.211.311.658.35.75.9
2着12エタンダール2:26.112.911.211.813.112.612.712.987.212.211.911.511.411.958.95.76.2


Mahmoud計測RL2:25.712.510.811.813.012.812.712.686.212.512.111.811.511.659.5



公式RL2:25.712.310.812.012.912.912.812.586.212.512.111.611.212.159.5



2012/05/05 京都新聞杯(G2) 京都2200m △1.9
着順馬番馬名タイム20040060080010001200前6F14001600180020002200後5F2100Goal
1着2トーセンホマレボシ2:10.012.310.811.311.812.112.771.012.511.811.411.511.859.05.86.0
2着10ベールドインパクト2:10.412.811.111.611.611.912.471.412.711.611.511.411.859.05.86.0


Mahmoud計測RL2:10.012.110.811.211.812.112.870.812.511.911.511.511.859.2



公式RL2:10.012.210.611.411.712.112.870.812.511.911.311.512.059.2



2012/05/05 プリンシパルS 東京2000m △0.4
着順馬番馬名タイム2004006008001000前5F12001400160018002000後5F1900Goal
1着8スピルバーグ2:00.914.011.811.612.112.862.312.412.211.611.211.258.65.55.7


Mahmoud計測RL2:00.912.911.211.512.112.960.612.612.811.711.511.760.3



公式RL2:00.912.911.211.512.212.860.612.612.811.611.411.960.3



2012/05/06 NHKマイルカップ(G1) 東京芝1600m +0.6
着順馬番馬名タイム200400600前3F8001000120014001600後5F1500Goal
2着17アルフレード1:35.112.311.211.935.412.312.511.611.411.959.75.86.1
3着12クラレント1:35.112.711.411.936.012.212.511.411.211.859.15.86.0
6着14ジャスタウェイ1:35.313.411.411.836.612.012.511.511.311.458.75.65.8
10着10ブライトライン1:35.613.811.711.737.211.712.311.411.211.858.45.86.0
16着4モンストール1:36.712.711.112.035.812.212.711.611.612.860.96.46.4


Mahmoud計測RL1:34.512.011.112.035.112.212.611.611.311.759.4



公式RL1:34.512.111.012.035.112.212.611.611.311.759.4




スピード指数出馬表も貼っておきます。

$上がり3Fのラップタイム検証

今回はコメントを即公開される設定にしました。当方は基本的にリプライしませんので、お互い節度を持ってあ~だのこ~だのとやってもらえば良いです。みなさんの意見を是非参考にしたいと思っております。

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2012 日本ダービー 回顧

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個人的にはレースリプレイを見る度に新しい発見があるというか、非常に興味深い今年のダービーだったと思います。ただ、レース結果においては納得がいかない方が多かったのではないでしょうか。では全頭レースラップとMultivision動画をどうぞ。ラップ表には参考として前週のオークスのラップも載せておきます。

着順馬番馬名タイム20040060080010001200前6F140016001800200022002400後6F2300Goal
1着10ディープブリランテ 2:23.812.911.212.112.112.012.372.612.812.311.610.811.512.271.26.06.2
2着11フェノーメノ 2:23.813.211.412.012.212.012.473.212.612.411.710.611.411.970.65.86.1
3着14トーセンホマレボシ 2:23.912.911.011.911.811.811.971.312.112.212.211.612.312.272.66.06.2
4着8ワールドエース 2:24.013.511.512.312.411.812.373.812.712.111.610.911.411.570.25.75.8
5着6ゴールドシップ 2:24.013.411.812.312.511.812.274.012.711.911.610.811.411.670.05.75.9
6着7コスモオオゾラ 2:24.113.111.512.112.412.012.473.512.712.211.510.811.711.770.65.85.9
7着12トリップ 2:24.313.011.312.212.112.112.373.012.812.211.610.911.512.371.36.06.3
8着9エタンダール 2:24.413.311.512.312.511.912.473.912.812.011.710.811.311.970.55.86.1
9着5ベールドインパクト 2:24.413.411.512.312.711.912.374.112.811.911.710.911.211.870.35.76.1
10着17グランデッツァ 2:24.613.011.312.112.211.912.372.812.812.411.610.711.712.671.86.26.4
11着4ジャスタウェイ 2:24.814.112.212.212.211.812.174.612.612.011.510.811.411.970.25.86.1
12着16モンストール 2:25.013.611.812.412.611.912.474.712.512.011.411.011.412.070.35.86.2
13着18アルフレード 2:25.113.511.912.112.612.012.274.312.612.011.510.811.712.270.85.96.3
14着1スピルバーグ 2:25.414.712.212.312.512.212.176.012.211.711.110.811.512.169.45.86.3
15着13クラレント 2:25.613.011.112.012.111.912.372.412.712.511.711.112.213.073.26.36.7
16着3ゼロス 2:25.812.811.011.811.711.811.770.812.212.412.311.812.913.475.06.66.8
17着15ブライトライン 2:26.013.311.412.212.412.012.373.612.712.111.711.111.713.172.46.36.8
18着2ヒストリカル 2:26.713.912.212.412.712.012.375.512.412.011.111.011.812.971.26.36.6


Mahmoud計測RL2:23.812.811.011.811.711.811.770.812.212.412.311.712.212.273.0



公式RL2:23.812.810.812.011.711.811.770.812.212.412.311.712.012.473.0

参考Oaksジェンティルドンナ2:23.613.311.311.912.312.012.273.012.112.511.811.611.111.570.65.65.9
参考OaksMahmoud計測RL2:23.612.611.011.512.012.011.870.912.612.212.212.411.811.572.7





特徴的なのはラスト3F目がやけに速いところ。もともとCコース開催だとこの部分が速い傾向にあったのですが(何かがアヤシイかも)、このダービーはとりわけ速いです。ハロン棒の位置が合っているかどうか、昨年のダービーやジャパンカップの映像と比べたりもしましたが、さすがに違いはなさそうですね。一気に速いラップへ押し上げられるほどに余力があったのと、風の影響も大きかったんじゃないかと思います。Twitterでその旨を教えて下さる方がいらっしゃいましたし。まあ、それまでの道中はさておき、この区間で各馬最速ラップを叩き出したのは傾向としては悪くないですね。先日も紹介しましたが、出し惜しみしない末脚の使い方の典型例として、So You Thinkが2010年のCox Plateを勝った時のラップを紹介しておきます。

http://www.racingnetwork.com.au/tatts-cox-plate/tabid/87/date/2010-10-23/race/8/trackid/33/default.aspx

では、レースの序盤から見ていきますが、思い付くまま書いていきますのでご容赦ください。

コメント欄で少し書いてみましたが、ゼロスは今回できる限りペースを落として逃げるつもりだったと思います。しかし背後にいるであろうトーセンホマレボシがそれを許さないだろうとも思いました。実際、テンの1F目は12.8程度。助走距離はキッチリ取られていましたからこの12.8は遅い部類ですね。映像からもわかるように川田騎手は溜め逃げ気味で1コーナーに入って行ったと思われます。

大きく離れた後方3頭を除くと、前半2F地点ではゼロスと15番手との差はおよそ1.6秒。前半3F地点では2.2秒差。ここから1F12秒台へペースを落として行くと思いましたが、トーセンホマレボシのプレッシャーが大きかったのか、その後もペースが落ちる気配はありませんでした。2コーナーを回り切る直前の前半4F地点では、前述の差は結局3.1秒。タイトな馬群でレースが進みそうと思ったのも束の間、バックストレッチに入る頃は縦長の隊列となってしまいました。

前半5Fまでのラップを見ると騎手の心理が良くわかります。エタンダール、ワールドエースの鞍上は2コーナーで前方の動向を無視して折り合いありき的にペースをグッと落としています。そして間隔が空いたのを危惧してか慌てるように前との差を詰めています。3コーナー手前で全体のペースが落ち着くまでのこの区間、かなりギクシャクしたペース配分と言えるでしょう。レースの流れに乗れていない典型的な例ですね。もしワールドエースの末脚の伸びが物足らないのを是とするならば、その原因はココに求められるんじゃないかと思います。またゴールドシップもその2頭による被害者と言えるかもしれません。

一方、折り合いに難があるディープブリランテはこのペースの恩恵が大きかったですね。勿論1コーナーに入る段階で最内のポケットに入れた事も勝因の一つですが、上げ下げの少ないペースで中間点まで走れた事が一番の勝因だったかと私は思います。3コーナー手前ではごく自然体で12.8までペースダウンできています。ディープブリランテは6戦目にして初めて気持ち良く走っていたんじゃないでしょうか。

2着のフェノーメノも実にスムーズに追走していますね。ワールドエース、ゴールドシップとの違いは歴然。惜しむらくは3コーナーで前が詰まってやや外目を回る形になった点でしょうか。最終的にハナ差だっただけに、少し運が向かなかったですね。

さて、3コーナー序盤にある残り1000m、つまり前半1400mの通過タイムですが、先頭のゼロスは対オークスで0.5秒速いラップで通過しました。このダービーウイークも高速馬場には違いないのですが、前週オークス時と比べると高速度合いは少し落ち着いていたはずです。私の計算上、2400mで前週比約0.7秒遅い馬場といったところでした。したがってトーセンホマレボシ共々、ゼロスが刻んだペースはかなりキツいモノでしたが、4番手追走のディープブリランテの前半1400m通過は1:25.4。その地点を14番手で通過したオークス覇者ジェンティルドンナより0.3秒遅いタイムでした。馬場差を考えれば若干ディープブリランテの方が速いのですが、大体同じペースと見てOKなわけです。つまり、出走馬全体を見渡せば、オークスよりヌルいペースでレースを進めた馬が非常に多かったわけですね。ココは結構重要なポイント。ゼロスおよびトーセンホマレボシが引っ張ったペースだけで今回のダービーを見てはいけません。およそ3分の2の馬はラップ配分がスローの範疇だったという点を踏まえておくべきでしょう。ついでに言っておくと、すぐ前の馬との間隔を空けるというのは、ほぼ100%騎手の意思であることも踏まえておきましょう。

さて、残り4Fを過ぎた辺りからトーセンホマレボシ鞍上のC.ウィリアムズ騎手が肩ムチを入れながらゼロスを追っかけ始めたのは、正直逆の意味で「志村、後ろ後ろ!」みたいに思ってしまいました。正直言いまして、私はトーセンホマレボシが勝つのはほぼ間違いないと思っておりました。なので後続とのマージンが大きいのに「何でココで仕掛けるんやー!!!」と絶叫状態。

とはいえ、レースが終わった今つくづく思うのですが、前に居る馬を追っかけるのは競馬の基本的な事だと思うんですよ。前述の通り、自分の脚元ばかり見てムダに間隔を空けて走らせる騎手達と比べ、このC.ウィリアムズ騎手は戦っている土俵がまるで違いますよね。もっとゼロスを可愛がるようにスパートしてくれたら勝っていたんだろうなと心の中では思っていますが、この積極的な姿勢は責められません。ちなみにレース直前に自分でコメントしたのはこんな文章でした。

「心情的には是非ワールドエースに勝って欲しいですが、レースのあり方について考えさせられるレースとなるのも期待していたり・・・」

まあ、それまでのレースぶりから急変させるのは難しいですから今回のレース内容は間違いじゃないと思いますが、ここまでに至るプロセスが「ホントにそれで良かったのか?」というキッカケとなるレースとなっても良いんじゃないかと、結構真剣に考えていました。競馬ファンが呆れ出さないうちに・・・。

ワールドエースは前走皐月賞より私の指数上パフォーマンスは上がっています。上がりのレベルがやや落ちたものの追走レベルが遥かに高くなっています。これでやっとG1らしいレースぶりに近づいたと思うのですが、それまでの5走があまりにも行かなさ過ぎだったので、経験が無いペースで走ればジョッキー談話通り末脚のキレが感じられなくても当然でしょう。

細かく見ていくと1コーナーに入った頃、鞍上が少し手綱をしごいていました。後方のままではいけない、という心理の表れだと思いますが、前半2Fを過ぎた辺りで鞍上は「ここがペースの落とし処」って思ったんでしょう。いつも通りガチっと手綱を抑える形。今まで散々行ってきた教育の賜物か、ワールドエースは2コーナーをゆっくり回って行きました。で、前述の通りバックストレッチに入る辺り(前半4F地点)で前と差が開いてしまいました。結局1F0.6秒ペースを上げて前に取り付いたのですが、何というか、詰まる所この鞍上はワールドエースと戦っているだけで、他馬と戦う意識が非常に少ないんでしょうね。ハッキリ言ってしまえば競馬の体をなしていないと思うんですよ。

上がりのラップを見れば一目瞭然なのですが、やはりワールドエースはライバル馬と比較すれば脚が上がらない傾向が非常に強いんですね。カミソリのキレ味で勝負するのではなく鉈のキレ味で勝負できるタイプだと思います。でも2戦目若駒Sのように、この陣営はカミソリのキレを選択してしまった。それは如何なモノか、というのが私がずっと抱いてきた見解です。

まあ、相当な期待を持っていたであろう馬主サイドの立場になって考えると、このクラシック戦線での結果は実にやるせないモノだったんじゃないでしょうか。その期待度の高さからすると今後は鞍上交代や転厩といったケースがあり得るように思います。レース後に球節を痛めたとの報道があったので復帰時期がどうなるか心配ではありますが、この馬はとっとと欧州に連れていけば相当な活躍が見込めると思います。

皐月賞馬ゴールドシップですが、ズブいところが致命傷になったと言えるレース内容だったと思います。ワールドエースの2コーナーのペースダウンに付き合わされたのが非常に痛かった。こちらは前の馬に付いていただけで意識的に下げたわけではなかったのですが、さすがにワールドエースをこの地点で交わして行くのはちょっと無理がありますね。ただ、ココでワールドエースを交わしていかないと勝機はなかったと思います。イメージとしては4番ジャスタウェイのようなラップを刻んで行かないと苦しかったでしょう。

ディープブリランテは1F毎に0.7秒づつラップダウンしていきましたが、これで勝ち切る辺り、秘めていた実力が相当高かったのをしっかりと証明したと思います。以前同馬のエントリーを起こしましたが、この勝利はスタミナ力がモノをいったという内容であり、血統背景に似合ったレースをした賜物だと思います。父ディープインパクトの幻影に惑わされることなく育て上げたのも大きな勝因の一つでしょう。どこぞの陣営とは違って。さて今後はどんな路線を歩んで行くのでしょうか。個人的には菊花賞をどう戦うのか、そんな姿を見てみたいですね。

そうそう、おもしろいラップと言えばトーセンホマレボシがディープブリランテに交わされてから再加速していた点ですね。ゼロスを交わして馬自身が緩めてしまったんでしょうか。ですから所謂「ソラを使った」典型例かもしれません。ラップを調べればソラを使った証拠などほとんど出てこないのですが、今回は違いますね。3着ですが内容的にはフェノーメノ以上の評価をしたいと思います。

まあ1~5着の5頭は、ちょっとしたアヤで着順が入れ替わる程度の差しかないでしょう。いくらでもタラレバを言って良いレースだったと思います。

次にはどうでもいい事ではありますが後方を進んだ2頭について触れておきましょう。

大きく体重を減らしたヒストリカルですが、勝ち負けできる状態でなかったにせよ、あるいは一発狙う立場の馬であったにせよ、ラップ的に言えばあの1、2コーナーの走らせ方はあきません。鞍上がガチっと抑えていましたが、これじゃレースになりません。曲がりなりにも残り4Fから11秒のラップを踏めているのですから、全く走れなかったわけではありませんね。一発狙うのが見え見えのジャスタウェイが2コーナーで見切って交わしていきましたが、あの2コーナーの抑え込みは酷過ぎます。アンカツさんが良くやる作戦ではありますが今回のは論外。馬の状態を免罪符にする以前の問題でしょう。

もう1頭スピルバーグですが、こちらは大きく煽ってゲートを出てしまいました。もうダメ元で走らせるしかなかったと思いますが、その後のラップ推移を見ればわかる通り、ほぼ一定のペースを保ちながら早目のスパート。もう絶望的な位置ですから何も光明は見い出せませんが、それなりにレースをしていたと言えそうに思います。この鞍上が前週のオークスで物議を醸したようですが、そのココロチラリの残り3Fまでのラップは次の通り。

14.6 - 12.2 - 12.2 - 11.8 - 11.9 - 12.1 - 12.0 - 12.0 - 11.9

スピルバーグと良く似ているでしょう。 サンスポかギャロップの記者さんだったと思いますが、このようなラップを見てもう一度良く考えてから、この鞍上の馬券を買うか買わないか決められたら良いかと思います。というか、モノ申す為のターゲットは違うレースなんですよ。

最後になりますが、レース後3頭ほど故障が判明したそうです。高速馬場の弊害という意見がまた出てくるかもしれませんが、馬の故障についてちょっと書いておきます。

学生時代に部活等でスポーツをガンガンやってこられた方は実感としてあるでしょうが、そもそも試合時の肉体的負荷って、厳しい練習時より少ないケースが多いんですよね。しかし競走馬は違います。実際のレース以上の負荷を掛けた調教なんてそうそう出来るわけありません。したがって、ただでさえレース時に大きく肉体的負荷が掛かるのはしょうがない部分があって、レース中の故障というのは防ぎようのない領域があると思うんですよね。で、そんな領域をも逸脱するくらい高速馬場時の故障が多いのかどうか、その辺りを良く踏まえた上で議論すべきだと思います。とにかく馬場については香港シャティン競馬場と比較される事を熱望します。走破時計やラップをキッチリ調べた上で、香港競馬の故障事情と照らし合わせて行けば何らかの相関性が見えてくるのではないでしょうか。

今回はこのあたりで。

2012 安田記念 出馬表

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香港馬が参戦するので参考エントリーを起こそうと思っていましたが、時間が無くて断念します。ですがスピード指数出馬表と最高指数表をアップしておきます。私はおそらくグロリアスデイズ本命の予定ですが、馬場状態がちょっと心配。

$上がり3Fのラップタイム検証


$上がり3Fのラップタイム検証

2012 安田記念 回顧

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安田記念の全頭ラップといつもの動画をご覧ください。

着順馬番馬名タイム200400600800前4F1000120014001600後4F1500Goal
1着4ストロングリターン 1:31.312.711.011.311.446.411.110.911.311.644.95.75.9
2着3グランプリボス 1:31.312.610.911.411.446.311.111.011.311.645.05.75.9
3着8コスモセンサー 1:31.612.211.011.211.245.611.211.211.612.046.05.96.1
4着1ダノンヨーヨー 1:31.712.911.111.211.446.611.211.111.311.545.15.75.8
5着2ガルボ 1:31.812.510.811.511.346.111.111.111.611.945.75.96.0
6着15リアルインパクト 1:31.912.410.611.011.145.111.411.311.812.346.86.16.2
7着9フィフスペトル 1:32.013.011.111.111.546.711.310.911.411.745.35.85.9
8着6スマイルジャック 1:32.013.311.211.111.447.011.310.711.111.945.05.86.1
9着7サダムパテック 1:32.012.410.911.411.446.111.111.211.711.945.95.96.0
10着12ドナウブルー 1:32.112.410.811.111.345.611.311.411.712.146.56.06.1
11着5ラッキーナイン 1:32.112.410.911.311.245.811.211.111.812.246.36.06.2
12着13シルポート 1:32.212.210.710.911.144.911.411.511.912.547.36.26.3
13着16ローズキングダム 1:32.213.011.111.311.446.811.211.011.511.745.45.85.9
14着14グロリアスデイズ 1:32.412.711.011.411.446.511.311.011.612.045.95.96.1
15着11エイシンアポロン 1:32.612.410.711.011.245.311.311.411.912.747.36.26.5
16着10アパパネ 1:32.612.511.011.311.446.211.111.211.812.346.46.06.3
17着17マルセリーナ 1:33.112.710.911.311.546.411.211.311.812.446.76.06.4
18着18ペルーサ 1:33.312.510.811.211.345.811.311.612.112.547.56.26.3


Mahmoud計測RL1:31.312.210.710.911.144.911.411.511.811.746.4



公式RL1:31.312.210.710.911.144.911.411.311.811.946.4





回顧エントリーを起こす気はなかったのですが、急に毒を吐きたくなったのでズラズラ書いていきます。ネガティヴな話を読みたくない方はご遠慮ください。


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まず最初は褒める事を少しだけ。今回の上位2頭、および2人のジョッキーは大変素晴らしいレースを見せてくれました。ここ数年の安田記念はいつもレベルの高いレースが続いていましたが、今年も高レベルのガチンコレースでした。キャリアの浅い香港馬グロリアスデイズなら一角崩しもあるかと思いましたが、ラッキーナイン含めてまるで歯が立たず。この舞台なら外国馬を恐れる事など必要ない状態が続いています。安田記念は一気に賞金を上げて外国の有名処を引っ張ってこれるレースに是非してもらいたいですね。

さて、とうとうレコードが出てまたもや高速馬場が問題となったようです。速いスピードが出ると肉体的負荷が大きくなるとは思うのですが、果して一気に故障に繋がる程の影響があるのでしょうか。今回1Fの最速ラップは10.6でしたが、これ以上のラップを刻むレースは山ほどあります。また、レーススピードより遥かに遅い調教時でも骨折してしまう馬が居ます。ダービー回顧の最後の方で少し触れましたが、競馬の特性上、予測不能なアクシデントはどうしても発生してしまう物です。

で、高速馬場を考える際には外国の例と比べる必要があるわけですが、耳にタコが出来るくらい当blogで計時方法の違いを書いてきましたから、香港シャティン競馬場と走破タイムに大差ないのは分かっておられると思います。今回はもう一つ参考例を上げておきましょう。下記リンク先をご覧ください。

http://www.racingpost.com/horses2/results/home.sd?r_date=2012-06-02#17


Camelotが英国ダービーを圧勝した日のEpsom競馬場のResultです。注目は4、7Rの勝ちタイムです。1.3秒程マイナスすれば日本流の走破タイムになりますし、ここはメートルではなくハロンで距離が測られていますから、4Rの5F戦は日本流換算値で52.1程度となりますね。カルストンライトオの日本レコードより1秒以上も速いのです。7Rの6F戦も日本流換算値で1:06.0程度。これまた日本レコードより速いのです。何とあの歴史あるEpsom競馬場が日本より高速馬場と言える結果が出ているのです。みなさん、どう思いますか?

まあ直線5F戦は大部分が下り坂という状況だからこそなんですが、馬が走るスピードそのものは紛れもなく日本以上なのです。本当に高速馬場=故障多し、とハッキリ言えるのであれば英国でも大騒ぎになっているはずだと思うのです。本当に日本だけが特殊なのか、その辺りを良く考慮した上で「高速馬場ガー」って言ってもらいたいですね。

そういえばグリーンチャンネルで耳にしたのですが、当日の解説者(何処のどなたか存じ上げませんが)が「1分32秒台に突入するでしょうね」なんて語っていたように思います。それと連動したのかはわかりませんが、実況では「驚くべきレコード」というフレーズが。これも如何に高速馬場であったかと煽る要因になったかのように思え、ちょっと「おいおい」ってなもんです。そもそも香港公式サイトやRacing Post等で見られるStandard TimeというモノがJRAで発表されていないのが問題ではあるのですが、1分31秒台突入がまるで予測できない解説者って一体・・・。マトモな人をグリーンチャンネルは呼べないのですかねえ。

まあ高速馬場であるが故に前が止まらない、っていう側面とかは分からなくもないのですが、そんな部分については2年前にこんなエントリーを起こしています。まだ読んだことのない方はご覧になって頂ければ。

口アングリー by Mahmoud
http://ameblo.jp/mahmoud1933/entry-10565648528.html

ダービーに引き続き今回の安田記念も後半はラスト3F目で各馬最速ラップをマークしています。最近何度も書いているフレーズである”So You Think型”ラップでした。したがって見応えのあるレースとなったわけですね。ちなみに件のエントリーに於いて疑似餌で釣ろうとしたのですが、残念ながらパクッと喰い付いてはくれませんでした。結局私が音を上げて竿を上げてしまいましたが(独り言・・・


次はその昔、煌びやかなスポットライトを浴びていた5歳馬について書きましょう。

まずはペルーサ。直前追い切りの様子はさぞかし酷かったですね。アンカツさんが乗ってムチを入れてもあの程度の反応でしたから好走を望むのは難しい状態だったと思います。まあ状態の話はさておき、昨年の天皇賞・秋の回顧で「マイル参戦はどう?」と書いたように、マイル戦での走りを見てみたい1頭でした。大雑把に言えば、イーブンペースで走り抜くセンスの良さがありましたから、安田記念なんか結構合う舞台かなあという見立てでした。

しかし、実際のレースではラップを見ればわかる通りテンでかなり行かせました。追い切りの動き的に勝算など無いという手応えがあった故か、調教代わりの意味合いだったのかもしれませんが、ペルーサの過去の走りの内容からすれば、こんなレースをさせては良さは全く生きません。前走白富士Sとは間隔が空いたもののまるで正反対のレース。ちなみにその白富士Sのラップは次の通り。

14.1 - 12.5 - 12.0 - 12.1 - 12.1 - 11.7 - 11.5 - 11.1 - 11.2 - 11.4 [ 5.6 - 5.8 ]

そりゃ4角でバテますわな。まあ言いたい事は百戦錬磨のアンカツさんであっても、良い塩梅で行き過ぎない程度のペースで走らせるなんてムリなんだろう、って事です。まあ、どうせ負けるにしてもレースに参加しているという意味に於いては、ダービーでのヒストリカルより遥かにいいですよね。尤も個人的には今回は暴走以外何物でもないと思いますけどね。こんな事やりたいのならG1以外のオープン特別等のレースでやれよと。

次はローズキングダムですが、こちらは後方を進んだとはいえガチンコマイル戦だとこれくらいのハイラップになるわけです。前走との比較ではペルーサ以上の落差があります。天皇賞・春の回顧で書いたようにこの臨戦過程は如何なモノかと。超スローの3200m戦を最後方からレースを進めた次走で、激流が当然であるマイルG1戦で即対応できるのなら、今頃ローズキングダムはG1を10個くらい獲っているでしょうね。つくづくこのトレーナーの大胆さには驚かされますよ。

朝日杯FSを勝っているだけにマイル戦を使って欲しいとの声は多かったようです。しかし以前何度も触れましたがこの朝日杯FSは如何にも2歳戦というべき内容であり、マイラー適性が高いから勝てたとは決して言えません。今回の安田記念との指数差は21。時計にして2.1秒も違うのです。その2歳暮れの時点から時計を2秒詰められるくらいの成長を見せないと通用しないわけで、その成長がマイラーとしての形なのか長距離ホースとしての形なのか、大きな違いがあると私は思います。現に同じ朝日杯FSに出ていたエイシンアポロンやガルボの最長距離経験は2000m。歩んできた路線はまるで違います。今回エイシンアポロンは惨敗しましたが昨年のマイルチャンピオンシップの覇者。ガルボはこの安田記念で掲示板に載りました。距離適性を考える時、こんな見方も必要ではないかと思います。

ナリタブライアンやグラスワンダーは古馬G1に匹敵するレベルで朝日杯FSを勝ちました。こういった馬なら距離不問的な挑戦をするのは一理あります。ですが都落ちでの挑戦はロクな事がありません。また、過去にローズキングダムを血統的見地から中長距離適性があると持ち上げておきながら、この安田記念出走にあたってマイル適性も十分ある等というのは、後付け論も甚だしいです。勿論競走馬の実際のパフォーマンスを振り返って再考するのは当たり前なんですけど、血統でメシを喰うのならそれはないだろうと。ちったあ過去の分析に責任を持てよと。

今回の勝ちタイム1:31.3というのは、単純に割れば1F平均11.41秒です。脅威のレコードタイムとなった昨年の天皇賞・秋は1F平均11.61秒、2400mの日本レコードは1F平均11.84秒。距離適性というのはこの巡航速度の違いでも表現できるわけで、常にマイル路線で戦ってきた馬達に2000m以上のレースを主としてきた馬が挑むのは高い壁があって当然、ましてやこの2頭は前走おそろしく遅いペースで走っていたので尚更の事でしょう。まあラップをシビアに見ている方なら、こんな話は私ごときが言うまでもない事ですから、重い印を打つ事はなかったはずでしょう。そもそも昨年の天皇賞・秋の次走でマイルチャンピオンシップを選べばよかったのにね。この2頭のこんな惨めなレースっぷりを見るのはホント耐えがたいのです・・・。

では、また逢う日まで。

2012年6月10日3回東京4日目8Rの審議について

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大きな問題となっている2012年6月10日3回東京4日目8Rについてちょっと触れておきます。参考動画はコチラ。



※2012/06/12 23:20追記


上位3頭の上がり3Fはこんな感じのラップ構成だと思います。

1着14番ファイナルフォーム
33.9 : 11.20 - 11.15 - 11.55 [ 5.60 - 5.95 ]

2着09番ヒラボクインパクト
34.5 : 11.50 - 11.30 - 11.70 [ 5.70 - 6.00 ]

3着15番ランパスインベガス
33.9 : 11.30 - 11.20 - 11.40 [ 5.57 - 5.83 ]

各馬余力を溜め込んでいた関係上、ラスト100mまで長く速い脚が使えています。まあ、上記のラップタイム上からはランパスインベガスが受けた不利がどの程度だったか、さっぱりわかりませんが、各ポイントで他馬との差を画像で見ていきましょう。


$上がり3Fのラップタイム検証

$上がり3Fのラップタイム検証


$上がり3Fのラップタイム検証
まずは残り200m地点。ヒラボクインパクト[0.04]ファイナルフォーム[0.34]ランパスインベガスといった間隔で通過したようです。



$上がり3Fのラップタイム検証

$上がり3Fのラップタイム検証


$上がり3Fのラップタイム検証
残り100m地点。ここでの間隔はファイナルフォーム[0.07]ヒラボクインパクト[0.20]ランパスインベガスといったところでしょうか。


$上がり3Fのラップタイム検証
およそ残り50m地点の画像。

何とかファイナルフォームに喰い下がろうとしていたヒラボクインパクトがバテ始めます。ファイナルフォームとの差は残り100m地点より広がりました。と同時にランパスインベガスはかなり差を詰めて来ました。ヒラボクインパクトをあと少しで捉える勢いがあり、ファイナルフォームとの差も少し縮まっています。ファイナルフォームとランパスインベガスとの差は0.23秒。

押さえておきたいポイントとして、この3頭の中ではランパスインベガスがスパートのタイミングを一番遅らせていたという点があります。残り400mを過ぎてからファイナルフォームの外へ進路を取りに動いており、全開で追われ始めたのは残り300m辺り。ラスト200mはまだまだ余力を持って走る事が可能な状態だったかと思われます。


$上がり3Fのラップタイム検証
一つ前の画像から1.3秒後。ランパスインベガスがヒラボクインパクトを捉えた瞬間と言っていいかと思います。前を行くファイナルフォームをも捉えられるかもしれない程の勢いがあります。ファイナルフォームとランパスインベガスとの差は0.20秒。


$上がり3Fのラップタイム検証
ランパスインベガス鞍上の松岡騎手が危険を感じ回避行動を起こした瞬間くらいでしょうか。立ち上がり気味になっていますね。この地点でファイナルフォームとヒラボクインパクトとの差は0.20秒。残り100m地点と比べると0.13秒開きました。このまま普通に行けばゴール地点では0.3秒くらいの差となりそうです。



$上がり3Fのラップタイム検証
ゴールインまで残り1秒の地点です。ファイナルフォームの後肢とランパスインベガスの前肢がクロスしています。松岡騎手はまさに急ブレーキを掛けた状態。ファイナルフォームとランパスインベガスとの差は0.15秒で、ここからゴールまで2頭の差はほぼ一定間隔となります。



$上がり3Fのラップタイム検証
ファイナルフォームがゴールイン。


$上がり3Fのラップタイム検証
ランパスインベガスがゴールイン。

ではファイナルフォームとランパスインベガスとの関係性について私の見解を書いておきます。もしファイナルフォームが外にヨレなければランパスインベガスは結構差を詰めたね、という結論だけの話なのですが、今回の事象はファイナルフォームがヨレた事ありきで考えなければなりません。結局この2頭の差は約0.15秒。ランパスインベガスが進路を邪魔されず0.15秒速く走れていたのなら、つまり上記のラスト200mのラップが[ 5.57 - 5.68 ]だったのなら際どい勝負となります。これ、十分可能性があったのではないかと私は思ったのです。残り50mから不利を受けるまでの差の推移を見る限り、また、バテ始めたヒラボクインパクトはファイナルフォームとの差が一旦0.2秒開いたにもかかわらず、ゴール地点では0.1秒差まで縮まった事を踏まえると、ランパスインベガスは不利を受けたラスト1.4秒の間にファイナルフォームとの0.15秒差を縮め、少なくとも写真判定に持ち込めるまでにはなったのではないかと。

したがって、JRAの採決委員による「決勝戦手前で2、3完歩分スピードが緩んだ事は、致命的な不利ではない」という見解は実に浅はかだと思います。ランパスインベガスが受けた不利は、加害馬ファイナルフォームと着順が入れ替わる可能性をも含んだ甚大なモノだったと私は結論付けます。ファイナルフォームが自身より遥かに脚色の良いランパスインベガスをブロックする形となった典型的な走行妨害に他なりません。JRAの審議基準通り、ヒラボクインパクトとの後先を無視しても、このような見解が成り立つと思います。

最後になりますが、小島茂之調教師のblogを皆さんご覧になったと思います。実に心打たれる内容でしたね。採決に対する不服申し立てを行われましたが、少しでも小島茂之調教師の後押しに繋がればと思い、数字的な側面からの検証をしてみました。


2012 宝塚記念 出馬表

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スピード指数出馬表(斤量調整値)を貼っておきます。

$上がり3Fのラップタイム検証

$上がり3Fのラップタイム検証

$上がり3Fのラップタイム検証

3冠馬オルフェーヴルが復活できるのかどうかといった一戦らしいのですが、私的には強豪5歳馬との、同斤での初めてのガチンコ対決の場という見方になります。これは他の4歳勢にも言える事。彼らは上がり特化型レースばかりで好走してきたわけで、今回は時計にして2秒近く上げてこないと勝負になりませんが、対応してくる可能性があるのかどうか、そこがポイントとなりそうです。中距離戦に於けるエイシンフラッシュ、トゥザグローリー、ルーラーシップ、そしてアーネストリーといった馬達の土俵はかなり厳しい世界だと思いますがさて・・・。

2012 宝塚記念 回顧

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まずは全頭個別ラップ表と動画をご覧ください。

着順馬番馬名タイム20040060080010001200前6F14001600180020002200後5F2100Goal
1着11オルフェーヴル 2:10.913.011.411.612.212.012.172.312.111.811.811.311.658.65.66.0
2着7ルーラーシップ 2:11.213.111.011.412.212.112.272.012.111.711.811.711.959.25.96.0
3着2ショウナンマイティ 2:11.413.711.311.612.112.212.072.912.011.511.811.611.658.55.75.9
4着1ウインバリアシオン 2:11.713.411.311.612.011.912.372.511.811.611.911.812.159.25.96.2
5着4マウントシャスタ 2:11.712.611.211.612.012.112.371.812.012.011.711.812.459.95.96.5
6着6エイシンフラッシュ 2:12.512.911.211.412.312.212.372.312.011.811.911.912.660.26.16.5
7着8アーネストリー 2:13.212.611.111.612.112.112.371.812.111.712.012.313.361.46.46.9
8着10ナカヤマナイト 2:13.513.111.311.912.112.112.272.712.011.711.912.113.160.8**
9着9ビートブラック 2:13.712.511.111.512.212.112.271.612.111.912.012.713.462.1**
10着12フェデラリスト 2:14.213.111.511.612.212.112.172.612.011.712.012.113.861.6**
11着3ヒットザターゲット 2:14.413.111.011.612.212.112.172.112.211.812.212.313.862.3**
12着15トゥザグローリー 2:14.712.811.411.512.312.012.172.112.211.812.112.514.062.6**
13着13モンテクリスエス 2:14.913.611.611.712.012.211.872.911.911.412.012.614.162.0**
14着14ホエールキャプチャ 2:15.112.611.311.612.212.112.272.012.211.812.112.414.663.1**
15着5スマイルジャック 2:16.012.611.211.211.712.112.471.212.212.212.313.115.064.8**
16着16ネコパンチ 2:17.012.510.711.411.712.112.170.512.512.613.113.414.966.5**


Mahmoud計測RL2:10.912.510.711.411.712.112.170.512.512.611.911.811.660.4



公式RL2:10.912.210.911.211.912.212.170.512.512.611.611.612.160.4





今年度の上半期G1レース集の再生リストを作りましたで、よろしければどうぞ。

http://www.youtube.com/playlist?list=PL35C84D91E3250FBB&feature=view_all

今開催の阪神最終週ですが、土曜日は内回りと外回りの馬場状態に相当差がありました。これは単なる外伸びの馬場というレベルではなかったようです。マイル戦だとおよそ半分の800m程度が外回りコースの馬場を走る形になるのですが、走破タイムおよび上がりラップに大きく影響していました。馬場の荒れ具合の違いにより乾き方も違ったかのようでした。日曜日はその差が軽減され、内回りのレースだとコースロス分を承知の上で大外に持ち出すメリットはほとんど無かったと思います。芝がハゲ気味でも地盤が乾けばそれなりにスピードは出るわけで「荒れた内目の馬場をモノともせず伸びてきた」というのは誇張表現に過ぎないと思われます。走破タイム的に重い馬場という事は決してありませんが、軽いスピードが生きる馬場とはさすがに言えないのも事実だったでしょう。

レースの流れは概ね戦前予想された通りだったでしょうか。逃げたネコパンチは瞬発力が無い分テンの1Fが速くありませんが、かなり行く気にさせましたから2F目で暴走気味のラップを踏みました。一方2番手以降の馬達は2F目でネコパンチと一気に差が開いたように自重気味だったのですが、ずっとマイル戦ばかりを戦ってきたスマイルジャックは2200m戦のペースに合わせられず抑えが効きませんでした。大まかな2番手グループはそのスマイルジャックに煽られて前半が少々オーバーペース気味となり、しかも息を入れるようなタイミングも結局ないままレースが進みました。昨年は厳しい流れだったものの2コーナーにあたる4F目で各馬ペースを緩められたのですが、今年は先頭2騎を除けば1F12.3が道中の最遅ラップ。ラスト1Fで大きくラップダウンする馬が続出したのも頷ける今回の流れだったのではないでしょうか。

今回は本来のレースをして頑張るだろうと思っていたアーネストリーですが、やはりスタートダッシュは押して行きました。昨年はテンからガンガン行ったものの4~5F区間で計24.8と息を入れる形。今回はテンで無理をしなかったとはいえ緩める間がないままの追走状態。ましてやここ3走は自ら極度に緩い流れに持ち込んでいましたから、状態の問題や往年の力が無くなったという側面を踏まえなくとも、急変した追走パターンが相当応えたのかもしれません。前年の覇者が迷走状態でレースを迎え、そして本番でも惨敗する姿は見たくないモノでした。

では上位5頭について振り返ってみましょう。まずは5着のマウントシャスタ。健闘したと見るべき意見があるのでしょうが私としては斤量差的にある意味当然といった見方となります。昨年の安田記念でも同世代のトップクラスとは決して言えないリアルインパクトが制したように、4ないし5kgの斤量差の恩恵は非常に大きいと思います。よく「斤量慣れ」という言葉を耳にしますが、馬によっては60kgオーバーで調教を行っている事もあるわけで、斤量はあくまでも各馬との相対的な意味合いで考えるのが妥当だと私は考えます。また、現3歳勢は現4歳勢の1年前のレベルより高い水準のレースが多く、ダービーの上位5頭が今回の宝塚記念に出ていたら上位争いは必至だったかと思われます。

マウントシャスタは4コーナーで内から先頭に出て早目の勝負を仕掛けたように映りましたが、ほとんどの馬が仕掛け始めた3~4コーナーの直線部分では我慢して残り3Fからスパートを掛けています。ラスト100mは完全に脚が上がりましたが鞍上の好騎乗が光ったと思います。先行しつつも仕掛けを遅らせて勝負処の4コーナーで内を掬う味のある騎乗でした。

4着のウインバリアシオンの鞍上は岩田騎手でしたから、今までの同馬のレースぶりとは一味違う内容のレースを見せてくれました。3コーナーから内目を上がっていき、4コーナーで外に持ち出してルーラーシップの背後に手応え十分のまま迫った際は「この馬こんなに能力高かったのか」とビックリしてしまいました。それまでのレース内容から推測されるように、さすがに直線での伸びはありませんでしたが勝ちに行く積極的なレースをしてくれたと思います。勿論馬券に絡めなかったので天皇賞・春のようなレース内容が是とする考え方も一理ありますが、手変わりしたのはこんなレースを陣営が期待していた面があったかと思います。今後に大きく繋がるレースぶりだったでしょう。

3着のショウナイマイティはここ数戦の充実ぶりを示す好内容のレースを見せてくれました。惜しむらくは3、4コーナーの直線部分で一気に差を詰め過ぎたかなという気もしますが、その分4コーナーではしっかり脚を溜め、ゴール板まで脚を衰えさせることなくしっかりと伸びていました。4着のウインバリアシオン同様、厳しいペースの対応力を懸念していましたが、テンを実にゆっくりと走らせてその後も無理なく追走させていたのが功を奏したと思います。先団がペースを緩めず尚且つ早目に仕掛ける間隙をうまく利用できました。ウインバリアシオンとは好対照の、馬券的には会心のレースをしたように感じました。

2着のルーラーシップは出遅れが少々響いた結果だと思います。もしショウナンマイティのようなレースぶりが同馬にとってベストと言えるのなら何の問題もなかったのでしょうが、それではルーラーシップの良さは生きて来ません。押して好位置を取りに行った辺りもまだまだペースが緩んでいませんでしたから、テンの3Fまでのスタミナ消耗度は想定以上に高くなってしまったのが誤算だったかと思います。とはいえ勝つ為の戦略上止むを得ないところでもありました。

ルーラーシップがコーナリングに弱点があるのはもう周知の事実ですが、最初にそれを知らしめたのは2戦目若駒S。ヒルノダムールとの走りの違いがよく現れていました。3戦目アルメリア賞でタムロスカイに走行妨害を受けた際も、スピードが戻るまで相当時間が掛かりました。瞬発力に欠ける馬は概してコーナリング時の加速性能がよろしくないです。4歳時の金鯱賞は極悪馬場が幸いしましたが、同じ極悪馬場の中山2戦は内回りと外回りの差がやはり影響として現れました。そんな事から考えると、この阪神内回りは3、4コーナー区間が直線に近い形状なのでこの部分でスピードに乗せやすい面があります。そして鋭角的な4コーナーはRを大きく取って回ってくれば何とかなる可能性があるわけで、レース後半部分のウイリアムズ騎手の騎乗ぶりは見事だったと思いました。余談となりますが、現3歳勢ワールドエースの若駒Sと若葉Sの違いも同様かと考えています。

さて、上手なコース取りで最後の直線を迎えたルーラーシップですが、さすがに阪神内回りの直線の長さは如何ともし難いモノでした。もっとスタミナ負荷が少ない展開ならば前走同様にこの馬でもキレる脚が使えたかもしれませんが、手応えほど伸びず、しかしさしてバテる事もなくゴール板を駆け抜ける形となりました。G1を勝つ為には少なからず運が味方しなければなりませんが、残念ながらルーラーシップに幸運は訪れなかったようです。ある程度以上にペースが流れれば、何度やっても勝ち馬と共にワンツーを決めるだろうという力強いレース内容だったかと思います。以前から書いていますが、この後は是非直線の長い欧州の舞台で戦って欲しいですね。好戦必至と考えています。

見事に復権を果たした形のオルフェーヴルですが、戦前に書いたように上の世代との同斤のガチンコ勝負でどうなるかが私の注目ポイントでした。前走後の陣営のコメントからは位置取りが大問題だったという意識は感じられませんでしたが、さすがに今回の宝塚記念ではのんびり構えていられるわけはなく、レースの流れに乗らざるを得ないのは当然の事です。結局オルフェーヴルの今回の前半3Fは過去最速の36.0。1周目スタンド前では左斜め前方のトゥザグローリーがいい壁役となっていましたがゴール板を過ぎた辺りから前半3F標までは単独走行。実にスムーズに走れていました。変な言い方になりますが「やればできるじゃないか!」ですね。3コーナー手前では「上手く曲がれるのか?」って心配した方が居たかと思いますが、私はそんな事をスッカリ忘れてただただ抜群の手応えにウットリ。過去に例がないペースで追走していたはずなのに、この痺れるような手応えを見て直線突き抜けるのが確信出来たくらいでした。

もし鞍上が手変わりしたのならば、この3コーナーまでは同じように走らせていたとしても、この後は外を通って第一弾のスパートを開始していただろうと思います。しかし最内からウインバリアシオンがスルスルと上がって行っても前方の馬群を割ろうともせずじっと我慢。池添スペシャルの本領発揮です。そして残り3F標を迎える直前、視界が開けた内目に進路を取りスパート開始。直線に向いてそれまでの手応え通りの凄まじい瞬発力を披露。1頭だけ次元の違うラップを刻みました。それは直後に居たショウナンマイティとの差の広がり方を見ても良くわかる出来事。そのショウナンマイティでさえ他馬を凌駕する伸びを見せていたのですから、結局残り1F地点で既にルーラーシップをも交わし去る勢いの凄さがありました。一応残り2~1Fを11.3と計測しましたが、11.2と見ても良いかもしれません。おそらく残り300~200m区間は5.5程度でしょう。1F10秒台に突入しそうな程のスピードを見せてくれました。

私が算出するスピード指数は104をマーク。1994年ビワハヤヒデに迫る高指数で宝塚記念史上でもトップラックに入る程のレベル。文句の付けようがないハイパフォーマンスでした。昨年の有馬記念を勝っているとはいえ2kg貰って超スローペースでのモノ。しかし今回は完全なるガチンコ勝負でしたから、これで名実ともに歴代の超A級の名馬達に肩を並べた一戦というか、最強馬論争にようやく名を連ねたというのが私の感想です。ちなみに上がり3Fを起点とするラップバランスでは、追走ペースと上がり3Fがほぼイーブンに近く昨年の菊花賞と似た内容。しかしその菊花賞と比べると追走ペースも上がり3Fもグッとレベルが上がりました。これは成長した証とも言えますし、中距離戦での適性の高さも証明した形かなと思います。

さて、この秋の凱旋門賞挑戦はまだ決まっていないようですが、是非参戦して欲しいところですね。このオルフェーヴルの課題があるとすれば末脚の使い方でしょうか。何度も表現していますがいわゆるSo You Think型のラスト3F目が最速となるようなレースになった時、というか欧州のG1はほとんどこのパターンになるのですが、最後まで末脚を踏ん張る事が出来るかが問題になるかもしれません。皐月賞やダービーでは後半3Fが比較的イーブンに近いラップで上がってきていましたが、これは自身のペースが極端な後半偏重型だったからとそうなった部分があり、その欧州型とも言える経験は件の阪神大賞典だけでしょう。あんな不利があったから致し方ないとはいえギュスターヴクライに差し返されたのもまた事実。過去にはキングジョージでハーツクライが差し返され、凱旋門賞でディープインパクトが差されて負けているわけで、こういったパターンは日本のトップホースの特徴でもあります。

今回の宝塚記念では能力的な違いから直線で抜け出す進路はいくらでも取れたのでしょうが、凱旋門賞で直線追い出しを我慢すればどんどん先に前に入られますし、そうなったら強豪揃いなので再度進路を見付けて抜け出すのは非常に困難になるでしょう。どうしても他馬に併せてスパートせざるを得ない展開がロンシャンの舞台では待ち構えています。そこが最大のカギとなるだろうと予想しています。勿論、そういった部分を克服する可能性もありますが、どうせなら一か八か池添スペシャルで挑んで欲しいと私は思います。それがオルフェーヴルの良さを一番出す形でしょうし、この馬が勝ちに拘る為の最善策とも言えるんじゃないでしょうか。陣営が作り上げたオルフェーヴルをそのまま表現してください。

今回はこのあたりで。

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想い出のあの馬 ライスシャワー

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オルフェーヴルの凱旋門賞挑戦が正式に決まりました。また、今週末はダービー馬ディープブリランテがキングジョージに挑戦します。是非好結果を期待したいですね。

さて、日本の馬場は「ガラパゴス的高速馬場」と揶揄される事が多いのですが、レコード決着となった昨年のレースでは日本馬は全くいいところがなく、逆に凱旋門賞で2着入線した2回は共に極悪馬場でのレース。不思議なモノですね。芝の特性に対する適性云々より、もっと結果に大きく影響されるのがレースの流れに対する適性でしょうか。

大雑把に言えば脚を余し気味にレースを終えるのが現在の日本流のレース。欧州では余力を出し惜しみせずレースを終える事が多いように思います。トップスピードに乗る地点が違うとも言えるでしょうし、例えトップスピード能力が劣っていても勝ち負けに加わる可能性が多いのが欧州のレースとも言えるでしょう。

厳密に言えば妥当な表現ではないのですが、所謂ステイヤー的な要素を持っていれば欧州でより活躍できる可能性を秘める事に繋がるんじゃないでしょうか。既に余力がほとんどない中、ラスト1Fの凌ぎ合いに耐え得るスタミナ力を持っていれば大きな武器になる事でしょう。最近の日本ではステイヤー気質の馬が活躍できる舞台を見る事がほどんどなくなってしまいましたが、過去にはキレる差し脚を持った優秀なステイヤーが日本に居たのは確かな事実です。欧州のG1でタフな末脚を駆使して勝利を上げる馬を見る度に、いつも私が思い出すのは名ステイヤーであったライスシャワー。ミホノブルボンの3冠を阻止した1992年菊花賞、メジロマックイーンの3連覇を阻んだ1993年天皇賞・春を振り返ってみましょう。まずはライスシャワーのスピード指数表を貼っておきましょう。

$上がり3Fのラップタイム検証

ダービー以来の、ミホノブルボンとの対決の舞台となったのが1992年京都新聞杯。

http://db.netkeiba.com/race/199208040411/

現在の高速馬場とは比べ物にならないものの、この京都開催はかなり速い時計が出ていました。優れたスピード・スタミナを兼備したミホノブルボンが遂にパンパン馬場で中距離戦を走ると言う事で、どんなレコードタイムが出るのかこの秋私はずっとワクワクしていました。当時は西田式スピード指数を使い出す1年前でスピード指数の原型的な考え方で各馬の能力判定をしていたのですが、この京都新聞杯をミホノブルボンは2分11秒台半ばで走るだろうと想定していました。無論ライスシャワーをダービー同様大きくチギってしまうだろうという考えの下でもありました。ところがこの2頭の着差は1馬身半。ミホノブルボンの更なるパワーアップに少々疑問が生じたのと同時に、ライスシャワーが間違いなく強くなっていると感じる結果となりました。感情的にはミホノブルボンの3冠は揺るぎないと信じながらも、冷静に考えれば背後に迫るライスシャワーの影がかなり大きな姿になっていると思わざるを得ない事実がそこにはありました。

そして本番の1992年菊花賞。

http://db.netkeiba.com/race/199208050210/

このレースの公式ラップはまずまず妥当な値でしょう。後半1000mのラップ表を書いておきます。

着順馬名タイム22002400260028003000後5F2900Goal
1着ライスシャワー3:05.012.512.011.711.411.559.15.75.8
2着ミホノブルボン3:05.212.912.111.711.711.860.25.86.0

Mahmoud計測RL3:05.013.012.311.711.711.660.3



道中1F13秒台のラップが計5F続いたため、走破タイムはそれほどレベルの高いモノではなく、どちらかと言えばスローの上がり勝負といった形ではありましたが、3~4着の着差は7馬身差という結果が物語る通り、多くの馬にもチャンスがあるようなヌルい競馬ではありませんでした。

3冠達成ならなかったミホノブルボンも1F毎のラップを見る限り、そうバテてはいませんでした。関西テレビの映像で見ると良くわかるのですが、ラスト200~100m区間はライスシャワーによく喰い下がっていたんですね。ただ、ラスト100mで力尽きた感じ。一方、向こう正面からミホノブルボンを追っかけ始めたライスシャワーはほとんどスピードを落とす事無くキッチリ差し切りました。ラスト2Fは22.9程度。これは昨年の菊花賞でオルフェーヴルがマークしたラップとほぼ同じです。走破タイムとのラップバランスを考えると、相当鋭い末脚と言えるでしょう。また、鞍上の的場均騎手の手綱捌きを見れば、溜め込んで一気に爆発させた末脚という意味合いではなさそうです。3角手前から徐々にスピードを上げ始め坂の下りで2回目のスパートをしたと言えるような感じ。そして最後の直線でMAXに持ってくるという、実に味のあるレースでした。ちなみにナカヤマフェスタがセントライト記念で見せた末脚は、このライスシャワーと少し似ているところがありました。

現在の馬場とどれくらい馬場差があったのかは、世代を超えた最強馬論争と同じで確固たる証拠はありませんが、道中ペースを緩めていたミホノブルボンが最後の直線で1F11秒台前半には入れられなかった事実を鑑みれば良いかと思います。参考までに伝説の新馬戦の一つとなるミホノブルボンの初戦のラップはこんな感じでした。

58.1 : 13.3 - 11.7 - 11.2 - 10.9 - 11.0 [ 5.4 - 5.6 ]

この1992年菊花賞は当時としては速い馬場でしたが、現在の高速馬場とは明らかな違いがあると思います。このレースで見せたライスシャワーの末脚はカミソリ的な鋭さがありましたが、それは決して素軽さからくるモノではなく、重厚なスタミナの裏付けがあってこそのモノだったと言えるでしょう。


次は1993年天皇賞・春を見てみましょう。

http://db.netkeiba.com/race/199308030210/

後半の公式ラップは値そのものが違和感ありますね。映像から判断すると、自動計測区間である上がり3Fは実際には0.1秒くらい速かったと思われます。なのでこんな後半5Fのレースラップなら違和感はないんじゃないかと・・・。

着順馬名タイム24002600280030003200後5F3100Goal
1着ライスシャワー3:17.112.311.912.011.812.460.46.16.3
2着メジロマックイーン3:17.512.312.012.112.012.661.06.26.4

Mahmoud計測RL3:17.112.412.212.211.812.461.0



前年の秋開催とは違い、雨の影響も手伝って力が要る馬場状態だったと思います。同レース時は良発表だったものの、とてもレコードが出る状態とは思えず、この勝ちタイムにはとてもビックリしました。前年菊花賞時と比べると3000m級の距離なら2秒近く時計が掛かる状態であるのに、超スタミナ馬メジロパーマーの逃げですから緩む事があまりない消耗戦といった流れ。前年の菊花賞3着馬マチカネタンホイザがメジロパーマーより遅い上がり3Fで4着だったことからもわかるように、まさに究極のステイヤー対決といったレースだったと思います。

ライスシャワーは菊花賞同様、向こう正面の後半で先団を射程圏に入れています。値的には分かりにくいのですがメジロパーマー、メジロマックイーンはロングスパートを敢行していてライスシャワーも追っ付けながらの追走。メジロ2頭は持ち味通りペースを落とさぬまま直線でも踏ん張り続けましたが、ライスシャワーは直線に向くと1頭だけスピードアップして、難なく先行2頭を追い抜いてしまいました。鞍上の手応え的にはかなり苦しかったはずですが、ガツンと伸びる余力がまだ残っていました。ダービー時と並んで生涯最低馬体重430kgでの一戦。余分な筋肉を削ぎ落としたマラソンランナーのような体で、史上最強のステイヤーという称号を勝ち取った瞬間でした。

ライスシャワーはマーク屋という異名がありました。マーク屋は仕掛けを遅らす事によって漁夫の利的に勝利をもぎ取る事が多いのですが、このライスシャワーはそうではありません。何とか懸命に前を行く馬に喰らい付き、その上で瞬発力を発揮し勝利するという究極のステイヤー像と言える馬だったと思います。一般的に良く表現されるステイヤーというのはメジロマックイーンに代表されるタイプだと思うのですが、そのメジロマックイーンに匹敵するスタミナ力を持ちながら、当時の馬で例えるならトウカイテイオーの差し脚をも兼ね備えた存在だったと言えるでしょう。全成績を見ても分かるように、ライスシャワーは毎回全能力を発揮できるタイプではありませんでした。調整が難しい馬だったと聞きましたが、それ故、究極の走りができたのかもしれません。

話を菊花賞に戻しますが、もしミホノブルボンが自分のペースで逃げていたのなら3冠を達成していたという意見を良く聞きました。私も大のミホノブルボンファンであり、当時そうであったはずだと思い込んでいたのですが、後に件の天皇賞・春を分析するようになってからは、例えミホノブルボンが淀みなく逃げてもライスシャワーが死に物狂いで喰らい付き、最後に差したんじゃないかと考えるようになりました。つまり、3冠馬になるためにはライバル馬の存在がとても大きく、運を味方につけないと難しい偉業なんだなあと。ミホノブルボンは菊花賞で自分のレースが出来なかった事が不運だったのではなく、ライスシャワーという馬が同期に居た事が不運だったのではないか、と今は思う次第です。

当時の日本馬のトップホース達はかなりレベルが高かったと思います。現在のように海外遠征が盛んだったのなら、かなりの好成績を収めていただろうと思います。相手の土俵でガチンコ勝負ができる下地が十分あったと思われます。その点が今の日本の競馬に少し欠けている部分かなあと思ったりしています。シビアに言えば馬というより人が問題でしょう。馬だけでなく騎手も大手を振って海外レースに挑む時代の到来を待ち望んでいます。

今回はこのあたりで。

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